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何度も言うが俺は雷神トールじゃない!  作者: ビタミンA
第4章 〜Aphrodite story〜
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第66話 vs不知火 その②

振り上げられた拳が容赦なくトオルの顔を襲う

攻撃の後のカウンター、普通ならよけられないそれを、

トオルはよけきった


トオルは引っかかることがあった

インターバルに入るというのになぜこんなに近付いて来るのか

攻撃させないためという理由があるだろうが、危険なはずだ


この余裕はおかしいと


そして予想通りのカウンター

その可能性を思いついていなければ顔面に拳を受けて死んでいただろう



「あれ、絶対やったと思ったのに」


「お前の能力がさらにわからなくなったよ」


ひとまずで生き延びることができたが、大きな問題が発生した


やつのインターバルが消えている?


いや、そんなはずはない


いや、でもどうして



「クハハ、悩め悩め」


そう言いつつウロボロスの攻撃を軽々とかわす不知火


本来の目的である敵が空気扱いされている


ウロボロスは吹き飛ばすように腕を伸ばして横に振るう


二人とも先程同様宙へ飛んで簡単によけてしまう

が、ウロボロスも馬鹿じゃない


宙へ飛んで何もできないトオルにもう片方の鍵爪を振るう


「ちょ!?」


慌てて地面の砂鉄を軸に、磁力を操り、地面へ落ちる


ウロボロスの爪は空を裂き、トオルは無事に着地する

中々にウロボロスが邪魔だなぁ


この場で1番の難敵であるはずのウロボロスが邪魔もの扱いされている


不知火の謎を解かなきゃまず勝ち目はない


とりあえず、再びインターバルの確認をするため、雷を当てようとする

が、


「ほいっと、」


不知火は能力を使うのではなく、横にスライドしてかわす

腹立つ


「そう、世の中そんなに上手くいかないんだよ」


不知火はそう言ってウロボロスに向かう


「てめぇ…!」


遅れて不知火を追う


不知火が触れた部分のウロボロスの肉が裂ける


「ギャアアアアアアアアアアア!!!!」


ウロボロスは乱暴に鍵爪を振るう


それをかわしつつ、ウロボロスに攻撃していく


それを遮るように雷を飛ばすが、全てすり抜ける


魔力もとっくに半分切っている

でもこのまま現状を維持しても何も変わらない


これは賭けだ

この世の命運をかけた、俺の人生最大の賭け



目を閉じて、意識を集中させる

別にこんなことをする必要もないのだが、気持ちを少しでも落ち着かせて魔力の効率が良くなればと、集中する



「どう転ぶのは神のみぞ知るってやつか。なら友達の神に教えて欲しいもんだな」






「限定解除…!!」


トオルの足元に黄色い魔法陣が展開される

目の下の雷のマークが薄れて消えていく

やがて魔法陣は消えていき、黄金に染まるトオルの姿だけが残る


「へぇ、まだそんなことできる魔力があるのか。にしても人間ごときが限定解除をホイホイ使えるなんて、限定解除ってのも大して強くないんじゃねーの?」


「まだ見たことしかないんだっけ?まぁ実際に体験してみろよ」


足に電流を流す

ノーモーションで動き出し、不知火の後ろに回り込んで、首にミョルニルを叩きつける

そしてそれが、当たり前のようにすり抜ける

だが不知火は反応できていなかっ

ミョルニルがすり抜け終わってからようやく後ろを振り向く

その顔には、少しの違和感があった

相変わらずのポーカーフェイスだが、何か、妙なものを感じた


裏拳を放ち、反撃しようとするが、今の俺に見える攻撃は当たらないと思ってもらおうか

脳で体に指令を出す頃にはすでによけきっている


数mの距離を置いて、不知火の足元にミョルニルを投げつけ、足元を崩す

バランスを崩してよろける不知火に雷を撃ち出す

しかし、呆気なくすり抜ける

くそ、当たんねぇ!

どういうことなんだ?

