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何度も言うが俺は雷神トールじゃない!  作者: ビタミンA
第4章 〜Aphrodite story〜
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第56話 雷神として仲間を、

話の区切れは雑になるものです


きっとそうです




「造作もないな」



目の前に倒れている派閥の面々を眺めてため息をつく



この状態に至るまで5分と経たなかった


唯一立っているのはそれぞれの派閥のリーダーだけ



「これほどとは…」


レイピアを地面に突き刺し、片膝をついて呟く


リーダー3人の魔力ももうほとんど残っていない



「あれは破壊神としての力…、なんでこいつが…」


アキが傷口を抑えて呻く


「あぁ、この力は前のやつを殺して奪った」


ヘラヘラ笑って腕に広がる紋章を眺める不知火


本来、強すぎるその力が1点に留まり、そこを破壊してしまわないように、時期が来たら遠くの誰かに渡るようになっている《破壊神としての力》


それをある一定の条件で無理やり引きはがし、自分のものにした不知火


しかし、完全に渡りきれておらず、事象の破壊などは行えない

それに触れたものしか壊せない

それでも3派閥を同時に相手してこの強さである



「シヴァを…、殺したの…?」


目を見開き、小さく震えるアキ


「正解〜☆」


馬鹿にしたようにおどけて答える不知火



「貴様ああああああああ!!!!」


アキが能力を発動させるが、ミカエルに止められる


「やめなさい!今、情に流され、無理に攻撃すれば今度はあなたの命が尽きますよ。まずは仲間達の回復を、」


辺りに倒れる幹部達


阿修羅も、持月も、

ウリエルも、ガブリエルも、

ベルゼブブも、ベルフェゴールも、


誰の能力を使っても不知火に傷一つ付けることはできなかった


ベルフェゴールの弱点操作


これは触れた時点で能力が発動する

しかし、不知火の能力でこっちからは触れられない


結果、向こうから触られた

なのに能力が発動しなかった


触れることができても、弱点操作という能力の干渉を拒否しているのだ

こういうオートで発動する能力もまるで歯が立たない


アキの蝶々効果(バタフライエフェクト)もそうだ

時間の攻撃を作り上げても大元の蝶々効果(バタフライエフェクト)で認識されてすり抜ける



圧倒的すぎるこの《干渉》の力

攻撃力がなかった不知火も、今は破壊神の力を手に入れて、恐ろしい攻撃力を持っている



「化け物かよ……」


あれだけ強がっていたルシファーも今は立つことが精一杯となっている


全員が一撃でやられ、生きているのかもわからない

圧倒的すぎるこの状況、

どうしようもないこの戦況


これじゃ、蟻がバハムートに挑むようなものだ



「それじゃ、ラミエルを出して」


ミカエルの前まで近付き、ニッコリ笑って手を差し出す不知火


「誰が渡すか…!」


精一杯の抵抗として不知火を睨みつける



「なら死んで」


右腕を振り上げ、

そして、



〈それ以上の干渉は許可できません〉



突然目の前に光の玉が現れる


「あぁ、【カミ】か。久しぶりだな」


〈これ以上の干渉は許可できません。聖戦に支障が出ます〉



「クハハ、前の俺じゃここで引いてきたが、今は違うんだよね。お前の力は俺に通用しないし、残念ながら俺もお前に何もできない」


それだけ言って、ミカエルに手を伸ばす


〈ソレ以上ノ干渉ハ許可デキマセン〉



フッと派閥の面々が消えてなくなる


「チッ…、まだラミエルの居場所聞いてねーぞ。転移させやがってこの」


カミを睨み、舌打ちしてどこかへ歩いていく



〈今回の聖戦は邪魔させませんから〉


「せいぜい頑張りな」




□■□■□■□




「トオルー?元気ないね?どしたのよ?」


ビニールシートの上、パラソルの下で寝転がる俺に姫裡が話しかける

心配してくれるのは嬉しいが今はほっといて欲しい


「ははーん、さてはシヴァ君が帰ってしょげてるな?」



そう、シヴァは家に帰ったということになっている


でも、シヴァはもういない

あいつは利用されるだけ利用されて死んでいった

これが許せるのか

俺達は何も出来ずに目の前で殺されるシヴァを見つめるだけ

これが許されるのか


顔に手を当て目を瞑る



紅と呼ばれていた少年、

不知火 飛鳥という男、


俺達はまだ弱い

せめて俺だけでも仲間を守れるようにならなくては



そこに嫌々トールをやっていた姿はなかった



(俺は一体どうしたいんだろうな)




