リーダーシップ
やっと書き終わった。。。
毎日にのように開いて下さっている人達にホント申し訳ないです。
筆者は遅筆なので更新の遅さはお許しを。。。
税金を払い終わり冒険者ギルドに到着した。が、冒険者ギルド建物に入ると受付で少年少女くらいの男女のパーティーが何やら喚いている・・・
シセスタ「何事だ?」
気になり受付に近づいていくとアイラがこちらに気付いた。
アイラ「あ!シセスタさん!おはようございます。少し待って下さいね?」
少女A「お願いします!そこを何とか考え直して下さい!」
少年「そうですよ!なんで俺たちじゃ受けちゃダメなんですか?!」
少女C「あ…あの~ 受付の方も困っていますし…」
見ると食い下がっているロングソードをぶら下げた少年や深い青髪をポニーテールで纏めた少女を聖職者らしき服装の金髪碧眼少女が止めている
アイラ「ですから…駄目です!あなた達はまだ十二等級じゃないですか?!下級鬼族の討伐なんて…死んじゃいます!」
アイラの心配をしているとずっーと黙っていた少女Bの怒声が響く!!
少女B「もう!いい加減してくれる!!わたしは魔法学校卒業で魔法が使えるって言ってるじゃない!!ゴブリンごときに失敗するなんてありえないわ!」
少女A「そうですよ!私は武闘家で格闘術が使えるし彼女は修道院の孤児院出身で治癒魔術が使えるヒーラーですよ?!」
少年「だいたい!たかがゴブリンじゃないか!ゴブリンなんて何回も地元でもやっけてるよ!」
アイラ「それは単独のゴブリンで…群れを成すと危険で!」
アイラは一生懸命、今回依頼のの危険性を説明するが少年少女のパーティーは聞き入れない
少年「群れを成してもゴブリンはゴブリンじゃないですか?それに個人の責任で受けるのは自由でしょ?」
アイラ「それは・・・そうですけど・・・」
アイラは反論に押し黙ってしまった。仕方がないので助け舟を出す………
シセスタ「おい!お前たちそれくらいしておけ。受付も困ってるだろう……」
少年少女のパーティーを諌めるすると…
少年「いや!でも・・・もう、報酬の安いクエストはウンザリなんですよ!」
とロングソードを携帯している少年が反論し
少女B「ちょっと!部外者が口を出さないでくれる!!アンタには関係ないでしょう?!」
魔法使いの格好をした少女Bが猛抗議してきた!!
シセスタ「やれやれ・・・関係なくはないだろう。周りを見てみろ?みんな迷惑してる…」
シセスタが肩を竦めながら、少女Bに言い返していると少女Aがシセスタを見て驚いた顔で仲間に話しかける。
少女A「ねぇ!見て!この人…首にぶら下がっているの‥‥‥十等級の認識票よ!」
少女C「ほ、本当です...」
金髪碧眼の少女Cも認識票を見て驚いた表情でそう呟く!
少女Aは何か思い付いたのかーー受付のアイラに詰め寄る
少女A「すいません!この人と一緒にクエストを受ける事は出来ますか?!」
少女Aがアイラに尋ねる・・・
アイラ「問題はないですけど・・・」
アイラは追い詰められた小動物のような目でこちらに視線を向けてくる・・・
シセスタ(なんか話が勝手に進んでいっているようだが・・・乗りかかった船を途中で降りるのは無責任か・・・続けて違うパーティーを経験してみるのも悪くない・・・)
シセスタ「このままでは埓が開かないな~‥‥‥仕方ない... わかった。やるよ。」
(アイラを助けると思って・・・)
渋々アイラの好感度を上げるために為に承諾する。
少女B「ちょっと!・・・何を勝手に!」
少女Bは食い下がるが、却下だ!話はまとまった!
アイラ「ごめんなさい...シセスタさん。お願いしても・・・」
申し訳なさそうに上目遣いで頼まれた。
シセスタ「いいんだ。気にしないでくれ。アイラ。ちょうどエメリアに十等級になったから協調性を身に付ける為に他の冒険者とパーティーを組むように言われていた所だ。昨日は同じ等級の冒険者と組んだから今日は下の等級と組んでみるよ。大丈夫。全員生きて返すから。」
アイラ「ありがとうございます!シセスタさん!エメリアが休みで・・・どうすればいいのかわからなくって!助かりました!私も最短で十等級になったシセスタなら大丈夫だと思います。この子たちを死なせないで下さい!お願いします!」
シセスタ「うん。任された!よし!みんな準備はいいか?俺は装備を着けてくるから心の準備でも整えておいてくれ!」
反論は許さない態度で、そう言い放つと更衣室に向かった。
シセスタ(やれやれ・・・面倒な事を背負い込んだなー)
現地の地図と請負証明書をアイラから渡され受け取り信頼を寄せられた以上、必ず全員を生きて返さなくてはいけない。
装備を一式依然と同じように全部付け終わると更衣室を出て先ほどのパーティーに合流する。
強化シャードは武器の手入れのボタンを忘れずに押しておいた。
シセスタ「よし!全員いるな?聞いてくれ!俺の名前はシセスタ・アデルだ!今回、君たちとゴブリンの集団を駆逐する事になった!よろしく!君たちの名前と出来ること・できない事は時間を有効に使うため道すがら教えてくれ。では早速!移動を開始する!迷子になるなよ!」
シセスタは少年少女のパーティーを引き連れ移動を開始した。
◇
シセスタ「さっそくで悪いが自己紹介を頼む。」
少女A「私はセナ・キュヌリア。見ての通り武闘家よ。私の家は代々武闘家の家系なの。よろしくね?イケメンさん。」あざとく片目を瞑って深い青色の髪を持つ少女は挨拶してきた。
少年「俺はビセット・イクツィートです!剣士を目指してます!よろしくお願いします!セナとは幼馴染で長い付き合いです!」短髪でスポーティーで快活な少年だ。
少女C「あ、あの…フィレナです。孤児院出身で苗字はありません… 治癒魔術が使えます!よろしくお願いします…」この娘は金髪碧眼の優しい雰囲気の娘だ。
少女B「・・・・・・・・」
少女Bは自己紹介を始めない暫く待ったが一向に口を開く様子がない……
シセスタ「・・・・・・おい!魔法使い!名前は!」
シビレを切らし少女Bに強く詰め寄る!
