に。
家は家で盛り上がってたよ。
「ねぇねぇ、衣装なんだけど!」
「ん?」
夕食後、リビングで妹と練習してたら、母と祖母がなにか持って来た。このふたりは嫁と姑のはずなんだが、親子のような友達のようなノリがある。まぁ、仲悪いよりいいんだけど。
「映像見て作ってみたんだけど」
「ぅおう」
家のお針子さんズ、すげぇ。一着は赤色の軍服スカート。もう一着は軍服の中に着て早衣装替えするみたいな黒色のタイトなミニスカート。確かに衣装は自分達で準備だけど、これクオリティ高すぎじゃね?
「ちゃんと顔が隠れるように制帽に黒レースつけてみたの。これなら誰かわからないんじゃない?」
さすが母。私が目立つの嫌いなのよくご存知で。これは秋華ちゃんにも許可もらい済み。メインはあくまで
犁嘩子ちゃんで押し通す、誰が誰かわからないように顔はみんなが隠すこと。まぁ、割れ鍋は隠してもバレバレだけども。
二段階で分かりにくくするために、フルメイクも決定した。みんな同じ顔にしてあげる、とはさぁやんの力強いお言葉。それもすげぇ。
「あ、胸はほどほどに詰め物してね!」
一言余計だ、母。
数日後。
いつの間にか、私よりノリノリでダンス完コピしていた妹よ。喜べ、ステージに特別ご招待だ。女子がひとりコケて捻挫したよ。なんてうらやまし……いや、心配だけど位置取りの関係上、人数減らせないんだわ。
「いやいやいやちょ、待て待て待て? ん? いや、完コピはしたけどもさ? ね?」
あなた、歌わなきゃダンス完璧じゃない。なら私のかわりに歌うか? どっちでもいいぞ?
「いや、歌ったらダンスの質落ちるがな。いや、そうじゃな」
「採寸しましょーね」
母と祖母がきゃっきゃと衣装作りのために採寸を始めた。「あたし中学生!」? 安心するがいい。未来のうちの生徒は大歓迎だ。「理不尽!」なんとでも言うがいい。恥は分けあってこそだろう。楽しみだなぁ。
そんなわけで、妹は毎放課後祖父に送迎されて練習に参加することになった。バレないように、私の予備の制服着用必須だけど。
「……姉」
「ん?」
「胸、キツイんだけど」
お前も一言余計だ、妹。