姉妹との駆け引き
戻しました
「はぁ……」
部活終わり僕はため息をはきながら考えを巡らせながら、待ち合わせ場所で待っている。
「あ、先輩。お待たせですっ」
「優海ちゃんお疲れー」
「では先輩一緒に帰りましょう」
「あ、あぁっ」
可愛い今カノと一緒に帰り一見羨ましそうだが、やはり風香ちゃんの言葉が忘れられず、どうしたら良いか分からない。
「……ぱい、先輩!」
「は、はい!」
「どうしたんですか先輩? ぼーっとしてっ。らしくないですよっ」
「あ、いやっごめんごめん。考え事して」
「何か悩みですか?」
「あ、いや……」
僕は彼女から目を逸らす。何か目線の圧の様なものを感じる気がして無視していたが、
「姉さんに何か言われましたか?」
「え!? なんで?」
「私に相談しないので、言いづらい内容かなと思いまして」
鋭い……。だがしかし風香ちゃんの内容を言う訳には、
「ち……違うよ?」
「……はぁ、そうですか。なら直接姉に訊きますね」
「あ、分かった! 言いますっ」
そして優海ちゃんに風香ちゃんとの内容を軽く話をした。
「……そうですか。一人は寂しいけど交際と勉強の両立が出来る環境を作ってくれる彼氏が必要……ですか」
「……」
「そんな我が儘放題言う女なんて諦めたらどうですか?」
今カノがとてももっともなことを言う。
「ごめん……まだすっぱり諦めきれない……」
彼女はため息をもらす。そして僕達はしばらく無言で歩く。
「では先輩こうしましょう」
「?」
「交際と勉強が出来る環境ということは交際が勉強の頑張りに繋がれば良いということです」
「? まぁ、確かに」
「ということは姉が先輩のために勉強を頑張るか、先輩自身が姉と切磋琢磨するかということになります」
「……」
「姉と切磋琢磨するということは先輩の成績レベルが姉と同等かそれ以上とならないといけません」
「……」
「つまり次の中間考査で姉に引き分けか勝たなければならないという訳です」
「……」
「だから先輩」
「?」
「今回の中間考査で姉に勝負を挑んで下さい」
「え?」
「そして勝てば一度私と距離を置いて姉に告白して下さい。そして負ければ……」
「負ければ……」
「私との交際は継続で宜しくお願いします」
「……そうか。けど……」
「?」
「それで良いのか?」
「えぇ。とりあえずはそれで構いません」
「……考えとくよ」
「はいっ」
そして僕は一日(土曜日)考えた後、風香ちゃんに連絡した。
『明日、君に会えないか?』
『どうして?』
『直接話したいことがある』
そして既読になりしばらくして、
『分かったわ。じゃあ、13:30頃に私の部屋に来て』
という内容が来た。よし、明日(日曜日)勝負だっ。
翌日、僕は甲斐家に向かいながら僕の考えた作戦を入念に繰り返しシミュレーションしながら自転車を漕いだ。
その内容とは、『もし僕が風香ちゃんに今回の中間考査の成績で勝ったら、両立するための環境作りを少しでも実現する努力を認めてほしい』というものだ。
そして彼女達の家に着いてドキドキしながらチャイムを鳴らすと風香ちゃんが出た。
「こっちよ」
彼女はウール生地の長袖の上着に黒のヒラヒラのミニスカートを履いて階段を上がる。そしてそのスカートにドキドキする僕を案内した先は彼女の部屋だった。久しぶりだ、彼女の部屋に入るなんて別れて以来だ。少し感慨深くなり手が震えた。
「どうしたの? 早く入って」
「あ、はいっ!」
そしてガチャッと開けると、相変わらず綺麗で良い匂いの部屋……、
「……先輩?」
「え!? 優海ちゃん!?」
ど、どうして彼女がここに!? 僕は気が動転していると風香ちゃんは僕の耳元近くで言った。
「私が呼んだのよ」
「え!?」
ふ、風香ちゃんは一体どういうつもりで優海ちゃんを呼んだんだ!? 何を企んでいる?
「さぁ、用件というのを言って」
「……」
「先輩……」
「……」
「何? 優海の前では言えない内容なの?」
風香ちゃんは自分の椅子に腰掛けて脚を組んでニヤリと微笑む。
「いや、そんなことはないっ。言う」
そして風香ちゃんに僕の考えた内容を伝えた。
「『もし僕が風香ちゃんに今回の中間考査の成績で勝ったら、両立するための環境作りを少しでも実現する努力を認めてほしい』……か」
彼女は僕の言葉を反芻する。そして、
「そうね、それは一理あるからそうするわ」
彼女が承諾してくれたので僕はとりあえずため息をついた。しかし、
「けど、その代わり条件があるわ」
「?」
「もし孝君が私に負けたら優海とは別れること」
最後まで読んで頂きありがとうございます。
何度も変更して済みません……