楽しい時はいずれ過ぎ去る。
読みたくなくなったら途中断念OK
文脈おかしかったら米によろしくです
人生の中で私は“楽しめた”ことは一回もないだろう。
ただ、楽しい時はある。幼馴染の鋭一と話している時は特段至福の時である。
ただ、始まりがあれば終わりがある。楽しい時は続かない。
それがあるから私は、どんなことも楽しめない。終わりがあってしまうという悲しみがどうも消えてなくならない。
物凄く独占的な考えだと自分でも思うが実際楽しめたことはないので仕方がない。
私の名前は永遠子、女子高生だ。身長は女子の中では比較的低め。顔面偏差値もクラスメイトより比較的低め(自称)。成績もまあまあな、どこにでもいるようなJKだ。
そんな私には結構仲のいい(と思ってる)幼馴染がいる。
名前は鋭一。超がつくほどの美貌を持つ、もはや普通とは言えないレベルの男子高生だ。
だが顔がいい分頭脳が悪いなどと言われるくらいにテストの点数が壊滅的だと聞いたことはがある。あいつが言うには「IQは高いんだぞ!」らしい。そういうところが彼っぽくてなんか笑える。
そんな彼に私は少し興味があったりする。
見た目もそうだがやっぱり面白いっていうのがなんだか惹かれてしまう。
でも結局、恋も学校も終わってしまうと思うとやっぱりなんだか気が重くなってしまう。
そんな考え方をしてしまう私が嫌いだ。
今日、私は楽しめないとわかっていながらも大学進学のために仕方なく学校に向かっていた。
楽しいはずなのに終わりが見えると楽しめない。これは仕方ないことだった。
こんな私の思考は誰にも話したことはない。というか話したくない。独占的な人間だと思われたくないからだ。
私はいつも通り教室に入り自分の席に着いた。するといつも通り鋭一が私に喋りかけてきた。
「おはよ!明日からやっとの週末だって言うのに元気がなさそうだね!それなら僕が笑顔にしt…」「そういうの、いいから」
もはや私達の朝の定番の会話だ。
この瞬間はとてつもなく楽しい。この瞬間がいつまでも続いて欲しいと思ってしまう。そうやって思ってしまう私が何度も言うが嫌いだ。
「はぁ…」
つい重めの溜め息をついてしまった。
最近心の中で思っていることが表に出てしまっている気がする。自分の中で溜め込み切れていないって言うのかな?
「…」
鋭一が無言で私のことを見つめてきた。一瞬ときめきかけたが、なんだかそういう眼差しではなかった。
沈黙が続くこと10秒ほど、HR開始のチャイムが鳴った。
そんな時、鋭一は私に向かって
「今日さ、一緒に帰ろ?」
と、さっきまでのふざけた口調ではなく真面目な口調で言い残してから自分の席に戻っていった。
なんだかどことない不安感が私に押し寄せた。
授業には全く集中できなかった。それは鋭一が帰りに誘ってくれたのが嬉しかったのと、どことない不安感からだろう。
あっという間に時間が過ぎ、気づいたら放課後だった。
「(一緒に帰ろって言ってきたせいで勉強できなかったじゃない…。)はぁ…」
なんだかさっきとは違う溜め息をついていた。
そんな時、鋭一が私に駆け寄って
「さあ、一緒に帰ろーよ!」
と、ふざけた口調で言ってきた。
私は
「仕方ないわねぇ…」
と呆れたように答え、座っていた席を立った。
楽しいとわかっているのに、なんだか気乗りがしないのは結局終わりがあってしまうからと思っているからだろう。
私達はこの高校では珍しい徒歩通学だが、普段は部活の関係で一緒には帰れない。
だが今日に限っては大規模な職員会議の為、全部活が休みになっている。
そのため私達は一緒に帰れるのだが、放課後すぐに帰ると流石に周りの目線が気になってしまうので私達は今、誰もいない教室で2人、時間が過ぎるのを待っている。
彼は彼で、美貌を持っているからこその悩みなのか、女子と二人きりで帰ると恋人だとか言われてしまうのだとか。
女子達は面倒だと思っていたが、男子も同じようなもんだなと感じた。
「…」「…」
普段なら陽気に話しかけてくれている鋭一がずっと黙っている。
気まずい、そして
怖い。
かれこれ10分も経っているのに一度も口を開かない。何か言いたそうにしていたのが見てわかった。
明らかにおかしい。
しかし私には何もできなかった。無理に話しかけて失敗したくないからだ。
私は彼の事が好きだ。そしてこんな絶好のチャンスが目の前にある。
なのに私は話しかける事が出来なかった。
「(あーあ…私の意気地無しめ…)」
自分の無力さがよくわかった。
そんな時、彼が口を開いた。
「行くか」
それから私達は教室から出て校門を目指した。その間も全くの無言だった。彼の表情が変わる様子はなかった。
私達が校門を出た瞬間に鋭一が声を発した。
「…なあ、なんか本当に元気がなさそうだな」
と、真面目な調子で話しかけられた。
鋭一の顔はなんだかやりきった感が満載だったのは私の気のせいか…?