少女B「はぁ?だいたい!なんでアンタが仕切ってるの?マジ、ウザイんですけど……」
赤毛のショートカットこと少女Bは笑みを浮かべながら反抗的な態度をとってきた!!!
シセスタ「……お前、年上かつ格上の俺を舐めてるのか? (メ゜皿゜)フンガー」
あまりにも生意気なので思わず大人気なくシセスタもムキになる!
フィレナ「あわわ!ナーエナさん!協力してもらっているのに失礼ですよ!仲良くしましょう?!ね?」
フィレナが一生懸命、少女Bことナーエナを諌める。
ビセット「すいません!シセスタさん!この人……賢者学校を主席で卒業した人でプライドが高いんです。大目に見てくれませんか?」
こっちにはビセットが間に入ってきた。
ナーエナ「チィ!(舌打ち)ナーエナ・ルピシール!――気安く呼ばないでよね!」
観念したのか、嫌々ながら自己紹介を言い放つ。
シセスタ「こいつ舌打ちしやがったぞ!!……(#`Д´)得意分野は?!」
怒りを堪え冷静に質問を続けるがナーエナは更に挑発してきた!
ナーエナ「( ´ー) フッ 何が年上の格上よ。単なる小物じゃない!
( ゜∀゜)アァーハッハッハッハ!!」
ナーエナは馬鹿にした態度でシセスタを嘲笑した!
シセスタ「ヽ(`Д´#)ノ ムキィーッ!!!貴様!!教育が必要な様だな?!」
ナーエナに飛びかかろうとするシセスタを全員が止める!!
ビセット「シセスタさん!!落ち着いて下さい!!」
セナ「後で言って聞かせるからね?!落ち着いて?!ね?!」
フィレナ「暴力は良くないですぅ!!!ひとまず落ち着きましょう?!」
全員に止められ自身の大人気なさに気づいたシセスタは怒りを呑み込んだ。
ナーエナ「(。・m・)クス まるで猿ねぇ?」
怒りを呑み込んだシセスタをナーエナは更に小馬鹿にした態度で挑発してくる。
シセスタ「(*゜д゜)ぐぬぬ……」
それでも怒りを堪える――このパーティーに参加すると決めたのは自分であり年長者として彼らを生かして返すのが本来のリーダーのあるべき姿だからだと考えたからだ。
セナ「ちょっと!更に挑発しないで!!ナーエナ!!」
ナーエナ「ふん!」
ナーエナは、そっぽを向くとようやくシセスタへの挑発をやめた。
――――――――――――――――――――――――――――――
歩き通しでようやくゴブリンの集団が目撃された地点に着いた。
そこには確かに無数の小さい足跡があった……
シセスタは前世のC国軍相手のゲリラ戦で培った民兵時代の経験から足跡の数からゴブリンは30から50匹はいる事、足跡の深さから体重平均15キロ~25キロほどで足跡の深さに多少のバラツキがあることから様々な武装している可能性が考えられると予想した。
集団は一定の歩幅と間隔で南南西に進んでいる……
シセスタ「これは‥‥‥手こずりそうだな……」
足跡を見ながら素直に感想を呟く...
ナーエナ「あら? 怖かったら帰っていいのよ?たかがゴブリンなんか私の魔法で一撃よ。」
ナーエナがニヤニヤしながら魔法の杖を見せびらかす!
シセスタは思う……
昨日のフラン、エリザベスに続き魔法使いは、こんな捻くれた自信過剰な奴だらけなのかと...
シセスタ(よくよく考えれば俺も魔法を使えるけど、そうじゃ……ないよな?...ヤバイ。急に自身がなくなってきた。)
急に不安になったので、これまでの思い返してみる……
突然、強大な力を手に入れたシセスタには思い当たるフシがあり過ぎた...
シセスタ(き、気をつけよう……(汗))
“自分も気を付けなければ”と思い直しながらもナーエナを注意を促す。
シセスタ「敵をあまく見るな。統制が取れていて頭数も多い・・・指揮官的な存在の奴もいるようだ‥‥‥」
ナーエナを諌めっているとフィレナが疑問を口にしてきた。
フィレナ「足跡だけでそんな事がわかるんですか?」
シセスタ「ああ。しかも、同じような足の大きさの奴でも体重にバラツキがありすぎる。これは、あまりにおかしい……」
セナ「体格差があるってこと?」
シセスタ「それならまだいいが、武装に違いによる体重差だった場合は問題が更に深刻だな・・・もしかしたら原始的な槍や斧だけじゃなく人間からかっぱらった武器で武装している可能性も出てくる‥‥‥」
フィレナ「す、すごいです……」
フィレナが尊敬の眼差しを向けてくる――
金髪碧眼の美少女に尊敬の眼差しが眩しい……じゃない!!
