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瑞癸ちゃんの華麗なる高校生活。のあれやこれ(笑)  作者: 桜月
人物紹介編(の名のもとに語る日常)
3/25

さん。舞菜ちゃん。

暑いですねー。

 舞菜ちゃんとは呼んだことはないが、割れ鍋こと渡鍋(わまなべ)舞菜(まな)ちゃんは、中学からずっと同じクラスだ。


 中学からみんな、割れ鍋とかチゲ鍋とかチャンポンとか綴じ蓋とか、鍋に関わる呼び方をしている。私はその日の気分で変えてるけど。今は便宜上、割れ鍋で通そう。


 割れ鍋は、私より頭いっこ上に高く、そして横にもでかい。この丸いのが、先日優衣ちゃんに腹筋崩壊した挙げ句、冷静に詰め寄られ撃沈した子だ。ちなみに優衣ちゃんは、今日はエビみたいに前を向いたまま高速バックしてきた。あいさつは当然「みーずきちぃー!」である。


 いつか、ムーンウォークをしてくれるんじゃないかと、ちょっとわくわくしてるのは内緒だ。


 割れ鍋は私のことを親友と呼んでるらしいが、いつから親友になったんだろうか。聞いたら面倒くさそうなので放置で。


 その割れ鍋、恋多き女である。ただし彼氏いない歴=年齢だけど(私も人のことは言えないが)。


 中学時代は、先輩方に声かけまくりの、しかも彼女持ちのひとりにに突撃しタメ語で彼女をこき下ろし、怒りの大魔人と化した先輩により、3年フロアへ進入禁止令が出されたほど。


 あの1年間は、3年フロアから出てくるイケメン待ちする割れ鍋が名物化した年でもあった。告白する前に(告られたら終わりだ、と3年男子がガクブルしてたとの情報有り)ことごとく玉砕したのに、翌日けろっとしてたあのメンタルは普通じゃない。


 そして、高校生になった現在、割れ鍋のターゲットは現在中学3年生に移った。見る限り、狙いを定めたハンターである。怖い。


「あー、中学に戻りたーい。そしたらラブラブできるのにぃ」

「らっ……ぶほっ!」


 夢見る乙女の妄想ピンクな発言に、もうひとりの親友が吹いた。と思ったら前にいた友達がレジ袋で回収してた。予測してたのか流れるような動作だった。おかげで誰も汚れなかった。親友とふたりで友達を拝んでおいた。ありがとう。


「いやー、びっくりしたわぁ」


 京都(出身地)訛りでイントネーションがたまに違う親友は、水を飲んでようやく一息ついた。君、割れ鍋に何年つき合ってるのさ。奴の発言時に口に物を入れてはいけないのは暗黙の了解だよ?


「いや、予測不可能レベルで飛んできたよね、あれ?」

「斜め上も予測すべし」

「マジか」

「自分の身は自分で守るべし」

「マジか」


 悲しいがマジだ。


 知り合いの中学3年男子に泣きつかれたが、逃げろとしかアドバイスできなかった。すまん、後輩よ。恋する乙女はバッファローだ。私だって命は惜しい。君だって、当時バスケ部だった割れ鍋の勇姿をみただろう? マネージャーでよかったと私は胸を撫で下ろしたね。


 一周回れば今度は高校の先輩にスイッチが切り替わるだろうから、耐えろ逃げ切れとエールを送っといた。


 他人事だと思ってー!! と泣きながら走り去られたが、他人事だ。なにを今さら。


「ねぇ、今日も中学に行かない?」

「「行かない」」

「えー」


 えー、じゃありません。


 しかたない。とある子にスマホで連絡を入れたら、ソッコーで返事が返ってきたあと沈黙した。今頃中学は修羅場かラッシュか阿鼻叫喚か。なむなむ。


 早い話、割れ鍋の中学(恋愛的に)征服計画は、発動前に燃え尽きた。


 私が連絡したのは、泣きついてきた後輩のことを好きな後輩女子だ。彼女は、割れ鍋の計画を知るなり、後輩に告白アタックをかまし、彼女の座をもぎ取った。


 それを皮切りに、中学校内は告白ラッシュの修羅場と化したらしい。教師達が阿鼻叫喚の渦に叩き込まれてる間に、目ぼしいイケメンからそこそこまでが売り切れ、勢いなのか本気なのかフツメンまでもが売約されたそうだ。


 それを知った割れ鍋のターゲットは中学から逸れた。危機は去った。中学だけは。次は助けない。私にメリットなさすぎる。


 ブロークンハート(笑)を抱えた割れ鍋に春は遠そうである。



ちなみに、割れ鍋さんの春は高校生のうちにはこない模様(笑)

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