何かトリックがあるはずじゃ

あの時のあの顔、確かにあの時何かが起こったはずだ


不知火に向かってミョルニルを振り上げる


しかし、それより先に不知火の腕がトオルに伸びる

顔に触れる直前、トオルの姿はそこから消え、不知火の背後に回り込んでいた


トオルの能力の応用


それは《モーションキャンセル》


脳から体に信号を送って筋肉を動かして行動させる、そこに再び電流を流し、今行っている行動の上に新たに送った電流の信号を強制的に上書きして行動させる


要はどんな体勢からでも別の動きが出来るということだ


筋肉にも電流を流し、力を増幅させることにより、その信号に体が追い付くことができる


これがトオルの限定解除の時だけ使える能力の応用である



不知火の攻撃をよけ、がら空きとなったその背中に攻撃しようとしたが、背後に回られることを読んでいた不知火はすぐさま反応して再び腕を振るう

しかし、それもモーションキャンセルの前には意味をなさない

再びその攻撃をよけ背後に回る

軽い「残像だ…」合戦になっている


しかし、不知火は反応することができずに、腕を振るのが遅れる

ヤールングレイプに溜める時間も大幅に減り、溜め始めて、背後に回っている間にはすでに溜め終わっている


ヤールングレイプに溜まった電流を不知火に向けて放電させる


バヂヂヂヂ…


放った雷は不知火に絡みつき、皮膚を焦がして神経を麻痺させる





雷が当たった


その意味を、今起こったこの現実を理解するのに数秒はかかった

目の前には膝をついてうずくまる不知火


インターバルは、存在する…!!


ようやく理解が追いつき、目の前でうずくまる不知火にミョルニルを振り上げる

それに気付いた不知火は、痺れる体を無理やり動かし、地面を壊して、逃げるための粉塵を巻き上げる

しかし構わずミョルニルを振り下ろす

煙幕が張れたとしても、すぐに逃げれるわけが無い

しかし、振りおろしたミョルニルには何の感触もなかった



わかった、わかったぞ

干渉の能力の秘密を!


煙幕の中に紛れて、不知火の足元の土を操り、再びバランスを崩す

見えなくても場所はわかる

案の定煙から逃げ出した不知火は足元をすくわれ、こけかける

その瞬間に煙の中から飛び出して、雷を飛ばす

不知火は頭を押さえてよろけながら飛んでくる雷を壊す

雷は不知火の手元で弾け消えていく

しかし、それはただの囮

気付いたころには不知火の懐に入り込む

不知火に雷を纏った拳を叩き込もうとしたとき、





金色に変わっていた髪の毛が黒に変わる

その意味をトオルは一番よく知っているし、もちろん不知火も知っている


不知火の表情が一転する

口が裂けんばかりニヤける

限定解除が切れたことに唖然とするトオルに思い切り腕を振り上げる

これで終わらせるようだ


溜めれるだけ溜めて、振り上げた腕を振り下ろす

振りおろした手は、トオルの頭を掴み、そのまま破壊の力を使って…



ゴッ………


突然下っ腹に、重い衝撃が突き抜ける

骨や内側の臓器を押しつぶして、


不知火は吹き飛ばされる



「お前の弱点は、予想外の攻撃。予想外の攻撃をくらえは、一応干渉の力がオートで発動するが、そのあとにインターバルができるってわけだ」



そう言って、巻き上がる粉塵の中から、金色の髪のトオルが姿を現す

そのトオルが指を鳴らすと同時に、黒髪のトオルは弾けて消える


そう、一番最初にトールから教えてもらった雷の分身である


説明しておこう


最初、煙の中から攻撃をして、インターバル発動までの10秒のカウントが始まる

その後はインターバルに合わせて攻撃を行い、インターバルに入ったところで魔力が尽きたと思わせ、煙の中からミョルニルを当てるために不知火に大振りの攻撃をさせようとした

予定通り罠にかかり、大振りの攻撃をした不知火に煙の中からミョルニルを投げつけておしまい


実際この作戦もたまたまできたのだ

不知火の弱点に気付いた発端の、あの放電のおかげで不知火の思考を鈍らせて判断を狂わせた

あれがなければうまく行っていたかわからない


だが、


「お前が言ったように、この世界に『もし』とか『かも』とか曖昧なものは存在しないんだか」


不知火は倒れで口から血を吹いたままトオルを睨む

傷を治そうとはしない

いや、できないのだ


トオルの放電によって頭がうまく働かず、思うように力の制御ができてないのだろう

傷を破壊するなんて器用なことを今の状態でできるはずがない

一歩間違えれば自分の体をズタボロにしかねないんだから


「お前の負けだ」


倒れる不知火にそう告げる


「いいや、これからだ」


ニヤリと笑って、立ち上がろうとする

止めを刺そうとミョルニルを構えたとき、

ウロボロスの叫び声が響く


「そろそろ変わるはずだ。俺の目的に…」


真っ黒に染まっていたウロボロスが曇りのない白銀に染まる


そして口から尻尾を離す


「やっと来た…、俺の目的。新しい世界を創るために必要な、《創造》のウロボロスだ」



白く染まり、大きく翼を広げたウロボロスは耳をつんざくような咆哮を放つ




みなさん別に気にしてないと思うけど、ウロボロス君はずっと自分の尻尾に噛み付いてました


ウロボロス君のビジュアルは

黒い大蛇に羽が生えたみたいな感じです



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