(ああ!いけない!いけない!さっき思い直したばかりなのに)と自身の思い上がりを振り払う。
ビセット「それで方向はどっちに?」
シセスタ「南南西の方角に向かってる……」
シセスタは地図を広げ南南西に何があるか確認する。
シセスタ「渓谷か‥‥‥サバイバル生活には最適だな。谷には水が集まりやすいから食べられる実や植物もあるし川から運ばれてくる石同士を叩きつければ原始的な槍や石ナイフ・矢じりも簡単に入手できる。」
「木は火を起こす材料どころか、つる科植物とうまく併用して骨組みを作ってその上に大きい葉を重ねれば寝床や雨風を防ぐ壁や屋根――くわえて魚・小動物を捕る罠も構造が簡単な物なら作れる」
「しかも、森林に紛れていれば外敵に所在を特定されにくいし、地形さえ把握していれば少ない戦力で伏兵や奇襲もしやすい……トラップも間違いなく仕掛けられてるだろうな。敵ながら、よく考えたな‥‥」
前世の民兵時代の経験とゴブリンの高い知能を踏まえ渓谷に群生している山林が如何に今回の敵にとって有利で有益か?新人でも分かりやすいように噛み砕いて説明する。
セナ「な、なんだか……すごく難しいクエストに思えてきた...」
フィレナ「だ、大丈夫でしょうか?」
ビセット「で、でも……ご、ゴブリンでしょ?楽勝だよな?でしょ?!シセスタさん!」
新人たちが不安を次々に口にするが、まだ敵を甘く見ているようなので、どんな敵で、どのような準備をしている可能性があるか説明を続ける‥‥‥
シセスタ「最新の魔物図鑑によればゴブリンは人間と変わらないくらいの高い知能を持った人形生物らしいぞ?捕食した動物の骨や牙・爪・歯で多種多様な武器を作ってるだろうし、皮を鞣して革の防具くらい作っていても不思議じゃない。」
「下手したらお前たちよりも装備の充実しているかもな?弱いけど原始的な武器で完全武装した軍隊と何の軍事的訓練も積んでない上、装備も貧弱なお前らどっち強いだろうな?」
新米たち「‥‥‥」
大半の新米冒険者たちは言葉失った。取り敢えず危険性を考えさせる事には成功してようだ。
ナーエナ「ち、ちょっと!!アンタ!パーティーの士気を下げてどうするのよ?!馬鹿じゃないの?!」
ナーエナはシセスタのせいでパーティーの士気が下がった事に危機感を抱いたのか、面と向かって抗議してくる!
シセスタ「敵に戦いを挑む前に勝てるか?どうか判断させて何が問題だ?そもそも今回の責任者をギルドに任されているのは俺だ。つまり、死傷者が出る可能性を考えさせるのも俺の役目だ。お前は黙ってろ。」
冷たい声で有無を言わせない態度をとると
ナーエナ「ッ!うぅ………」
ナーエナ懸命に反論しようとするが正論に黙らざる負えなかった。
やれやれ‥‥‥仕方ない‥‥‥少し助け船を出してやるか‥‥‥
仏心でナーエナのフォローをする。
シセスタ「勘違いするなよ?俺は“やるな”と言っているんじゃない。命を賭して戦う経験は決して悪い経験じゃない。だが、ヒーローになろうとする必要もない!自分たちの力量をよく考えろ………もし、やるとしても今回は俺がいる。必ず、お前たちを生きて返してやる。やるか?やらないか?時間をかけてもいい。自分たちで決めろ……」
しばらくの沈黙ののちビセットが口を開いた
ビセット「や、やります...俺!やります!そのつもりで、ここまで着たんですから。」
続いてセナが口を開く。
セナ「そ、そうよね!ここで逃げたら私達いつまでも一二等級のままだしね?!実力を示さないと!」
フィレナ「わ、私もやります!本当は怖いですけど...皆さんを置いてヒーラーが逃げ出す訳にはいきませんから!」
ナーエナ「ふふん(笑)!どう?!意見は纏まったわ!」
ナーエナは自分が話を纏めたかの様に年に不相応な豊満な胸を張り勝ち誇った顔をする。本人は満足したようだ‥‥‥
シセスタ「仕方がない...では、これよりゴブリンの根城にしていると思われる渓谷に向かう。なにか以上があったら報告するように。」
シセスタは渋々ながらパーティーを率いてゴブリン集団の足跡を辿りながら追跡を開始した。
――――――――――――――――――――――――――――――
数刻も経たない内に渓谷に到着した。
渓谷にはシセスタの予想通りジャングルが広がっており天然の要塞と化している……
シセスタ「(小声)待て!また歩哨だ。伏せろ...」
パーティーの面々を伏せさせ――草陰に隠れながら、こっそり近づき手を歩哨に伸ばすとゴブリンの口を塞ぐとスローイングナイフを首筋に突き立てる!
シセスタ「これがゴブリンか...」
殺したゴブリンは形容しがたい奇々怪々な姿をしている。
サイズこそ子どもだが肌が黒緑色の肌で背が異様に曲がっており、皮から骨が見えるほどガリガリに痩せている。
青白く目は異常なほどに大きくギョロとしていて、頭髪・体毛はほとんどない、顔はシワだらけ醜悪だ。
シセスタ(まるで指輪○語に出てくるゴラ○にそっくりだな……まあ、こっちの方が一回りか二回り大きいが……)
「(小声)ちょっと!いつまでコソコソしているのよ!」とナーエナが小声でシセスタに噛み付く!
シセスタ「(小声)なんだ?ナーエナ?数で勝るゴブリン相手に正面から突撃したいのか?お前だけでやれ!( `д´*)アホ!」
ナーエナ「(小声)アホって何よ!アンタこそアホじゃない!( `д´*)」
シセスタ「(小声)うるさい!劣勢の側が優勢な側と戦う際に優位を確立するには姿を見られず倒していくゲリラ戦が一番なんだよ!」
フィレナ「(小声)あ、あのぅ……こんな時に喧嘩は……」
フィレナがふたりに冷静になってもらおうと声を掛けるが……
「うるせぇ!喧嘩じゃねぇー( `д´*)」
「うるさいわね!喧嘩じゃないわよ!( `д´*)」
フィレナ「ご、ごめんなさい!(p>□<q*)」
ふたりに怒られ急いで謝り、涙目になってしまった……
シセスタ「あっ、ごめん...フィレナが正しいよ...」
ナーエナ「ふん!」
ナーエナはバツが悪くなったのか……鼻を鳴らす。
セナ「先が思いやられそうねぇ……」
セナの問いかけにビセットは肩を竦め同意する。
そうこう言い争って内にあたりを一望できる地点に到着した。
シセスタ「(小声)おい……冗談だろ……」
シセスタが驚くのも無理はないゴブリンは30~50匹どころではない……
――ここにいるだけで300匹くらいは、いるではないか!!
