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神に愛されし者  作者: シューニャ
21/36

Anotherーview 赤熊騎士団

シセスタが休日をとっていたその頃・・・


=ユーフティス帝都 首都ユーラシア =

ーユーフティス帝国軍 帝国安全保障省ー


帝国軍監察保安長官は自身の執務室で、赤熊騎士団から出された報告書に目を通していた。


@報告者;赤熊騎士団副団長 レフィン・マクドネル@

{帝国軍監察保安長官殿}

{先日は元オーラシア王国での山賊身代金要求事件の際、}

{私どもの独断専行を深くお詫び申し上げると共に}

{それに対する寛大な処分とご配慮に手厚くお礼申し上げます。}


{さて、挨拶もそこそこですが、}

{本件に対する事後報告を遅れながら書面にて報告させていただきたく存じます。}


{本事件は、元九等級冒険者 ゲオルグ = ペテューホフ を首謀者とした}

{帝国民誘拐に始まります。}


{不遜な山賊一味は、我々赤熊騎士団に補給を届けたキャラバン隊を奇襲し、恐れ多くも我が国の親愛なる最高指導者様であらせられるユーフティス皇帝の所有物である臣民を盾に地方政府を脅迫し、帝国の財産を巻き上げようとしました。}


{我が騎士団はこれに迅速に対応し、二度目の山賊の奇襲がないように、現地での哨戒活動を強化していた所、偶然にも山賊どものアジトを発見し、ユーフティス皇帝の所有物である臣民の回収が最優先であると考え、これを直接、武力にて征伐した次第であります!!}


{もちろん、軍のシビリアンコントロールの観点から司令部の許可を待つべきでしたが、皇帝陛下と我が帝国に損失を与えたようと事実と山賊どもの逃亡の危険性・新アジトの再発見の難しさから早急な対応するべきであると判断しました。}


{この判断に際しまして、軍の規律と帝国の第一の利益に板挟みになったレビィア騎士団団長をはじめ、帝国軍上層部並びに帝国軍監察委員会皆様の心労は、我々末端の構成員には推し量れません。}


{我々は騎士団は当初、事件の全容や詳細を把握する為にも首謀者だけは生かして捕らえるハズでしたが、人質のひとりが暴発、首謀者殺害してしまいました。}


{結果的に首謀者をはじめ、被疑者は全員死亡し、事件の全容や詳細は分からずじまいですが・・・}

{しかし、皆様のご助力と英断があったからこそ、人質を全員無傷で回収することが出来ました。}

{この功績は周囲にとって大変覚えの良い事でしょう。}


{さてこの報告書の本題に、入りたいと思います。}

{問題は山賊に他の人質と共に捕まっていたこの暴発した青年の出生であります。}

{我々の取り調べによれば彼は本来、山賊の人質ではなかったようです。}


{このシセスタ・アデルという青年は、なんの記憶も現金も身分を証明するものも持ておらず、}

{突然森林で目覚め彷徨っていたと供述していましたが、自身の名前だけは憶えており、}

{山賊の頭目を冷静に一撃で殺傷する手際を持った大変不審な人物でした。}


{実際我々は彼を疑い、山賊の仲間の線 ヴィスト帝国のスパイの線を洗い出すため、嘘を見抜けるスキルを持つ真偽官や嘘を見抜く魔道具など使用しあらゆる方法で調べましたが、何も出てきませんでした。それでも白の可能性が捨てきれないため、しばらく泳がせ様子を見ました。}


{我々は現地勢力や彼の所属した冒険者ギルドに協力を仰ぎ、彼を長いこと監視させましたが、数回見失った程度で、特に不審な行動はしていないようです。主だった彼の行動と言えば、十二等級の待遇から抜け出すため、下水掃除をしたり、町の舗装路を直す最中ホーンラビットに負傷させられたり、オオヨソ山賊やヴィストのスパイの取るべき行動とはかけ離れた行動ばかりのようです。}


{山賊の頭目を仕留めたのも偶然の幸運だったのかもしれません。}

{先日、ユーフティス帝国軍上層部より、”いつまで予算や人員を割いてまで、一人の疑わしい人間を調査するのだ!”と叱責を受け、そろそろこの青年の監視を打ち切らなければならいと思い至り、この報告書をしたためた次第です。レビィア団長は納得していないようですが、この青年の監視を打ち切ってもよろしいでしょうか?}


