東京到着と初めての壁
よろしくお願いします。
地元を出発してから3時間半。新幹線の中で、終点である東京駅到着のアナウンスを聞いた。
僕の手の中には片道切符。切符を強く握り絞めると荷物を降ろした。
移動中に良く寝たせいか頭はすっきりしている。
とりあえず、今日はどうしよう…
飯食ってないのに食欲がないのは興奮のせいか、それとも緊張か。
とりあえず僕は明るい方へ歩き出した。
ビジネスホテルにでも泊まろうか、僕は財布の中を確認する。
中身は今まで入れた事のないような金額が入っているけど…無駄な出費をするわけにはいかない。
中身を見ながら悩んでいると道端で寝ているオジさんが視界に入った。
(浮浪者みたく此処で寝るか…?)僕は心の中で問い掛けてみる。
(いやいや、ちょっと待て。俺は今、大金を所持してるんだ。寝てる間に盗られたりしたら…その前にカツアゲとかされたら…)僕の中で不安が膨らむ。 ここは多少の出費はやむ得ず、安全をとるか、それとも倹約・節約を重視して浮浪者のオジさんと仲良く寝るか…
頭の中でいろんな意見が飛び交い、悶々とした。
周りでは、深夜なのに人が流れていく。
春とはいえ、まだ風は冷たい。きっと、野宿なんてしたら風邪ひくだろう。新たな不安要素が追加される。
上京して4時間強が経過した。
もうすでに僕は、『壁』にぶち当たってしまった。
今まで当たり前のように布団で寝て、当たり前のように用意された飯を食べ、なにもかも当たり前のように過ごしていたから…
こういう状況に発って初めて気付く、驕り高ぶっていた自分。
姉の
「野垂れ死にしちゃう」という言葉が頭の中に響く。
僕がこれが『刺激』である事に気付くのはもう少し後になる。
私が当たり前が当たり前じゃないって気付くのは社会人になってからでした。