フィレナ「(震え声)ど、どうしましょう!」
シセスタ「(小声)これは俺たちの手には負えないな……止む終えない!奴らに気づかれてない内に勇気ある撤退をしよう!この情報を、なんとしても!生きてギルドに持ち帰らなくっては……」
シセスタが全員の同意を取り付ける為に全員の顔を伺うと……
シセスタ「――おい、ナーエナはどうした?姿が見えないが……」
セナ「え?あれ?さっきまで、ここに……ビセット?」
セナがビセットの様子が、おかしい事に気づく!
ビセット「いや…その…シセスタさんが隠したゴブリンの死体を分かりやすい場所に移動するから『何か聞かれたら誤魔化しておきなさい!』って……」
シセスタは顔面蒼白になる……
シセスタ「マズい……ナーエナを探して止めないと!」
焦って辺りを見渡すが無情にも――敵襲を知らせる角笛の音が鼓膜を劈いた!!
シセスタ「やってくれたな……ナーエナ」
シセスタが顔を両手で覆い尽くし呟くと今にもスキップしそうなナーエナがパーティーに追い付いて来た!
ナーエナ「ふ~ふん!どう!これで戦わざる負えなくなったわ!」
フィレナ「ううぅ……シクシク……死んじゃうよ...」
ナーエナ「あ、あれ?なんで泣いてるの?フィレナ?」
フィレナの涙に困惑するナーエナにセナが言いにくそうに敵のいる方向を指差す
ナーエナは敵のねぐらを見て固まる……
ざっと見ただけで300匹近いゴブリンが寝ている仲間を起こし武器を次々と配っている様子が目に入ったからだ。
ナーエナ「あ、あれ……ナニ……この数……」
青ざめながら敵の数に呑まれているが、時すでに遅しゴブリンは警戒し臨戦態勢に入っている……
(ああぁぁ~ なんで、誰にも相談せずにやっちゃうかな~ ぬうぉぉおおお~)
(いや!ナーエナに正面から向き合わなかった俺も悪いよなぁ~)
シセスタはナーエナの暴発を予期できなかった事を悔やみながら頭を抱え心の中で呻いた。
自分の、しでかした事の重大性にようやく気づいたのか――
ナーエナは小刻みに震えていた……
いずれにせよ自分も含め全員の気持ちを切り替えて移動しなければいけない...
この場に長く留まっても見つかる可能性がある以上は...
なんとしても敵の包囲が薄いとこから一気に逃げ出さなければ……
シセスタ「(小声)みんな集まれ!いいか!やっちまったもんは仕方ない!みんな切り替えていくぞ~。よし、みんなよく聞いてくれ!出来る限り見つからない様に移動するが、発見された場合は強行突破するぞ。大丈夫だ!俺がついてる!付いてこい...」
かなりの緊張感とプレッシャーだが顔に出すわけにはいかない!
リーダーの同様はパーティー全員に伝わるのだから...
パーティーを先導し木陰や草むらに隠れながら息を殺し敵をやり過ごしていく...
何回か敵のやり過ごして移動して行くと警戒の薄い場所を見つけた。
とは言え30匹くらいが、バラけて警戒していて狙いが絞りにくい...
シセスタが魔法を使えば威力が、ありすぎて所在が広範囲にバレるし一撃で全部を仕留められるような数でも配置でもない...事を起こせばゾロゾロ集まってくるのは間違いだろう...
シセスタ(――負傷者を出す覚悟で押し通るしかない……)
チャンスは一度きり……失敗すればゴブリンに包囲されて全員死ぬ……
地図を広げ逃走経路を選定する...
シセスタ(どうする……地の利は奴らにある……連中は大軍...もし追跡網を5回も6回も張られたら追撃を振り切れない...)
地図を睨みつけているとオレンジ色に塗りつぶされた区画がシセスタの目に止まった!
シセスタ(高レベルの危険種が出没する【魔の森】――危険な賭けだが……ここなら警戒して連中も繰り出して来れないハズ……いや、むしろゴブリンの大軍を巻けるのは、ここしかない!俺たちが生き残るには追撃を振り切る必要がある以上、ここを通り抜けるしかない。)
シセスタは振り返り全員の顔を見ると説明を始める。
シセスタ「(小声)いいか?みんなよく聞いてくれ。これからゴブリンたちの鼻先を強行突破する。敵を巻くために南南東に走るんだ。セナ!俺が攻撃を開始したらフィレナを連れて前衛を頼む。ビセットお前は中衛を。セナとフィレナが敵に喰い付かれたら二人をサポートするんだ。ナーエナ。お前は俺と一緒に一番危険な後衛だ。殿を務める俺の撤退を援護しろ!お前に俺の命を預ける。出来るな?」
ナーエナは一瞬、驚いた顔をしたが深呼吸をすると覚悟を決めた顔で頷いた。
ナーエナに「いい顔だ。」と微笑みながら言うと話を続ける。
シセスタ「よし!みんなもいいな?チャンスは一度キリだ。このチャンス逃せば俺たちは包囲され普段俺たちが魔物にしているように容赦なく殺されるだろう。全員の命がかかっている。必ず成功させるぞ!」
全員が力強く頷いた。
さて――そうとなれば作戦決行だ。
シセスタは草陰から風のように素早く出ていきゴブリンたちに向かって疾走するとシャードで素早くゴブリンたちを切り伏せて行き戦端を開いた!!
ゴブリンたちが突然の出来事に対応できず次々と人ならざる悲鳴を上げ絶命していく!!
