よん。切り札は最後まで手の中に
鍋が飛びます。
椅子からひょいっと飛んだ割れ鍋。デカイのに動きは機敏。こんなのに襲われたら、男子でも怖いだろうな。ミシッ、といった椅子は見なかったことにしようそうしよう。
そしてお約束的にふわりと広がるスカートからのぞくおぱんつ。リボンをつけた某マウスちゃんが原型を留めてないのを見る前に、クラスの男子達は右向け右をした。キレイにそろうあたりも見慣れた光景だ。
慣れてるクラス男子達に乗り遅れた、お取り巻きな男子共はうっかりしっかり目撃した模様。青くなったり白くなったり赤くなったりと忙しそうだ。ちょっとそこの赤くなった人、なぜだと小一時間問い詰めたい。
ダッシィィィィィン! と、見事な滞空時間を置いてからの振動。
「震度3とみた」
ぽつ、とさぁやん。いやー、揺れたね。割れ鍋はキレイに着地してどや顔。誉めてー、と言わんばかりだがそこはスルー。いや、でも後ろスカートめくれてる。……まぁ、いいか。
「やかましいわ。よそのクラスで茶番劇開幕させといて、見る気もない観客まで巻き込むなんて図々しいにも程がある。常識もなければ恥じらいもないのか、ド阿呆が」
いい加減に私だって怒るというものだよ。空気読めよ、休み時間は有限なんだよ?
「なっ、は、犯罪者のくせに!」
「誰が犯罪者だ愚か者」
「いいから美礼に謝れよ!」
「みのりって誰さ」
「知らないのかよ!」
「友達にはいないな」
「こんなにかわいくて愛らしい美礼を知らないとは万死に値するぞ!」
「リアルから目をそらすなよ。どう見ても十人並みだろう。そしてそんなもののために死ぬ気はない。私の生命線は100歳まで伸びている」
「長生きだね、瑞癸ちゃん」
「私は寿命を全うするタイプだ。善人だから」
「なんだとぅ!!」
あ、またヒートアップした。どうやら私に沈静化は無理らしい。煽る方が楽だしな。
「ほんとのことは言っちゃダメよ」
「ついうっかり」
「本音しか言ってないでしょ」
「うん」
さすがさぁやんわかってるー。しかしうるさいな。
「割れ鍋」
「はぁーい」
ダンダンッ、と椅子と机を踏み台にしてフライング鍋再び。ミシミシいった机は一応無事だった。そしてさらに再びの右向け右。キレイなシンクロニティである。
ドッシシシシイイイィィィン! さすがの貫禄。
「大震災再び」
「笑えないな」
「学ばない阿呆にはいい薬」
美少女の毒舌は様になるねぇ。
「さて」
二度も見てしまったド阿呆共に向き直る。びくびくすんなよ、小心者が。
「私に冤罪をふっかけたからには、それなりの覚悟はできているんだろうな?」
私は容赦はしないのである。だって手加減なんて面倒くさくて出来ないからね!
飛びました。そして口も悪い瑞癸さん(笑)次回無双予定、は未定。