優海の大切さ
孝次の自業自得か!?
「え!?」
優海ちゃんと別れる!? そ、それだと……、
「姉さん何言っているの!? そんなの許されるはずないじゃない!」
優海ちゃんが片膝を立てて怒った。
「ならこの話は無しねっ」
「!」
「!?」
風香ちゃんは僕達に口調を変えずに淡々と言う。
「先輩……」
彼女は辛そうなトーンで僕に声をかける。
「こんな無茶な条件をのまなくて良いですよっ。それにこの条件だと私はどうなるんですか……」
確かに、それはヒドすぎる。
「……それは、承諾しかねる……」
「そ、ならこの話はなしね」
「あ……」
と言ったが僕はこれ以上言葉が続かなかった。そして渋々彼女の部屋から出ると、優海ちゃんが僕を自分の部屋に手招きする。
「ど、どうしたの優海ちゃん?」
「……」
彼女は何も答えない。そして床に座り、僕もそこに座る様に誘導し彼女と対座した。そして彼女は静かな口調で言う。
「先輩、私は怒ってます」
「え?」
「姉さんから『この話はなし』って言われた時、なんで躊躇ったんですか?」
「……」
「本当は少し待ってほしかったんでしょ」
「……」
「実は断ってちょっと悔やんでるんじゃないですかっ?」
「……いや、そんなことは」
……ない……はず。
というか彼女の目線が冷たいっ。もう体の萎縮が止まらない。
「本当に先輩はだらしがないっ、優柔不断、節操なし!」
「う、う……」
「いつからそんなダメ人間になったんですか先輩! 本当に幻滅ですっ」
「済みません……」
「まぁ、けど先輩はとりあえず今回の件を断ってくれて良かったですっ。そうでないと私……」
「……」
「まぁ、とにかく姉はもうあんな感じなので決して惑わされないでくださいねっ!」
「え? ……あぁ、うん」
そして(半ば強制的に)甲斐家から出て一人自転車でこぎながら頭真っ白にして帰った。
翌日、学校での昼休みに福井とのご飯を食べ終え昼寝でもしようと思ったら、
「小野原先輩っ」
と小石川が来た。
「……どうしたよ?」
「どうしたもこうしたもありませんっ。か……優海ちゃんと何かあったんですか?」
「えっどうかしたのかっ?」
「なんか元気がなくって」
「そ……か」
まあ、その原因は僕だろうなあ。
「で、何かあったんですか?」
「……別に?」
「写真ばらまきますよ?」
「……喧嘩」
「へぇ、そうなんですか」
「……」
彼女は何か考えている風だ。
「それなら部活終わりに校門出て左に進んだ所の道で待ってて下さいね」
「え、何で……」
「優海ちゃんとの今後のあり方を練るためです」
「いや、しかし……」
「絶対来てくださいね~」
そう言って小石川はさっさとクラスから出て行った。
「な、何だ一体……?」
そして部活をしていてもなかなか集中出来ず、
「小野原っ! やる気あんのか!?」
「す、済みません!」
先生に怒られる始末だ。ため息をはきながら、ほとほと参って下校する。頼るアテもないからか、
「あ」
小石川の言った場所に来ていた。
「まぁ、良いか。話でも聞いてみるか」
そう思いそこで少し待っていると、
「あ、もう部活終わったんですね」
小石川が来た。
「いや、君が呼んだんだろ?」
「では一緒に彼女と今後どうするかについて練っていきましょう」
「お、おう……」
そして簡単にあらましを説明した。
「えぇ、小野原先輩。それは優海ちゃん怒りますよ」
彼女は明らかにドン引きした顔になっていた。
「そ、そうだよな」
「……それで、なんでまだ別れてないんですか?」
「え?」
それは……確かに不思議だな。普通なら別れてもおかしくない状態なのに。
それはやっばり優海ちゃんがまだこんな駄目で未練たらったらな僕でも大切に思ってくれているから……。
「では小野原先輩、この先優海ちゃんとどうするか……」
「ありがとう小石川! 僕は目覚めたよっ」
「え?」
「優海ちゃんとちゃんと話し合ってくるっ」
「え? 小野原先輩?」
「じゃあ、またなっ」
「あ、ちょっ、小野原先ぱ……」
そして僕は一目散に家の方向に走って行った。
そうだよ。何でこんな単純なことに気づかなかったんだっ。僕みたいな優柔不断男を好きになってくれる女子なんてそうそういない。そんな僕を好きになってくれる彼女を大切にしなくてどうする? 僕は本当に駄目な彼氏だっ。
そして走っていると、優海ちゃんらしき子が公園の外に居た。
「はっ、はっ。おーい、優海ちゃ……」
と僕は叫んだが、途中で硬直してしまった。なぜならそこから僕の知らないイケメン男子がその公園から出てきて彼女と楽しそうに話しているからだ。
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