さん。ヒロイン症候群につき合う義理はない
肩と指が逝きそうです(涙)
誰だよこいつ。
そう思った私は悪くない。だって知らない人だし。クラスメイトも首かしげてるし。てか、引いてる。ドン引き。本人気づいてないけど。
「みんなっ! あたしのためにケンカしないでっ! 気持ちはうれしぃけど、あんなことする怖い人に近づかないでっ!」
「美礼!」
元気な人だなぁ。ちょっと声デカイけど。黒髪ストレートは、みんなそんな感じだから珍しくもないし、目がくりっとしててかわいらしい感じも、まぁそこそこいるよね。てか、言い方悪いけど目立つ特徴がなくて覚えられない。それよりも、ぱんつが見えるくらいスカートが短すぎなのが気になるなぁ。
「瑞癸ちゃん、興味ない子は記憶に残らないからね」
「私の脳は必要なものしか覚えないいい子なのだよ」
「あの子、結構有名だよ? 男侍らせてお姫さま気取り、って」
へぇ、楽しそうだね。面倒くさくないのかな。しかし、割れ鍋。どこからそんな情報を?
「いやいや、普通に噂になってるからね?」
「聞いたことないなぁ」
「聞いてない、もしくはいらない情報だから耳からすり抜けてる可能性大」
「イヤだなぁ、さぁやん。私はくだらない話を覚えないだけさー」
そんなの覚えたら、脳の空きスペースがなくなるじゃないか。
「確かに」
「同意してどうすんの!?」
「割れ鍋、うるさい」
「酷っ」
私達クラスの住人が遠巻きに見てる中、学芸会は続いていた。お姫さまを取り囲んで、慰めたり誉めたり煽てたり。大変だなぁ。いつの時代の人だよ。え、今の時代の人? うっそぉー。
「美礼が突き落とされたと言ってる! だからお前達がやったんだ!!」
「「「「……バカじゃね?」」」」
「いや、疑問じゃなくね? バカなのよ死んでも治らない不治のバカ」
クラスメイトの本音に、秋華ちゃんが更なる真実をぶちこんだ。
「てか、被害者(自称)の証言だけなんて、証拠にもならんのになんでどや顔してんのかが謎」
そのどや顔キモい。と、私。
「その発言が正しいなら、先生に言うべき案件」
言えるならね。と、さぁやん。
「やっだなぁ、言えるならここにいないでしょ?」
女の子の好みの趣味悪いのね。と、割れ鍋。君に言われたくはないと思う。
「えぇ? ウソツキにダマされてるのぉ? かわいそぉーう」
君も不屈のメンタルだな犁嘩子ちゃん。
よそのクラスに来て茶番劇繰り広げてる奴らは、周りが気にならないのかね。そして更に茶番が続くというね。
「ダマしてなんか……っ! ひどいっ」
「美礼!」
「うわ、べったべたな演技」
思わず呟いた私は悪くないと思う。
わぁっ、と泣き出した名も知らぬビミョーなビ少女と、彼女を囲むフツメンもとい雰囲気イケメンな男共が騒ぎ出す。喚く怒鳴ると喧しい。
「割れ鍋」
「はぁーい」
身軽なデ……ぽっちゃり、空を飛ぶ。いぇーい。
空を飛んだ割れ鍋。以下次号! (笑)