彼女達との関係
済みません。修正です
「いや、それはだな……そうだな。悪かったよ」
「まったくですっ」
「ところで今日は珍しいな。ホームルーム前からここに来るのは」
「そ……うですね。やっぱりか……優海ちゃんが元気にならないと小野原先輩も私の話聞く余裕ないと思いましてっ」
「……」
確かにそうかもしれない。彼女も配慮して……、ん?
「そう言えば前から気になってたんだが、優海ちゃんとはどこまでの仲……」
「あ、もうこんな時間。では小野原先輩またっ!」
「あ、おいっ」
そう言ってそそくさとクラスから出て行った。
「なんだ……一体」
「小野原。前々から思ってたんだが……」
「福井っ」
「彼女とはどういう関係だ?」
「え? それは……」
そう言えばどういう関係だろうか? 脅されている関係? それとも一応優海ちゃん経由の後輩? まあけど、
「……ただの厄介な後輩だよ」
「ふーん、そうか。いや、しかしそっかー、小石川さんかーっ、いいなー」
「ん? 一体どう良いんだよ?」
「まぁ、お前はそういうの興味ないから知らないだろうけど、一年の中にはかなり人気でモテる双璧の女子がいてその一人は小石川さんらしいぞ~っ」
「へぇ。そうなのか?」
「それに女子テニスの期待のエースだそうだ」
「へぇ」
そうなのか。まぁ、確かに可愛いから納得はいく。
「で、それともう一人は、ほれっ」
福井は風香ちゃんの方を親指で示す。ん? 風香ちゃん?
「何言ってんだ。彼女は二年だろ?」
「違う違う。甲斐さんの妹だよ!」
「え……それって……」
彼の話を聞いているとやっぱり優海ちゃんのことだった。彼女は学校でかなりの人気者で風香ちゃんの妹で有名なのはさることながらやはりその美貌と性格の明るさ、天性の優しさ故に人気度は姉に負けず劣らずであるそうだ。
そうだったのか……、一ヶ月付き合ってみたが全然知らなかった。そういう所全然見せないから。
復帰後の部活帰り、歩いて帰っていると、
「先ぱーいっ」
と声が聞こえる。振り返ると走っている優海ちゃんだった。
「優海ちゃんっ」
「お疲れ様です」
「お疲れーっ」
「部活はどうでした? 顔にボールは当たってない?」
「あはは、大丈夫だよ。もう痛くないし」
「そうですか。良かったーっ」
「優海ちゃんこそ元気になって良かったよ」
「元気だけが取り柄ですから」
僕達は笑う。そして、
「あの先輩……」
「ん? どうした?」
「姉さんからは何かありましたか?」
「いや、ないが……?」
「そ、そうですか」
「?」
そしてしばらく歩くと、今日福井に聞いたことを思い出す。
「そうだ。友人から聞いたんだが、優海ちゃんって学校ではかなりの人気者らしいな」
「え」
彼女は少し困った顔になったが、直ぐに笑顔に切り替えて、
「バレました?」
「そういう素振り全然見せないから、まったく知らなかったよ」
「もう、先輩が知らなさすぎなんですよーっ」
「そ、そうかな?」
「そうですっ」
彼女はニヤリと笑い、
「つまり私は学校でかなり人気あるから、中々入手困難なんですよ」
「あはは、そうかもなっ」
「だから……、手放さないで下さいね」
そう言った彼女の表情は少し切ない顔になっていた。
家に帰り、風香ちゃんと優海ちゃんのことを考えた。
元カノでまだ僕が好きな風香ちゃん。
今カノで僕を好いてくれている優海ちゃん。
一体どうしたら……。
「あ、そうだ。風香ちゃんの圧に負けてすっかり忘れてた」
しかし……、
「今の風香ちゃんが僕の話を訊いてくれるか……」
しかしそれだと今後の優海ちゃんとの進退を決めるためにも、とりあえず次の日に彼女を体育館裏に呼んだ。
「どうしたの孝君。話って?」
「風香ちゃんは……、別れてから勉強の方はどう?」
「そうね。まぁ、そこそこかしら」
「そ……か」
いざ、そう言われると辛いものがあるな。
「どうしたの? 目が虚ろになっているわ」
「いや、大丈夫……」
彼女にとって僕はただの勉強の邪魔でしかなかったのかもしれない。
「そうか。分かった、ありが……」
「けど勉強している時、やっぱり一人は寂しい時はあるわね」
「え?」
「だから私が両立出来る環境を作ってくれる彼氏が欲しい」
それってつまり……、
「誰かそんな男いないかな~っ」
彼女はじっとこっちを見てくる。え? 僕がやれと?
「そんなの……無理だよ」
「……じなし」
「え?」
「ふーん、分かった。それなら良いわっ。じゃっ」
「あっ……」
彼女そう言ってさっさと去って行く。
僕はその場に立ち尽くして、
(一体どうしろと……)
と僕がジレンマに陥っているのに関係なく、予鈴のチャイムは校内に響き渡る。
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