「いや、元々こんなんじゃなかった?」
と結構軽めの口調で答えた(つもりだ)。
「そう…」
と言いながら、彼はなんだか悲しそうな顔を浮かべた。
私はなんだかとても怖かった。私は
彼に声をかけた。
「どうしたの?」
と。
「…」
彼は無言だった。私が
「…?」
と首を傾げていると彼は、私の心を変える一言を放った。
「…いや、ね?最近あなたがあまり学校とかを楽しめてなさそうにしているなぁ…って思ってね…」
「っ…⁉︎」
「図星なのかい…?」
「…」
唐突に言われた核心を突いた言葉につい動揺してしまった。
なんだか隠し続けていたものを急に曝け出された感じがした。
それと同時に勝手に自分の領域に入ってこられたという苛立ちが湧いて出てきた。
彼に対してこんな感情を持つのは初めてだ。
「なんなの⁉︎」
「えっ…⁉︎」
つい大きな声で罵倒してしまった。鋭一は軽く私のことを引いている様子だった。
「楽しめてないのが悪い事なの⁉︎」
「え…そういうわけではないけど…」
「じゃあなんなの⁉︎お前は何を言いたいの⁉︎」
「っ…⁉︎」
初めて私が彼の事を「お前」と呼んでしまった。しかし反射的にそうやって出てしまったんだから仕方ない。
「もう知らない‼︎」
「あ、待って!」
「…」
私はいつの間にかに歩き出していた。堪忍袋の尾が切れた。
もう、知らない。
私は自分の部屋のベットの布団の中で
何故か、泣いていた。
自分ではよくわからない。 ただ、一人で泣いていた。
土曜日、日曜日はいつもは鋭一とメールや電話を取り合ったりしているのだが、今回は全くメールも電話もしなかった。
全く手に付かなかった。
勉強もいつもなら先週の復習などをするのだが、それもやる気が出なかった。
あっという間に、明日が学校になってしまった。
鋭一に会いたくない。
私はその夜からずっと頭痛と吐き気が催していた。
「(嫌だ。嫌だ。嫌だ…‼︎)」
私は学校を休んだ。親には気分が悪いと伝えておいた。実際そうだったんだから嘘は言っていないのだが、なんだか罪悪感がある。
ただ、そんな感情よりも鋭一に会いたくない感情の方が強かった。
時は流れていつのまにか4時を過ぎていた。
疲れた。
何もしないほど疲れることはない、と聞いたことはあったが、それがまさかこんな時に実感できるとは思ってなかった。
そんなことを考えていながら自室から雨雲が広がった空を見ていた。
この天気は今の私の心情そのものだと思う。 「(はぁ…)」
ため息を今日何回ついた事だろうか。もうなんだか楽しめる楽しめないの次元じゃ無くなった気がする。
「(はぁ…。あーあ…)」
鬱ってこんな感じなのか…と考えていると私の下の方から聞き慣れた声が私の名前を呼んだ。
「おーい!」
声の主は鋭一だ。いつものようなふざけた調子はなく3日前に一緒に帰った時と同じようなトーンだった。
今は親は病院と買い物かなんかで出かけており、7時くらいまで家を空けるらしい。
しかも雨が今にも降りそうな感じがしている。
「はぁ…入って。」
私は彼に声をかけられただけなのになぜか家に入る事を許してしまった。
結局私は鋭一のことが好きなんだなと感じた。
家に入れたはいいけど、3日前の2人で教室にいた時と同じような沈黙が訪れた。
ただ、今回はあまり時間を取らなかった。
「えっと…これ、学校でもらったプリント。それと、これが課題の範囲ね。それから…」
矢継ぎ早に説明された。が、あまり頭に入ってこなかった。
「…ねぇ」
私は説明してくれている彼を遮って思い切って話しかけてみた。
「…?」
彼はなんだかよくわからないと言った顔をしている。
「なんか唐突だけどさ…私の事…、…ど、どう思ってんの…?」
本当だったら「私の事、好きなの?」と聞くはずだったのだが、つい躊躇ってしまった。
好きでないなら、こんな偽善的な真似はやめて欲しかったから、この様な発言をしてみた。
なんだか、スッキリした。
「どうって…いい友達ってイメージだけど…」
まあ予想通りの展開でもあった。それは私がためらってしまったことが発端にあるんだけれどもね…
私はその偽善的な真似をやめて欲しいと頼もうとした。
だが、なんだか諦めきれなかったのかなんなのか、私はそのようなことが言えなかった。
数秒の空白の後、私はそう…、と呟き、そして勇気を出して
「じゃ、じゃあ!…私の事、好き…?」
と言ってみた。さっきよりもスッキリした感が大きかった。
「っ…」
彼はなんだか言葉に詰まっている様子だった。
「その様子から見るにべつに私の事を好きって訳じゃないみたいだね…」
「…」
「…じゃあさ、なんで…?」
「…なんで?とは?」
「…な…なんで…?…なん…で…な…のよ…?なんで…鋭一は…‼︎私をぉ…私にぃ…‼︎」
私は自然に出てきた涙を拭おうともせずに彼にこう告げた。
「…そんな…なんで…そんな…偽善的な…態度を…取るんだよぉ…‼︎なんで⁉︎なんでなの⁉︎」
「…」
彼は、思いつめたような顔をして
「…偽善的な態度を取ってたつもりはなかったんだけどな…」
と言った。
私は、怒りに振り回され、周囲に涙を撒き散らしていた。
彼が私を苦しめ続けていたって事を、今私が気づいた。
恋は盲目ってやつかな?全く彼に原因があるとは思ってもいなかった。
「ガタッ」
と言う音とともにあっという間に私の家から逃げていった。彼は私の家に彼の涙を一つ、零していった。
私達の関係は結局、小さい時からの友達ってだけで、他に何もなかった。
私の恋は結局、私からの一方通行だったってこと。
私達の関係は結局、こんな小さなトラブルで崩れてしまうような脆いものだったと言う事。
結局、友情なんて硬ければ硬いほど折れやすいものだってこと。
私はもう、彼に顔を見せたくない。
「終わろう…」
ここまで読めた人は強者じゃないですかね?w
感想とアドバイスをしていただけると幸いです。
Thank You For Reading.