定年退職? いつの時代の話?
高齢化が問題になってるニッポン。
農業とかもかなりの高齢化。
それは日本の工場も。
私が知ってる中では現役最高齢は80歳。
現役はだいたい60代
40代で若手と呼ばれる
定年退職? ずいぶん古い時代の言葉ですね
もう、死語なんじゃない?
歳をとってもしっかり働けていれば問題は無いんですけどね。
自称職人の思い込みで働いている老人がヤバイ。
仕事の仕方なんてそれぞれで自己流ってのはあると思う。
右利きの人と、左利きの人、左利きを矯正した両手効きの人。
だから自己流はあってもいいと思う。
それが効率よくてちゃんとできれば。
問題は『俺様流』
人と違うことする俺、かっこいい。
人と違うやり方でやる俺、プロっぽい。
こんなところでつまらん個性とか、ほんとにいらないから。あぶないから。
回転するドリルについた切りクズを、指でさっととる俺、職人ぽい。
とか、考えてるんかね?
防護メガネを着けないままグラインダーを使う俺様、プロっぽい。
とか?
そして怪我とかしたことがあると、
こんな怪我をする職場で働く俺様、かっこいいだろ?
という感じで偉そうに語ります。
武勇伝です。
工場でアセチレンガスを使うのですよ。
ガス切断とか、ガス熔接で。
ガスバーナーです。
基本はアセチレンを少しだけ出して火をつけて、
そのあとアセチレンと酸素の流量を増やして火力を調整します。
だけどそのじいさんは、
アセチレンをかなり出して
バボンと小爆発させながら火をつけます。
アセチレンの煤を振り撒きながら。
危険なのでまねしないように。
危ないので注意すると、若造に言われることに腹がたったのか、
「これがおれのやり方だ」
と言って、一際大きく火をつけます。
バボォン!
火をつけてから、
アセチレンの流量を絞って火力の調整。
逆だ、逆。
焼けるならあんたひとりで焼かれてくれ。
こういう人はとにかく基本と違うことをしようとします。
作ったものの精度が落ちても、
作った部品が上手くはまらなくても、
不良品が増えたところで、
自分らしく仕事ができれば満足。
その結果、なかなかすごいものができました。
その名も、
『錆びるステンレス』
じっくりと時間をかけて熔接したステンレスは、表面の酸化皮膜が再生できなくなり、
そこから錆びが出ます。
ステンレスなのに。
「ステンレスの熔接はじっくりと焼いて、表面が真っ黒になると仕事したって気分になる」
自慢気に語るのも俺様流。
他にもハンダ
最近は鉛の問題から鉛の入っていないハンダに切り替えるところも多いのだけど、
年寄りは新しことになかなか対応できない。
鉛入りのハンダと鉛の入ってないハンダは融点が変わるために使い勝手も変わってしまう。
試しに鉛の入ってないハンダを使わせてみると、
「職人は感覚が大事だ」
「このハンダは俺の感覚に合わない」
「前のハンダじゃないと使えない」
そして鉛の入ったハンダに戻っていく。
鉛中毒の問題で、鉛入りハンダを使った製品は海外には売れないはずなんだけど。
あぁ、あとこの工場ではハンダづけした後、洗いません。
ハンダをきれいにつけるにはフラックスが必要です。
このフラックスというものは酸性、フラックスがハンダづけする部分をきれいにしてハンダをつけやすくしてくれます。
ただし、フラックスは酸性で、鉄に残っていると錆びの原因になります。
なのでハンダづけのあとはフラックスをきれいに洗い落としましょう。
だけどこれが製品の中で客から見えなければ、
錆びが出やすくて寿命の短い製品は、
作ってる工場から見ると良い製品。
壊れたらすぐに次の注文が来たり、
修理の仕事が来るので、
客から見えないとこのハンダづけはフラックスを落とさないようにします。
修理するときここを見ると、だいたい錆びで茶色になっている。
そこから折れたりしている。
これをとくになんとも思わず、普通の仕事だと思ってやってるわけですよ、その工場では。
なぜならば、
このじいさんはフラックスが錆びの原因になることを知らないからです。
もちろん説明したところで、
若造の言うことは信じてくれません。
こんな仕事の仕方でも、同業他社が高齢で次々といなくなると、
競争相手のいない分野の製品は売れるんですよ。
いいかげんなものでも。
日本の製品は長持ちするのが利点で、そこが海外からも評価されてきました。
最近の日本の工業製品って寿命が短いと思いませんか?