あかいろ
私の住んでいる街には、色がない。
人も、物も、空さえも色がない。
その中で私一人だけ、色がある。
まるで、私だけ仲間外れにしているような。
そんな私でもただ一人の友達は、普通に話してくれる。
沢山の、いろいろな話をするけれど、その中の単語に私の名前が入っていないのが、とても悲しい。
いつか、誰かが私の名前をよんでくれる。
そう、しんじていたい。
でも、名前をよばれなくても、笑っていれば話してくれるから。
毎日、嘘の笑顔を張り付けて。
毎日、思ってもないことを言って。
そこまでして、誰かの隣に居たい。
さみしいから。
でも、怖い。自分の本当のすがたじゃないから。
自分の中に違う自分がいるみたいで。
もういっそ一人になりたいくらい。
だけど、そうなる勇気もない。
ある日、友達の隣には私ではない人がいた。
かなしかった。くやしかった。
だけど、あきらめるしかなかった。
もう、あの子がいるから。私は要らない。
それをよくわかっている。
一人でいるのはとてもくるしかった。
必要とされないのが悲しい。
私がいなくなればこの街には色がなくなる。
それを皆が望んでいる。
私がいなくなれば───。
そうおもったのに。
私のいなくなった街には、赤い色がのこった。
こんにちは!白兎。です。
一話はちょっと暗めの話でしたが、次は明るい話になる予定です。
この少女に共感するところがあったらうれしいです。