セナ「す、すごい…… ツッ!!――行くわよ!!フィレナ!!ビセット!!」
3秒もしない内に15匹ほどのゴブリンが斬り伏せられセナは思わず見とれてしまっていたが、すぐに我に帰りフィレナの手を取ると南南東に駆け出した!!ビセットもセナたちに続く!!
シセスタにゴブリンたち注目が集まり奇声を上げた!!
ゴブリン「ワシ!!殺されるぅうううう!!!ワシら!!あつまれぇええええ!!」
シセスタ「なっ!人語?! ナーエナ!!先に移動しろ!!撤退するぞ!!」
人語を喋ったゴブリンにとても驚いたシセスタだが予定に変更はない!!
かかって来たゴブリンを切り伏せ、ナーエナに大声で叫ぶとセナたちを追って移動を開始する!!
ゴブリン「ゆにれーす!!ゆにれぅぅうううすーーー!!」
ゴブリンたちが何やらこちらを指指して叫んでいる!
シセスタ(ゆにれーす?なんか……つい最近似たような言葉をどこかで見たような気がするが……)
だが、気にしている余裕はない。あっと言う間に先行していたナーエナに追いつく!
ナーエナ「もう!追いついたの?!」
シセスタ「ああ!!それよりも!もっと速く走れ!!ゴブリンども!!仲間を殺されて殺気だってるぞ!!」
遠方から聞こえてくるゴブリンの声が近づいて来るのが聞こえたのかナーエナも走り出す!
ナーエナに合わせて走っているとセナたちに追いついた!
どうやらゴブリンの別働隊がいたらしい!
数匹のゴブリンが倒れておりビセットが負傷しており、セナがフィレナを庇い交戦中している!
スローイングナイフを投げゴブリンに命中させるとすかさず、ナーエナが火矢の魔法を御見舞いする!
セナ「?! ナーエナ!ありがとう!助かったわ!」
フィレナ「ビセットさん!しっかり!今、治癒魔術を!」
フィレナがビセットにヒールをかける!
暖かな光がフィレナの手から発現しビセットの傷を癒やしていく
ビセットの苦痛に歪んだ顔が引いていく。
ビセット「……ありがとう……フィレナ。」
だが、まだ痛いのか油汗をかいている…
シセスタ「大丈夫か?もし、走れないなら背負って行くが?!」
ビセット「へっへっ……大丈夫ですよ...俺こう見えても頑丈なんですよ...走れます。」
ビセットが気丈に振舞っていると突然、声が響く!
???「ゆにれーーーーすぅぅぅううう!!」
ゴブリンたちが追いついて来たようだ!
シセスタ「マズい!走れ!」
ビセットに肩を貸しパーティーは再び走り出し逃避する。
ナーエナ「危ない!!」
ナーエナが声を荒げるとビセットと共に走っていたシセスタに抱きついて来た!
ナーエナの体が崩れ落ちる……
フィレナ「ナーエナさん!!」
セナ「ナーエナ!!」
シセスタを庇ってナーエナ矢を受けた様子だ!
シセスタ「くそ!ビセット!フィレナ!セナ!走れ!ナーエナを抱えて行く!もう少し行けば確実にコイツらを負ける所に到達する!」
フィレナ「で、でも!」
セナ「っ!――行くわよ!フィレナ!ビセットに肩を貸すのを手伝って!!」
フィレナは戸惑いながらもビセットに手を貸し走り出した!
シセスタはナーエナを脇に抱え走りながら鑑定・解析は走らせ目ではわからない容態を調べる!
名前:ナーエナ・ルピシール
性別:女性
LV:7
種族:人族
年齢:16
ジョブ:賢者
状態:毒矢を受け危険な状態。
シセスタ「毒?!アイツら毒まで扱えるのか?!」
シセスタはアイテムボックスから解毒ポーションを取り出すと一段止まりナーエナの負傷箇所にポーションをかける!!数秒も経たない内に表示が変わる。
状態:ポーションにより毒が解毒開始
シセスタ「よし!」
ゴブリン「ゆにれーすぅうう!!」
どこに潜んでいたのか一匹のゴブリンが飛びかかって襲ってきた!
突然の出来事に対応できずにマウントを取られる!!
シセスタ「く、くそ!! 放しやがれ!! この!!」
ゴブリンは思った以上に力が強く、なかなか振り払えない!!
ゴブリン「ゆにれーす!!にくい!!にくい!!ワシら、おまえら、ゆるさん!!ワシらフクシュウする!!」
シセスタ「うるせぇ!!身に覚えがねぇよ!!」
ゴブリン「ゆにれーす?! ワシら、コトバしゃべったぁぁあああ?!!」
相手が驚いている隙きに思い切りスローイングナイフをゴブリンの目に突き立てる!!
「ぎゃあああーーー!!!」という絶叫しているゴブリンを力いっぱい蹴飛ばすとナーエナを抱え走り出す!!
ゴブリン「ゆにれーすぅううう!!ころす……ころす!ころす!!ぜったい!ゆるさん!!」
後ろから聞こえてくるゴブリンの怨嗟の声音に強烈な恐怖を覚え目もくれず一心不乱に森を駆ける!!
シセスタ(なんなんだ!!なんだよーー!!やばい!ヤバイ!殺される!!)
ナーエナを抱えているというのに人間とは思えない凄まじいスピードで走り抜けると数分もしない内にセナたちに追いついた
シセスタ「ビセット!もういいのか?!」
ビセットは既に肩を借りずとも走ることが出来る様子だった!
ビセット「シセスタさん!もう追いついたんですか?!」
シセスタ「その様子だと大丈夫そうだな!もう少し、このまま道なりだ!」
メンバー率いて先導するとようやく【魔の森】の近くに到達した。
シセスタ「フィレナ。ナーエナにヒールを」
フィレナが応じナーエナにヒールをかけるとナーエナの顔が安らいでいく...
