朝が来ると…
少年から青年に変わる瞬間の描写って難しいですね。頑張って書きましたのでよろしくお願いします。
ピピッピピッ――
携帯電話の目覚ましが鳴り響く。
僕は音のほうへ腕を伸ばした。薄いカーテンから朝日が差し込む。
重い瞼を擦って体を起こす。寝慣れない固いベッドがギシリと鳴る。
昨日結局、安全を優先させてビジネスホテルを選んだ。
昨夜から何も食べていないせいか、ぐぐっと腹が鳴った。
現金なもので、一晩過ごせたという安堵からか、昨夜の不安なんて消えてしまっていた。
僕は備え付けてあった歯ブラシと安っぽい歯磨き粉を使って精一杯の身支度をした。
時々、昨夜の小心者な僕に失笑しながら小さな荷物を整理する。
荷物をまとめても、チェックアウトまで時間がある。
僕は携帯の画面を何気なく見た。
着信も無ければメールもきていない。
あれから父はすぐに帰宅したのだろうか?母や姉から何も聞いていないのだろうか?
何も鳴らない携帯に目を落とし、少し悲しくなった。
そんな事を考えていると、僕は我に返り、首をブンブンと振った。
(何を考えてんだ、俺は!うちは放任だったじゃねーか!そもそも、俺自身が決めて出てきたんだ!)
さらに僕は両手で顔を挟むようにしてバシバシ頬を叩く。
(しっかりしろ!俺には捨てるモノはない!前を向け!振り返るな!)
自分を叱咤し、気合いを入れる。両手と頬がジンジンする。
鏡を覗くと案の定、真っ赤になっていた。
まるで田舎から出てきた小心者そのものだった。
(まったく、そのまんまだ)
そう思うと、自然に笑みが浮かんだ。
僕は勢い良く荷物を掴み、部屋を出た。
さぁ、仕事を探そう。
午前10時、僕は少しだけ強くなった気がした。
私の気合いの入れ方はこんな感じです。