「おい、」


声をかけられ、目を開ける


「なんだ、真広か、どうかしたか?」



「お前、こそこそと何やってるんだ?」



「え?」



ドクンと心臓が脈を打つ

それは徐々にスピード上げていき、呼吸が苦しくなる



「お前一体何してる?なんかヤバいことやってねぇか?」



「…は?お前何言って…」




「トールってなんだ?」



「は……」


うまく呼吸が出来ずに返事ができない



「今は詳しく聞かないが、危ないことだけはやめろ。俺も姫裡もお前がまた消えれば困る」


それだけ言って真広は行ってしまった



目を見開いて喉を詰まらせたまま、ばたりと倒れる


(俺は…どうしたい……)



再び目を瞑り、考える




最近トールから何も無い

前も言った通り何かあって欲しいわけじゃないが、この緊急事態になにか助言くらいくれてもいいはずだ

何か新しい武器だとか能力だとか

そういやシャルヴィとレスクヴァも見ないな

あいつら一体何やってんだか



なーんて誤魔化してみても、

ヤバイ、無理だ




さっきの真広の言葉にトオルの心はブレていた

雷神トールになりきっていたその心も揺らぎ始める



いや、そもそも俺だって好きで雷神やってる訳じゃない

下手したら死ぬかもしれないしな


それでも雷神をやり続ける理由ができた

いや、やめれないんだけど…

まぁそれはさておき

仲間を無残に殺されて平気でいられる俺じゃない



真広、お前は俺が消えたら困ると言ってくれた

俺だってお前達が消えたら困るし寂しい


それは仲間だからだ

友達だからだ


俺が消えたらきっと真広達は俺のことを探し回ってくれるだろう

これは慢心じゃない、確信だ


だったら俺は仲間であるシヴァを殺されて、黙って引き返すなんてできないんだよ



ゆっくりと目を開ける




やっぱり俺はまだ戻れない



ゆっくりと体を起こし、立ち上がる


「安心しろ、俺は消えない」


遠くで遊ぶ真広と姫裡を眺めて呟く


「今はとりあえず、遊ぶか」


シヴァの分までと頭の中で呟いた

あいつのことはただひたすらうるさいやつだとしか思ってなかった

でも、いざいなくなると静かなもんだな

いなくなって初めて、その存在の重さに気付く


トオルは砂浜を駆け出す



「お!トオル元気になったか!」


姫裡が楽しそうな顔をする

心配してくれていたようだ


姫裡の顔を見るとなんかこっちまで楽しくなってきて、勢いで俺は海に飛び込み、浅瀬で溺れた




□■□■□■□




「あの貧弱が生き残っただと?」


「第四勢力の人間が加勢して撃退したそうですよ?」


「まぁそんなところだろうな。あんな雑魚一人でまともに戦えるわけない」


「第四勢力の能力は異質なものが多いですし、今回はラッキーだったようですね」


「何にせよ、俺はあいつを十二神とは認めんぞ。不死身というだけで十二神なんぞふざけておる」


「そうですねぇ、私としても不愉快ですし。それに今回はちょうど派閥が分かれてますしねぇ」


「そうだな、俺もいい機会だと思っていた。殺るか【アフロディテ】」





オリンポス十二神


【軍神アレス】が動く


アフロディテ編始まります(震え声)


ぶっちゃけ今からスタートです



カミは自然現象のような存在で、不知火では何もできないわけです

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