ろく。貴ちゃん先生と慧ちゃん先生
6話同日更新です。
貴ちゃん先生は、うちのクラスの担任である。
ひょろりと高い背丈に、某ロバのように細長いお顔をお持ちの、頭髪が寂しい40代である。あ、ちなみに奇跡の既婚者でふたりの子持ちだ。子供は奥さまに似てかわいいらしい。よかったね。
優しい、というよりチョロい感じな先生だが、生徒思いにはかわりない。お人好しにも程があるがな。
なにより貴ちゃん先生、うちの父の同級生なのだ。さすがにびっくりしたね!
入学して、先生のあいさつの時に親の母校の人いるかー、みたいに聞かれたから手を上げたんだけど、私の名字見てポカーンとしてたよ。
「先生の同級生にも君と同じ名字の奴がいたなー」
とか言うから父の名前を言ったら、膝から崩れ落ちた。ノリがいいな。しかし、なにやったんだ当時の父。
「そうか、とうとう同級生の子供が入学するようになったのか……」
とか呟いてたわ。父は父で「よう、貴ちゃん。よろしくなー」とか先生に対する態度じゃなかったし。マウントとらなくともよろしい。
まぁそんなわけで、貴ちゃん先生はストレスと日々闘ってるんだが、教育実習生として来た慧ちゃん先生が兄の友人だったとか、もうね。御愁傷様です。
教育実習生の慧ちゃん先生はイケメンだ。女子がもれなくキャーキャー言っちゃう程の。長身に細身。爽やかな笑顔が素敵とか言われてるけど、中身は真っ黒黒すけである。
イケメン鬼畜腹黒なんて誰得ですか俺得ですかそうですか。
ちなみに、慧ちゃん先生はうちの兄の幼馴染み兼親友である。兄は妹という生き物に夢を見ていたらしく、慧ちゃんの英才教育で腹黒寄りになった私達を見て泣いていた。私にそんな夢見るんじゃない、なにが天使だキモいわ。
慧ちゃんとはソウルメイトな間柄で兄妹のようなつき合いだけど、勘違いする人は多い(特に女子)ので、関係は秘密だ。全然色っぽくない秘密だけど。
割れ鍋なんかにバレたら最後、告白玉砕木っ端微塵のトリプルコンボ決めるまで、テンション高く騒ぎ続けるに違いない。ああ、鬱陶しい。
だから、慧ちゃん先生はただのイケメン鬼畜教育実習生なのだ。
「みぃになんかあったらとりあえず生きてること後悔させてあげるけどね?」
お手柔らかにお願いします!
貴ちゃん先生の苦労は続く(笑)