牛乳にカドミウムが入っているよ
実話です。体験談です。
まず言っておきます。
「牛乳にカドミウムが混入してんだけど」
私はとある温度計の工場で働いていました。
この温度計はガラス管のじゃ無くて、工場とかで使われるもの。
で、そこの製品には銀ロウを使ってるんですが、
これがカドミウム入り。
修理の依頼が来てその製品を見てみると、
『牛乳殺菌タンク用』
のラベルが貼ってある。
修理する部分を見てみると白い膜がついてて、ここが牛乳に漬かってんのかなーと。
そこに銀ロウが使われてるんですよ。
銀ロウってのはハンダのようなもの。
高温で溶かした金属が冷えて固まるのを利用した接着剤、と書けばわかりやすいだろうか?
鉄と鉄、ステンレスとステンレスなら溶接が一般的。
溶接しにくい銅とか、銅とステンレス、真鍮と鉄など、融点の違う金属をがっちりくっつけたいときに溶接は難しいので。
そんなときはロウ付けにします。
溶けた銀ロウが隙間に入って塞ぐので、気密性の点では溶接より優秀な金属のくっ付けかた。
溶接だとブローホールなどものによっては気密性が上手くいかないこともあるので。
ただ問題がひとつ。
異種金属接触腐食。
ガルバニック腐食とも呼ばれる現象。
電位差のある金属を電解質の液体につけると、電位差から電流が流れます。
これが腐食の原因になります。
これが、銀ロウとステンレスでも起こります。
問題の温度計を見ると、
銀ロウ部分が腐食して黒くなってる。
その上に牛乳の皮膜がくっついている。
これ、腐食した銀ロウが牛乳の中に入ってんじゃね?
銀ロウもカドミウムの入ってないものもあります。
食品に関わるような製品ならカドミウムレスを使うべき。
でもね、銀ロウって銀が入ってる分、高いんですよ値段が。
カドミレスの銀ロウより、カドミウム入りの銀ロウのほうが安い。
コストダウンのために一番安いものが、この工場で使われてます。
これは駄目だろうと、社長と口論。
カドミウム入りの銀ロウで作った製品を食品工場に出したら駄目だろうと、
社長がひとこと、
「銀ロウは銀でできてるから、カドミウムなんて入ってるわけ無いだろう」
成分表、よく見やがれ。
社長がいうには、
「今までずっとこのやり方でやってきた」
「どこからもクレームが来たことは無い」
「だから問題無い」
結果、職場に居ずらくなった私は退職しました。
真っ黒になった銀ロウ部分を見て、うんざりしましたんで。
牛乳って今でも給食とかに出てるんでしょ?
そこに銀ロウから腐食した銀ロウ成分カドミウム入りが、微量とはいえ混ざるなんて。
退職してから役所と保健所に行き、行政通報にも電話しました。
しかし、問題にはならないようで。
微量にカドミウムが追加されても、安全基準値の範囲内なのかな?
安全基準値の範囲内なら、作る過程でカドミウムやらベンジンやらいろいろ混ぜてもいいってことなのかな?
なんでもかんでも基準値以内ならいいってことかい。
身体に悪いってわかってるものを、わざわざ追加して混ぜなくてもいいだろうに。
役所がいうには、工場に立ち入り検査するには、
①被害者がいること。
②被害が特定できるような医師の診断書などがあること。
③医師の診断書等に基づいて、被害者、又は被害者の家族が訴えでること。
この3つが揃わないと行政が工場に立ち入り検査をすることができない、と役所の方に教えてもらいました。
もと工場職員がひとり喚いたところでだめなようですね。
小さな工場には十何年も、どこの誰様も検査に来たことなんてありません。
どんな作り方してるかなんて、そこで働いてる人にしかわかりません。
そこで銀ロウの成分調べて、カドミウムが入ってるのを知ってたのも、私ひとりだけ。
うるさく言うのがいなくなったから、今も安い銀ロウを使ってるんでしょう。
カドミウム入りの銀ロウを使用した製品を回収した、という話も聞きません。
その工場は牛乳殺菌タンク用以外にも、温度を測る必要のある食品工場に、いくつも製品を出してます。
他にも、天ぷらとか揚げ物関係のところとかもあったなぁ。
この製品を使ってる食品工場も、まさかこんなところにカドミウム入りの部分が使われてるなんて、知らないことでしょう。
知らないままに使ってるんでしょう。
役所と保健所に現状を訴えて、これで私の市民としての義務は果たしました。
役所も保健所もなにもしないなら、これは違法でも無く、問題は無いと判断されたんでしょう。
あとは私がこうして愚痴をこぼすだけ。
私は医療とか科学とか、詳しくないんですけどね。
体内に残留した重金属の影響でアレルギーが発症しやすくなるとか、聞いたことがあります。
日本って花粉症の人が増えましたね。
一番の原因は杉花粉の量が増えたことだけど。
本当にそれだけなのかな?
二番目とか三番目の原因は、何かな?
追記
日本は土壌に含まれる金属成分が多く、そのため欧米並の厳しい検査基準を設けると、引っ掛かる農作物が多くなってしまいます。
そのため、日本の食品でカドミウムの安全基準があるのは、米と清涼飲料水のみ。
なので牛乳にはどれだけカドミウムが混入しても違法にはなりません。安全基準そのものが存在しないので。