表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/92

第76話 vs天使と悪魔 その②



「私は実質的に手は出せないと思っていたがやはりここまでコケにされて黙ってられる性分でもないのである。我が主であるミカエル殿を奪われたそれは我々天使の者の責任である。ここはひとつ自分の恨みも含めて人間派閥に加勢させてもらおう」


腕を組んでルシファーを見下してそう言うカオス


「お前一人じゃ荷が重すぎるだろ」


アヌビスも前に出て言う


「助けに来ました!回復は任せてください」


ボロボロになった高橋を回復させつつそう言うアフロディテ


前回のアレス戦で、自分の中のしがらみから開放され、アフロディテ本来の回復能力を発揮できるようになった

今なら重傷でも時間をかければ治すことができる


「つーわけだ。リーダーが頼りなかったらここまでしてくれる仲間はいなかったんだぞ?」


回復が終わり立ち上がる高橋にそう言うショウタ


「黙れ…」


「まーた照れちゃって!」


「黙れ…」


「つーかさ、俺達この聖戦で共闘ってなかったよな」


「それもそうだな」


高橋とショウタは共に前に出る

敵をまっすぐ見据えて深く深呼吸する


並び立つ二人はどこか似ていて、全く違う

でもその形以外絶対にありえない二人

左に高橋裕也

右に八橋ショウタ


この二人の快進撃が始まろうとしている




「いやァ、こうなってくれるのはこっちとしては嬉しいんだわ」


笑い声をあげてそう言うルシファー


「うちの幹部を惜しみなく出せる」


ルシファーの纏う闇の中から次々と幹部が顔を出す

ベルゼブブ、マンモン、ベルフェゴール


「戦力の差は見てわかる。万が一にもお前らが勝つことはねェんだよ」



「何を言ってるのか全くわからないのである。やはり悪魔は殺戮だけが趣味の陰湿なゴミであったかそれならば早急に駆除せねば環境にも悪いというものである」


カオスは、いつの間にか綺麗に分かれていた人間派閥と悪魔派閥の真ん中に立っていた


「そのための私だ」


カオスは左手を前に掲げる

悪魔の幹部達は一瞬遅れてその動きの真意を知る

しかし、既に手遅れだった


次の瞬間には悪魔派閥の幹部は消えてなくなっていた



「隙間操作。これが私の能力である。敵の隙を操り引き伸ばしたり自分の隙を操り好きを縮めたりと色々できる。これは隙間の隙に当たる能力。今回はもう一つの間の方である」


「自分と相手、壁と壁のように何かと何かの間の長さを自由に操ることができる。それで幹部共を別の場所まで飛ばしたのである。低脳な悪魔は気付かなかっただろうな」


「なぜ悪魔の幹部が出てくるとわかっていて天使側の幹部を連れてこなかったのかと。全ての結論を言うとするならば今飛ばした悪魔の幹部には天使派閥の幹部を当たらせている。私が天使の幹部の所まで飛ばしたのである。これで邪魔が入らずに殺り合えるな」



「と、言いたいところではあるがなにぶん天使派閥の幹部が減っていてな。私も足止めせねばならないのであるというわけで私はここで失礼させてもらう。人間派閥よ我らが主をどうか取り戻してください」


