文化祭だよ。いち。
文化祭編です。
秋だよ、文化祭だよ。ちなみに球技大会は終わったよ。結果? 可もなく不可もなくだね。
クラス展示はカフェで決まってるんだけど、クラス発表がダンス以外不可という。なんというか、時代? 私達、一応幼稚園からダンス必修だった世代だからなぁ。
で、超有名な某歌姫のダンスナンバーを女子メインで、ってことになった。男子はバックダンサー扱いでオケ、むしろそれでよろしくとお願いされた。私もそっちがいい。
メインで歌う女子を3人くらい決めて、あとはダンス上手な子を全面に出してなんとかしようと密談が終わったあたりで、空気をよまない犁嘩子ちゃんが「あたし歌いたい」と。
犁嘩子ちゃん、君決して音痴ではないけど、普通でもなかったような気がするんだけど、冗談だよね? え、本気と書いてマジ? マジかー。
さすがの秋華ちゃんも呆れてるよ。ただ、本人が納得しないまま降ろすのもなんなので、犁嘩子ちゃんメインバージョンの可能性を残したまま、練習はしてる。
放課後は毎日練習である。踊らない男子達がカフェの準備を着々と進めてくれている。なぜパウンドケーキを美味しく焼けるのかね。今時のスイーツ男子かね。今度じっくり聞かせてもらいたいんだが。
私はメインの端っこを任された(当然だが、最後列がいいと主張する私と秋華ちゃんとで攻防戦あり)ので、振り付けを映像で確認中である。
試しに、と持たされたマイクに曲を流しながら、一曲通してやってみよう、となったわけだ。うーん、ジャージではステップが確認しにくいのと、衣装着てみないとターンのあたりがいまいちよくわかんないなぁ。
「さぁやん、どう?」
「どう、って」
「瑞癸ちゃん!」
「ぅおう!?」
さぁやんを遮って、秋華ちゃんが私の肩を掴んだ。ちょ、痛いって。
「どこにその歌声隠してたの! あとダンス!」
「どこにもなにも、私の歌声は私のだが。てか、体育くで見てるじゃん」
「ガッツリ手抜きしてるダンスね」
「お黙り、さぁやん」
「瑞癸ちゃん! あなたメインで行くわよ!」
「え、いやだ」
「却下!」
「いや、犁嘩子ちゃんがいるやん」
「あれ見てもそう言うの?」
秋華ちゃんが指差す所には、メイン組の子達に練習を見てもらってる犁嘩子ちゃん。よたよたな歌によれよれなダンス。周りの女子のお疲れっぷりがすごい。
「……ダンスはもちょっとマシじゃなかったっけ」
「一緒に、がガンでね。本人ももう少しで辞退しそうだから」
「いや、だか」
「よろしくね? 瑞癸ちゃん」
「……ハイ」
笑顔が怖いよ、秋華ちゃん。
今年もよろしくおつきあいくださいませ。