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鍵を加えた猫
薄明かるい森の中で少年は歩いていた
何かを探しながら歩いている
木の影に生き物の気配がする
ふ、と立ち止まり木をじっと見つめ
生き物の気配を静かに探っている
西部劇のような時間が流れる
耐えかねて少年は走り出した
それに気づいたのか木の影の生き物は
木の後ろから出てきて少年から逃げていく
どちらも足が速く、枝や木をかわしてかけていく
生き物はどうやら猫のようだ
口に何かをくわえている、葉っぱの隙間から落ちてくる太陽光を反射させてまぶしい
目を凝らすとそれは鍵だ、かなり小さな
猫は鼻息をたてながら後ろを見た
少年の姿はどこにもなく気配も全く感じないので
猫は走るのをやめて、木の葉の上に丸くなる
鍵はへその辺りにおいて体でくるんでしまっている
少年はというと
少年は走ることをずっと前にやめていた
どうやら諦めたように見える