そう言ってカオスは姿を消す




「やってくれるなァ…カオス……」


額に筋を浮かび上がらせ、苛立ちを紛らわせるように笑うルシファー


「まァ、どの道全員皆殺しだけどなァ…」


闇を槍のように何本も尖らせ、人間派閥に伸びていく



「行くぞ高橋!」


「いちいちうるさいな」


まず近距離戦を得意とするショウタのために道を開いていく高橋


襲い来る闇を虚栄の魔槍(ロンギヌス)で薙ぎ払っていく


ミカエルは地面にレイピアを突き刺し短く詠唱する


地面が徐々に盛り上がり、目の前に10m程のゴーレムが立ちはだかる


ゴーレムはゆっくりとした動きで腕を振り上げ…ることなく


高橋とショウタに向かって倒れてきた


「うっそ…」


大きく両腕を広げて多い被さってくるゴーレム


それがピタリと宙で止まる


「俺とアフロディテは基本サポートだ。お前らの負担を少しでも減らす」


後ろを振り返ると"アンク"を握っているアヌビスが立っていた


「お前それ壊れたんじゃ…」


確かアンクは不知火に奪われて壊れたはずじゃ


「イシスに貰ったもの覚えてるか?まぁ覚えてないだろうな。あの時もらったサファイアを加工して作ったんだ。前より能力が強くなっている」


アンクの能力は擬似的な時間停止

触れたものをそこに止める能力

しかし今、アンクはゴーレムに触れていない

なのにゴーレムは止まっている

アンクは新しく触れる必要なく止めることができるようになっている

しかしその範囲もまだまだ狭い


「サポートは任せた」


後ろを振り向くことなく前を向いて進み続ける高橋

遅れてその後を追うショウタ


「もういいか」


「あぁ、この距離ならいつでも行ける」


ショウタは拳を握り、体勢を低くして走る


「お前に限ってありえないが、死ぬなよ」


高橋のその言葉に目を丸くするショウタ


「お前が他人の心配するなんて…」


「俺はただ戦力が減ってもらうのが困るだけだ」


「またまた、これだから邪気眼系ツンデレは…」


「黙れ、俺の手を焼かせるなよ」


そう言って高橋は地面に滑り込むようにして消えていく

別の時間軸から何でも持ってこれる高橋の紫焔衝天(グレイズフレイム)-Lost Time-

持ってこれるだけでなく、持っていくことも例外ではない


高橋は割れ目を通じてルシファーの背後に移動する

もう一人の高橋を連れて


「ミカエル!後ろはお前がやれ!」


走ってくるショウタから目を離さず、そう叫ぶルシファー


レイピアを構えてルシファーの後ろに立つ


「空気よ、」


レイピアから先が一瞬歪む

その瞬間、レイピアのその先、高橋のいる所の空気が消えてなくなる


「ッ!?」


首を押さえて思わず膝をつく

空気を求めるように口をパクパクと動かす


これは単に、この時間軸の高橋の話だ



別の時間軸から連れてきた高橋は平然とミカエルまで詰め寄り、虚栄の魔槍(ロンギヌス)を振るう


それを慌ててかわすミカエル


空気の魔法が解除され、もう一人の高橋も動き出す


別の時間軸の高橋は槍を投げるが、槍は簡単によけられる

しかし、槍の周りから何本もの槍が地面から突き出してきた

槍はミカエルの体の節々を貫くが、すぐに槍は灰となって消えていく

風化しているのだ


「お前頭が悪いだろ」


ミカエルがバッと顔を上げる

そこには宙に浮く高橋の姿があった


「どこ見てんだ、下だぞ」


高橋は指を立てて下を指さす


何かに勘づいたのか、ミカエルは高橋の指さす地面を見る


そこには何もない



「やっぱおまえ間抜けだな」


下を向くミカエルの首筋に一閃、虚栄の魔槍(ロンギヌス)は首を貫き、ミカエルを地面に固定する




ショウタは体勢を低くしたまま走る


ルシファーは闇を体に纏わせたままその場で立っている


いよいよ数歩というところでショウタは拳を振り上げ、

ステップを踏んで後ろに下がる

ルシファーが反撃してくるのを予想して身を引いたのだ

しかし、ルシファーはそれにかからず、馬鹿を見るような顔をして薄く笑う


「お前もカッコつけて出てきた割に馬鹿なんだなァ。こんな安い手で誰が引っか」


ルシファーの前に急にショウタが現れた

ショウタは右手でルシファーの首を絞め、左手を振り上げる

体に纏っていたはずの闇魔法は、ルシファーの"少し後ろ"でふよふよと浮いていた


カオスの隙間操作か


抵抗しようと新しく闇を発生させるが、なぜかそれは首を絞める右手に吸い込まれていく



「馬鹿はどっちだクソ野郎」


振り上げられた拳がルシファーの顔面を射抜く







ショウタの戦いを書くのがすごい楽しい


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