第51話 天使と悪魔
そろそろ授業中に執筆するのやめないと
3年になったとき苦労しそう
いや、しそうなだけだからやめないけどさぁ…
「あーあー、こんなにボロボロにしちゃって」
ガブリエルがバアルの雷を使ってぶち壊した壁の残骸を見てため息をつくベルゼブブ
「あんたらこれどうしてくれんのよ」
紫がかった髪をかきあげ、執拗に髪をセットするベルゼブブ
ナルシストとかによくあるあれだ
「余裕そうだなベルゼブブ、貴様の相手は俺がしようか」
下駄をカツンと鳴らし、ベルゼブブの前にはっぴ姿で立ちはだかるウリエル
「さっきから思ってたけど、なんだい君のその格好。ダサいと思わないのかい?」
はっぴ姿をまじまじと見つめ、自分のギラギラした服装を見せびらかすベルゼブブ
「ふん、貴様もそんな格好で場違いだと思わないのか?貴様、羞恥心というものを知っておるか?」
バチバチと睨み合う2人
こんなのが幹部同士の戦争なんて悲しすぎる
「言ってくれるじゃん☆」
「表へ出な」
2人でのしのしと古城の外へと歩いていく
実は仲いいんじゃないんだろうかあの2人
「私達も始めましょう」
ミカエルはレイピアを取り出し、静かに構える
「他の天使はどうした?」
ルシファーが問いかける
「ラファエルは戦闘向けの能力ではないので、」
「いんや、他の天使の話だよ」
「だから、攫ったのでしょう?ラミエルを返しなさい。そうすればここは引きましょう」
「だから、知らねェって!……そういえばお前んとこのサリエルとラグエルは元気かァア?おっと!そういや、俺が殺したんだったなァ!」
わざとらしく馬鹿にしたようにケタケタと笑いながら言うルシファー
「…外道が……!」
レイピアを振るうと同時に炎の玉がいくつも現れ
さらに、周りの床が盛り上がり、岩石となって宙に浮く
《神の掌握》
七聖天使の1人、ミカエルの能力
それは"4大元素の完全掌握"
火、水、空気、土の4つを支配下に置き、操る能力
「ククク、お前の力を見るのも今日が最後かァ」
嬉しそうに笑って、体に闇を纏う
それと同時に、周りに光の玉が漂い始め、その玉からレーザーのように収束した光がミカエルに向かって伸びていく
ルシファーの能力は至って単純
闇魔法と、光魔法
特に難しくもないこの2つの魔法だが、ルシファーはその桁外れの魔力量にモノを言わせ、究極魔法クラスの魔法を楽々と使う
レーザーをかわし、レイピアをルシファーに向ける
場の空気がガラリと変わる
それに勘づいたルシファーだが、少し遅かった
「獄炎」
ミカエルが呟くと同時に、レイピアより先の空間が消滅する
古城を半壊させたこの爆発もミカエルの能力の一貫だ
《神の掌握》により空気を操って周りの空気を可燃性のガスに変え、着火
神の掌握で操れる4大元素に限界はない
地球規模で掌握することができる
その気になれば5秒とかからず地球を滅ぼせるだろう
「ラミエルはどこです」
レイピアを構えて振り向くミカエル
そこにはルシファーが立っていた
「知らねぇって!お前しつこいな!そんでもって人のアジトを壊すなよ!」
「私の知ったことじゃないので」
そう言ってレイピアを軽く振るとそこからいくつもの炎の玉が現れる
空気中のチリとレイピアとの摩擦で起きる熱から炎を生み出す
こんなありえないようなことも簡単にやってのける
一度炎が付けばこっちのもの、それを何倍、何十倍と増幅させ打ち出す
摩擦によって現れた炎の玉、その数十数個、そしてその一つ一つの大きさは直径10mをゆうに超える
「お前の魔法はいちいち派手だなァ」
ルシファーが手を広げると、炎の玉全てが闇に飲み込まれ消え失せる
「俺みたいにスマートにしてみろよ」
フワリと光の玉がルシファーの周りに現れ、