シセスタ「みんなよくやった。あとはこの森を南西に抜けるだけだ...だが、この森にはひとつ問題がある。」
一瞬緊張が緊張が解けた顔だったが、シセスタの不穏な言葉に再び全員の顔が曇る
シセスタ「ここから先は高レベルの危険種が出没する【魔の森】だ。ゴブリンの大軍の追跡網を逃れるには、ここを通過突っ切る必要がある。俺たちに、もはや退路はない...今まで以上に警戒して進む!絶対に俺から離れるな!わかったな!」
フィレナは絶望した様子で「そんな...」と呟いたが、幸いにも他の面々は緊張しながらも弱音を吐かない。
シセスタ「フィレナ!心配だろうが、大軍ならまだしも1体2体3体程度の危険種相手なら俺は引けを取らない!!信じて付いて来て欲しい!」
自信たっぷりにフィレナを説得すると、ようやくフィレナは無言で頷いた。
シセスタ「よし...それでは【魔の森】を入るぞ。俺が先導する付いてこい。」
シセスタ、ビセット、フィレナに続き、セナがナーエナに肩を貸しながら続く形で移動を開始する。
――――――――――――――――――――――――――――――
【魔の森】に踏み入ってどれくらいの時間が経っただろうか?
この森は先程まで森と違い背の高い木影や草陰のせいで真昼間だというのに薄暗くヒンヤリとしている。
風がなく空気はドンヨリとしており世界が止まったかのような静寂に包まれている。
ビセット「静かすぎる……」
セナ「不気味ね……」
フィレナ「こ、怖いですぅ……」
シセスタ「はぁ~ みんな大丈夫か? 逸れるなよ?」
すっかり全快したナーエナと共に地図を見ながら移動する。
ナーエナ「このランドマークから北西のランドマークまでは60キロよ。」
賢者のナーエナに手伝ってもらい三角測量を用いて大体の位置と経路を割り出しながら進んでいく
シセスタ「そうか……え~と……俺たちが入った地点が、ここだから……ゴブリンに接敵するまでに大体20キロ移動した、そこから南南東に逃亡を開始して……【魔の森】に到達するまでに30分くらいだから……30分圏内で南南東の【魔の森】に到達したんだから場所だから恐らく、ココらへんだな……」
いくつもの三角形を地図に描きながら現在地を割り出していく。
シセスタ「俺たちの現在の速度が時速4キロだから……順調に行けば今日中に【魔の森】を抜けられるな……完全に森を完全に抜けるのは明日の夕刻だが。」
今夜は森で一夜を明かす事になりそうだ。
――――――――――――――――――――――――――――――
数時間後、運良く魔物に会敵する事もなく【魔の森】を抜ける事に成功した。
シセスタ「ここは平坦で開けていて危険を察知しやすい...野営に適している。今夜はココで野営する。セナ!ビセット!薪に使えそうな木を調達してきてくれ!俺・フィレナ・ナーエナは木々を組んで寝床を制作するぞ!よし、全員かかれ!」
全員が行動を開始する。
シセスタ「木々の分かれ目に他の切り倒した木々を組んで設置するんだ。二人一組で警戒に交代に立つから寝床は3つあればいいだろう。」
3人で悪戦苦闘しながら不格好な即席のベットが完成した。
シセスタは寝袋を3つを取り出し設置していく。
シセスタ「まぁ……こんなもんだろう」
セナとビセットが薪を集め終わって戻ってきた。
ナーエナが薪に火を放つと無事野営の設営が完了した。
全員でクジ引きシセスタとナーエナが先に寝袋で休む事になった。
シセスタ「はぁ~ やっと一息つけるな~」
極度の疲れと緊張からかシセスタとナーエナはそうそうに眠りについた。
――――――――――――――――――――――――――――――
気持ち良く寝ていると突然叩き起こされた!!
ビセット「シセスタさん!!起きて下さい!!魔物です!!」
はっ!して飛び起きると体長8メートルの強大なイノシシが今にも突撃してきそうな様子だった!!
シセスタ「うわぁあああ!!コイツ!!【○ののけ姫】で見た事あるぞ!!」
寝起きで寝ぼけた事もあって思わず心の声が出てしまった!!
シャードを取り出しながら【○っとこ主?】が突進してくる前に、こちらから突撃する!!
【○っとこ主?】;グウォオオオーーー!!!
シセスタ「うりゃやややーーー死に晒せやぁあああーーー!!!」
【○っとこ主?】;ビィギギギィィイイイーーーー?!!
シャードを脳天に突き刺し一撃で仕留める!!
シセスタ「よし!仕留めたぜ!あっ!解体スキルを発動しておくの忘れた。えっと……おおお!!発動してなくても操作すれば出来じゃん!!」
他の面々は唖然としている……
コイツ気が触れたのか?という感じだ……
フィレナ「あ、あのぅ~……シセスタさん?」
シセスタ「はっ! おおお?! いや、何でもないよ? 寝ぼけてただけだから?」
変なテンションで【○っとこ主?】は解体スキルによって光の粒子となりシセスタに吸収されていく...
ナーエナ「なっ?!スキル?!」
ナーエナ以外の面々も驚愕している……
シセスタ「あ、うんうん!俺スキル持ちだから!」
そう言いながら確認する。
【○っとこ主?】あらためワイルド・メガ・ボアと言う魔物のようだ...
≪以下を取得しました。≫
ワイルド・メガ・ボアの骨・肉・皮・牙 x1
ワイルド・メガ・ボアのカード x1
ワイルド・メガ・ボアの魔核・魔石・クリスタル x1
シセスタ(スキルは獲得出来なかったか...まぁ、いい。幾らでも機会はあるだろうし……)
シセスタ「みんな!朗報だぞ。肉が手に入った!」
気を取り直し肉を選ぶ...
【肉を分割する】を選び肉を分割しフライパンに投入すると香草と塩で味付けする...
