よん。桜彩ちゃん。
松山桜彩ちゃんは、私のもう一人の親友である。私はさぁやんとよんでいる。例の割れ鍋の発言に吹いた人物だね。
腰までのロングヘアーに、たれ目がちのおっとりさん。うん、モテるね。
出身が関西なので、なまりも関西。京都よりらしいのでおっとり話されると京言葉。男子がチラチラ声をかけたそうにしてるが、天然砲でスルー。半端なくスルー。
薔薇色の高校生活を自分から放棄して放置する逸材だ。さぁやんの中学生の妹の方が青い春をエンジョイしてると思われる。ちなみに妹はバリバリの関西弁。ちゃきちゃきしてる。
このさぁやんの自称親友が犁嘩子ちゃんだ。あくまで犁嘩子ちゃんによる自称だけど。彼女、さぁやんと仲良しこよしだと思い込んでる模様。さぁやんにスルーされつるのに気づかないなんて、素敵な才能だと思われる。
さぁやん自体がなんでも笑顔で乗り切るので、勘違いされやすいのだけど、誰にでもそうなのできっと何も考えてないのだろう。
ある意味割れ鍋といい勝負だろうな。
犁嘩子ちゃんには、雪原咲ちゃんという、友達という名のお取り巻きがいるんだが、この子も犁嘩子ちゃんの元カレの元カノなのだ。ややこしい。そしてなんだかんだ仲良し。マジ意味不明。
しかもこの元カレ、さぁやんを狙ってるという多角的修羅場。犁嘩子ちゃんが視界に入るなり消える(ほんとに消える。忍者か? ってくらいに)くせに。どうやって口説こうというのか。
でも、さすが天然砲。わかりにくいものからはっきりきっぱりな告白まで完スルー? すっばらすぃー。
さぁやんは、嫉妬なのかなんなのか、犁嘩子ちゃんから謎の挑発を受けるが天然砲で返り討ち。キィー! と叫ぶ人初めて見たよ。
だってさー「あたしぃ、告白されちゃってぇ、どうしよぉうぅ」なんて言われても、私でもスルー対象だというのに、相手がさぁやんだとわかってるはずなのに「モテるあたしかわいいでしょぉ?」アピールされてもさぁ。
「よかったねぇ。これで元カレくんにつきまとわなくてすむねぇ」
とかおっとりにっこり微笑まれてみ? 毒気も抜けるわ。てか、私は抜けた。さぁやん、恐ろしい子。
ややこしいが、展開図はさぁやんを元カレが、元カレを犁嘩子ちゃんが、なぜか犁嘩子ちゃんを咲ちゃんが追いかけてるという永遠の謎状態。そして元カレはドロン。なんなんだ。
今時告り告られ振り振られは山ほどあるけど、多角的修羅場はここだけだと思うよ、ほんと。
なのに、犁嘩子ちゃんの本命は隣のクラスにいるらしい。なぜだ。イケメンだからか。顔か、顔なのか?
「恋に恋してるんじゃね? 割れ鍋といい勝負だろ」
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