長官は報告書を読み終えると返信を書き始める。


【よろしい!この青年を被疑者から外し、監視を外す事を承認する!】

【我が帝国には潜在的な敵が多数存在する!。なんの組織の後ろ盾も確認できない一人の若造にコレ以上、予算と時間をかけるのは、私も疑問に感じていた所だ。】


長官は返信を書き終えると、サインと捺印を押した。



赤熊騎士団団長 レビィア・ロックハート =point of view=


山賊身代金要求事件後、自宅の豪邸でレビィア謹慎を仰せつかっていた。

それも明日から解ける。食後のお茶を飲みながらレビィアは考える・・・

あの怪しい青年を本当に放っておいて大丈夫なのかと・・・


(あの青年は人を殺す事に躊躇いや罪悪感に苛まれる事も無かった・・・)

(まるで、人を殺した事があるかのようだった・・・)


???「そんなに憂うお顔をなさって、どうかなさったのですか?お姉様・・・」


妹の問いかけレビィアは現実に戻される。


レビィア「すまない!ロキシー・・・つい考え事をしてしまった。」


ロキシー「もう・・・お姉様たら、きっとお仕事のことね?」

「お姉様は真面目過ぎます・・・ロキシーは心配です。」

「お姉様が体を壊さないか・・・」


レビィア「ありがとう。ロキシー心配させて悪かったな。」


レビィアの妹 ロキシー・ロックハートは昨年騎士学校の士官過程を終え、

城に使える近衛騎士の衛兵になったばかりだ。

元々ロックハートは代々ユーフティス皇帝に代々仕える騎士の家系であり、

ユーフティス帝国で要職を務める血筋の家系であった。


父も戦役で殉職するまで騎士団長だった。

母も侯爵の次女で令嬢だ。

長男の兄は法務長官で、次男は医師ギルドのギルド長。

紛うことなきエリート一家である。


???「ふたりとも騎士になって・・・」


ロキシー「お母様は騎士がお嫌いですか?」


母「当たり前じゃないの!あの人が亡くなって・・・」

「てっきり騎士になるとしてもなるのは息子たちだと思ったのに・・・」

「女の子の貴女たちがなるなんて・・・」


レビィア「お母様その話は十分したでしょう・・・」

「私もロキシーも国に尽くすこの仕事に誇りを持って・・・」


母「誇りを持って何?お父様のように死んだらどうするの?!」

「ロキシーはまだ大丈夫だけど・・・レビィア!」

「貴女このままだと婚期を逃すわよ!」

「この間のいい縁談だって・・・」


ロキシー「お母様それくらいに・・・」


母「よくありません!レビィアも!ロキシーも!」

「必ず身を固めて家庭を築いてもらいますからね!」


母そう言うと従者を連れ巨大な食卓を出て行ってしまった。


ロキシー「お母様!!」


レビィア「よせ!ロキシー!」


ロキシー「でも!お姉様!」


レビィア「お前だってわかっているだろう・・・」


ロキシー「法律ですか?・・・」


そう、ここユーフティス帝国では女性は必ず結婚し子を成すことは法で、義務付けされている。

子供がいないと国として成り立っていかないからだ・・・・

特に特権階級の女性はそうしなければならない。地位の低い男性との自由恋愛など持ってのほかだ!

この世界では同じ特権階級同士が結婚するのが、暗黙の通例をなっている。


特に地位の高い男性はこの国の法律で、何人でも妻を持つことが許されている。

若い女性が妾として地位の高い中高年の男性に嫁ぐのも珍しいことではない。

この世界では女性は物であり、男性のステータスを示す、

アクセサリーでしかないのだ・・・


ロキシー「でも平民のしている自由恋愛に憧れてしまいます。」


レビィア「すれば、いいじゃないか・・・」


ロキシー「お姉様たら、できない事を知ってるくせに・・・」


今のところ、ふたりは異性の良縁に恵まれていない。

大体が逆玉狙いか・中高年のジジイか・貴族のドラ息子か


ロキシー・レビィア

(素敵な男性に出会える日はいつになるのかしら・・・)

(素敵な殿方に出会える日はいつになるやら・・・)


そう思う二人であった。

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