そこから放射状にレーザーが放たれる
「くっ…」
レイピアを突き出し、鋒に青の魔法陣が現れる
ルシファーのレーザーはその魔法陣を避けるように曲がり、地面を破壊する
「ふーん、屈折か。考えたな」
ルシファーがつまらなそうに鼻を鳴らす
水による屈折
辺りの水蒸気を集め、光を屈折させる
それにより光はねじ曲がり、あらぬ方向へと進んでいく
「仮に、あなた方がラミエルを攫っていないとしても、今ここで聖戦の決着をつける予定なので」
「ずいぶんと舐めてやがンなァ!」
再びレーザーが飛んでくる
再びそれを屈折で歪める
「もうその手は…」
「どうかな?」
歪められ標的からそれて、地面へと向かう光は、地面に着くと同時に一気に弾けた
弾けた光は無防備なミカエルの背中に向かって伸びていく
しかし、その光はもう一つの光によって打ち消された
「油断は大敵ですよ。ミカエル」
ミカエルの後ろにふわりと降り立ち、にっこりと笑うのは
天使派閥の幹部【ラファエル】だった
「助かりました。ですがあなたは戦闘向きじゃ…」
「回復なら出来ます」
ラファエルはミカエルの魔力を回復させる
「私には私の戦いがあります。皆が戦っている中、一人のうのうと安全なところにいるのでは申し訳ないですし」
「ごちゃごちゃと何言ってんだよ」
痺れを切らしたルシファーが光の玉からレーザーを放つ
「これだから天使は嫌なんだよなァ。無駄に馴れ合いやがってよォ」
続けてレーザーを放つルシファーだが、それも再びラファエルによって打ち消される
「馴れ合い…という言い方は良くないですが、仲間を思うのは大切なことです」
ラファエルが反論するもルシファーはそれを鼻で笑う
「でもさァ前回の聖戦では、その馴れ合いが原因で…」
「黙りなさい」
ミカエルがレイピアを振って、再び大爆発を引き起こす
今度は辺り一帯の木々が焼け焦げている
「そもそもだ、ラファエル。お前の力よくわかんないんだけとさぁ、教えてくれる?」
爆炎の中から飛び出し、闇を纏わせた両手で、ラファエルに掴みかかる
ラファエルを守ろうと前にでるミカエルだがそれを押しのけてラファエルが前に出る
「あなたが傷つく必要はありません」
そう言って右手をかざして魔法陣を作り出す
ルシファーは、その盾のように展開された魔法陣に両手を突き出して突っ込む
ガギン、と鈍い音がして魔法陣とルシファーがぶつかり合うが、ルシファーが後ろへ飛び退く
「本当に訳わかんねェ力だなァ!魔力をごっそり持っていかれたしよォ」
手首をプラプラと振りながら、苛立たって叫ぶ
ラファエルの能力は《神の治癒》
その力は至極単純、ただの回復能力だ
魔力量が聖戦参加者のトップを誇るラファエルだから出来る超回復
それともう一つ、オリジナルの魔法で吸引魔法
この2つの魔法の使い方はまるで天使そのもの
仲間への攻撃を自分に引き寄せ、攻撃をくらうと同時に自分を回復させるというもの
いわば仲間を守る不滅の盾
プルルルルルルル…
張り詰めた雰囲気の中携帯の着信音が鳴り響く
「もしもし、俺だが?」
ルシファーがスマートフォンを耳に当てる
その間にミカエルの減った魔力を回復させる
「へぇ、そっちはそんなことになってるのか」
楽しそうに笑うルシファー
そして二三度頷いてスマートフォン通話を切る
「つーわけで急ぎの用事が出来たから、終わらせるわ、お前より殺したいやつが見つかった」
そう言いつつ、腕をまくりあげる
そこには禍々しい紋章が描かれてあった
そこにポケットから取り出したナイフを突き刺す
「《限定解除》」
辺りに闇が広がり、全てを飲み込む
負のオーラが辺りを埋め尽くし、悪魔が姿を現した
テスト近い
ていうか明日