三皿の皿に肉を盛り付ける。
シセスタ「ビセット。セナ。フィレナ。先に食べて、もう休め。ここからは俺とナーエナが警戒につく。ナーエナ。俺と一緒に見張りだ。十分休んだな?」
ビセットとセナ・フィレナは食事を摂ると寝床についた。
シセスタとナーエナは洗浄魔法で洗った皿とフォークでセナたちが食事をしている間に調理しておいた肉を見張りを行いながら食べる。
ナーエナ「今日はあなたに驚かされてばっかりだわ……」
ビセットとセナ・フィレナとが寝静まって、背中を合わせながら見張りについているとナーエナが話しかけてきた。
シセスタ「俺はお前にヒヤヒヤさせられぱなしだった。」
ナーエナ「ごめんなさい...今日は沢山助けてもらったわ...ありがとう。」
シセスタ「妙に、しおらしいじゃないか?」
シセスタはナーエナと話しながら脳内でクラフト・合成を弄っていた。
ナーエナ「今日は何回も死にそうになったわ。いや、それだけならまだ良い……セナやビセット・フィレナまで巻き添えにしそうだった。でも、そのたびにあなたが助けてくれて...さっきの魔物も...」
シセスタ「でも、ナーエナ。慰めるわけじゃないが……お前はその後、仲間の為に助けようと貢献しようとしただろう?自分の命をかけてゴブリンの攻撃から俺を庇ってくれただろう?お前は、もう十分。罪を償ったさ……もし俺がゴブリンの毒矢で死んでいたらビセット達は生きてココまで来れなかった。直接助けたのは俺かもしれないが、間接的にはお前が仲間を救ったんだ……もっと自分を誇れ。」
ナーエナ「慰めてるわよ...バカ...」
ナーエナは涙声で反発するが、最早そこに反発心はない。
シセスタ「やれやれ……お前は気が強いのに泣き虫だな...よし、そんなお前にはこれを被せてやろう」
シセスタはクラフト・合成で作ったワイルド・メガ・ボアの防寒具をナーエナに優しく肩に掛ける。
ナーエナ「?!」
シセスタ「お前は笑っていた方が可愛いぞ。きっと...」
シセスタは美しい顔で微笑みながらナーエナの頭を撫でてやる。
ナーエナは顔を真っ赤にしながら「ば、バカじゃないの!私はその程度で靡くほど安い女じゃないんだからね?!」と言いながら防寒具で顔を覆ってしまった。
シセスタ「ふっ……照れてるのか?かわいい...」
シセスタは、しばらくナーエナを弄って楽しんだ。
――――――――――――――――――――――――――――――
翌日、ようやく夕刻に森を抜け無事、フェイルシュタットに戻ってきた。
冒険者ギルドに報告に行くとアイラが泣きながら駆け寄って来てくれた。
どうやら一日経っても戻って来なかった事を心配いてくれたようだ……
その後にエメリアにゴブリンが大軍を組織している事を報告し詳細な地形を記した地図を渡した。
エメリアは狼狽していたが、すぐに冷静さ取り戻し大規模な討伐を行うため書類を作成し始めた。
シセスタ「んん~ で、これからどうするだ?お前たち...泊まっている所に帰るのか?」
背伸びしながらセナ達に今後の事を問う...
セナ「ねぇ?みんなどうする……クエストの情報を持ち帰ったお蔭でお金は少しもらったけど?」
フィレナ「どうしましょう~?」
ビセット「宿屋は高いし、無駄遣い出来ないよな...」
ナーエナ「結局、死にそうになっただけだったわね...しばらく、新人冒険者用の集団生活寮を出られそうになさそうね...」
全員ズゥーンと暗くなる……
シセスタ「新人冒険者用の集団生活寮……ああ!ゲイザーが言ってた――あれだろう?郊外にあるとか言う生活環境が最悪な?」
セナ「まるで、止まった事がないような口振りね?シセスタは何処に止まってるの?」
シセスタ「明日までは宿屋だが家を買ったから明後日からは自宅かな……」
セナ「自宅!自宅があるの?!」
セナが目を輝かせる!
シセスタ「お、おう?!」
セナ「お願い!他の仕事が見つかるまで、泊めて!」
シセスタ「まぁ……いいが……」
セナ「そうよね?駄目よね……えっ?いいの?」
シセスタ「ああ、部屋も余っているし、次の依頼と言わず資金が貯まるまで泊まっていいぞ?もちろん、全員。君達も来るといいビセット、ナーエナ、フィレナ。」
セナ「あ、ありがとう!!」
フィレナ「ほ、本当にいいでしょうか~?」
ビセット「え、マジで...俺もいいの?」
ナーエナ「わ、私は別に……」
シセスタ「自宅はこっちだ。」
いつの間にか全員に置いて行かれそうになっていた!
ナーエナ「ま、待ちなさいよ! 待って~」
――――――――――――――――――――――――――――――
自宅に着くとフィナに声を掛ける
フィナ「ご主人様。お帰りなさいませ。……後ろの方たちは?」
セナ「ご、ご主人様?!」
フィナ「皆さん。お初にお目にかかります...奴隷のフィナと言います。」
ナーエナ「……不潔...」
フィレナ「しょ、ショックですぅ!!シセスタさんが……そ、そんな趣味があるなんて!」
セナ「お、男の人だから仕方ないわよね……」
ビセット「...らやましぃ...」
女性陣から非難轟々だが、ビセットは羨ましいらしい...
(心の声漏れてんぞ...ビセット……ではなく!否定しなければ!!)
そう思っているとフィナが真っ赤になりながら口を開いた。
フィナ「わ、わたしは……です...」
セナ「うん?」
フィナ「わ、たしは...処女です...ご主人様を悪く言わないで下さぃ...」
面々は唖然としている...
シセスタ「す、すまん!フィナ...その……恥を搔かせたな...」
フィナ「い、いえ...」
微妙な雰囲気になってしまった……
――――――――――――――――――――――――――――――
セナ「……」
ナーエナ「……」
フィレナ「あ、あの……」
シセスタ「……取り敢えず、今日は全員休め。俺は寝る。おやすみ。」
フィナ「おやすみなさいませ...ご主人様。」
居た堪れないので寝る事にする。明日になれば、みんな忘れているだろう……いや、そうでなければならない! いや!是非とも、そうあって欲しい!
――――――――――――――――――――――――――――――
=ナーエナ・ルピシール=
=point of view=
――――――――――――――――――――――――――――――
全員が各部屋に散らばったが、セナとナーエナはガールズトークに花を咲かせていた。
セナ「ねぇ~ ナーエナ? シセスタさんってフリーなのかな?」
ナーエナ「さ、さぁー な、なに?セナ狙ってるの?」
セナ「もちろん!シセスタさんってイケメンだし、こんな大きな家を持ってるし? 彼女になりたいな~」
セナは包み隠さず本心をナーエナに言う。
ナーエナ「ぜ、絶対!彼女がいるわ!間違いないわ!あのフィナって娘に手を出してないなんって全然!使用ならないし!」
いつもの癖で思わず反発してしまう!
セナ「う~ん……そうかな~ シセスタさんって誠実そうだし~ 大丈夫だと思うだけどな~」
セナやフィレナの素直な所は羨ましく思う...
素直さはナーエナに無いものだ。
ナーエナ「セナ?見てくれに騙されちゃ駄目よ…… 男なんて女とヤルことしか頭にない馬鹿ばっかりなんだから。」
セナ「そうかなー ちょっと!ナーエナまた胸……大きくなったじゃない?!」
ナーエナ「ええ!ウソ……」
セナの指摘に思わず自分で確認する!
セナ「もう!羨ましい!私なんて普通サイズなのに!」
ナーエナ「む、胸なんて頭の悪い男を呼び寄せるだけよ!フィレナくらいが丁度いいわ...」
セナ「あ~あ……私もナーエナくらいあればな~ シセスタさんをイチコロにできるのに……フィレナには言っちゃダメよ?あの娘けっこう気にしてるんだから……胸の事……」
ナーエナ「ゆ、言うわけ無いじゃない!もう、この話はやめましょう?」
セナ「はぁ…… そうねぇ...私も自分に割り当てられた部屋に行くわ...おやすみ...」
セナは自分の割り当てられた部屋に引き上げて行った...
ナーエナ(急に彼に彼女がいると思うかなんて聞かれビックリしたじゃない...もう……あれ?なんで私がドキドキしてんのよ?! ば、バカじゃないの……)
(た、確かにパーティーの士気が下がったとき助け船を出してくれたり、ヘマをした私を見捨てずに何回も助けてくれたり、昨日の彼は優しかったけれど……べ、別に、そ、そんなんじゃないわ!…………そんなじゃないわよね?……す、好きなの?かな……)
その日、ナーエナ・ルピシールは初恋の味を知った...
名前:シセスタ・アデル
性別:男性
LV:20
種族:人族
年齢:18
ジョブ:冒険者 魔法戦士 聖人
HP:20000/20000
MP:20000/20000
体力:20000/20000
筋力:20000
精神:20000/20000
攻撃力:20000
防御力:20000
スピード:20000
スキル:アマテラス神加護 ツクヨミ神加護 スサノオ神加護 ヨルス神の加護 鑑定・解析 解体
イーニス世界語訳 全能力適正 剣術 投擲 弓術 潜伏 交渉 武器の手入れ 徒手格闘
クラフト・合成 痛覚耐性 暗視 魔力操作 魔力制御 魔力視 魔流視 速読 照明魔法
冷静沈着 索敵・危機察知・気配感知 百発百中 シールドバッシュ 奴隷刻印魔法
古代エルブン語 竜語 ユニレス語
速射 狙撃
ユニークスキル:オーバータイムレイジ ファイナルヒール マスターキー
トークン:山賊の殺し屋 ホーンラビットの天敵 神々に気に入りられし者
残金ユーフティス218,189
【シセスタの装備】
強化されたシャード 棍棒 ワンド バトルメイス ミスリルダガー
村人の弓 スローイングナイフx14 ショートソードx4
黒色のコイフ 黒色のギャンベソン ファルシオンx2
庶民の上着上下 3着 庶民の下着上下 3着 使い古された靴
ブーツ ゲートルの代用布
量産の短い帷子 レザーアーマー ハーフヘルム ラウンドシールド ガントレット
【シセスタのアイテム】
インテリジェンスカード
十等級の認識票
ノシュガン氏から渡された名刺のようなもの
歯ブラシの棒切れ
調理器具・食器
包丁 フライパン 鍋蓋 まな板 フライ返し お玉
フォーク・スプーン・お皿・コップ x3づつ
筆記用具 手鏡 小型ハンマー 寝袋x3
くさび・ロープ・鉤フック・たいまつ・紙 x3づつ
矢49本
HPポーション(小)10個
MPポーション(小)8個
特製ポーション(中)
武器の手入れセット
ラッドマウスの肉及び革・牙 3個
ラッドマウスのカード3枚
ある程度取りつくされたダンジョンの地図
吸血バットのカードx3
ダンジョンラットのカードx62
薪 x545
棍棒x20
ワンドx20
備長炭 x50
トレントのカードx47
ホーンラビットのカードx99
ラージラットのカード x1
最高級の備長炭 x500
ギガントトレントのカード x1
塩3キロ
各種香草
解毒ポーションx3
ランタンを3つ
松明を10本
毒耐性ポーション9
解毒ポーション10
油瓶30
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魔物の図鑑
ワイルド・メガ・ボアの骨・肉・皮・牙 x1
ワイルド・メガ・ボアのカード x1
ワイルド・メガ・ボアの魔核・魔石・クリスタル x1