第45話 どんな気持ちですか
「あ、その問題間違ってるよ」
「え、」
解き進めていた科学のプリントのミスを指摘される
「…どこ？」
「もー、しょうがないな〜」
私、小鳥遊 透は今、人生の最盛期を迎えております
隣にいらっしゃるのは、この高校1番の美少女といっても過言ではないほど可愛い四季崎 琴音さん
なぜそんな美少女が隣にいるのかって？
そう、勉強を教えてもらっているのだ
放課後に美少女に勉強を教えてもらえる日が来るなんてな
「最高だ……」
「ん？なんか言った？」
つい口を出てしまった喜び
「いやぁ、何でもないです」
「そう、てか小鳥遊君、科学ちゃんとわかってるじゃない。ほとんどの問題合ってるし」
「え、ほんと！？」
自分で答え合わせしてみてもほとんどの問題が合っていた
(これも四季崎さんのおかげかな)
(ニヤニヤと鼻の下伸ばしやがって…)
微笑ましい青春の放課後勉強を後ろのドアからこっそり除く神が1人
□■□■□■□
「あ、忘れ物」
上履きを脱いだ時点で忘れ物に気付く
再び上履きを履き、教室へ戻る
アタシは気絶してて覚えてないけど、シヴァ奪還作戦は無事に成功し、倒れた私はナーサティヤに助けられた
びっくりしたのは、高橋の下半身も治そうとしていたら、いきなり空からもう一人高橋が降ってきて、
「この次元での高橋が世話になった。俺は152756番目の次元の高橋だ。いやぁ、やはりパラレルワールドを行き来するのは骨が折れる。事象の歪みを防ぐため、俺とそいつは入れ替わる。なに、記憶も全て共有しているからお前らのこともちゃんとわかる」
とかなんとか言い出して…
でもまぁ、誰も死ななかったのは奇跡だろう
いやぁ、あの時にトールが来てくれなかったら本当に……
「……！？何考えてんだアタシ！」
トールがどうした！
あいつもなんか
ちょ、ちょーっとかっこいい感じで助けに来たけど、結局ほとんど何も出来てなかったし
別にあんなやつが助けに来なくても…！
気が付くとなぜか早足で歩き、頬が熱くなっていた
(…馬鹿らしい)
ハァとため息をつく
教室につき、中に入ろうとしたところで声が聞こえた
「あ、その問題間違ってるよ」
「え、」
トールの声が聞こえ、なぜかとっさに身を隠す
(何してんだアタシ)
そしてそーっと中を覗く
(…何してんだアタシ)
見てみると女子と一緒に楽しそうにしていた
(ニヤニヤと鼻の下伸ばしやがって…)
なんか見てて嫌な感じがする
なんだろこれ
「ほほぉ、あのトオルがねぇ」
「ひゃぅ！？」
突然後ろから抱きつかれて、悲鳴を上げる
「なんだ、姫裡ちゃんか…」
「いよっす、何してんの？」
突然後ろから脅かしたのはトオルの幼馴染みである橘 姫裡
「ちょっと忘れ物を取りに」
「で、来てみたら愛しのトオルがほかの女の子とイチャついてたと、」
「そうなんだよ、って！違う！何言ってんの！！」
小声で叫ぶ(←！？)ディアナ
顔は真っ赤に染まってわたわたと慌てる
「わかりやすいな〜。でもあいつは昔から相当鈍感だよ」
「そ、そんなんじゃない！」
ふと、頭に助けに来た時のトオルの姿が浮かぶ
「う…」
「ん？どした？」
「いや、何でもない」
そもそもあいつは敵のはず
私から力を奪った敵のはずなのに…
(この気持ちはなんなんだろう…)
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「ハァ…ハァ……」
とある神社を息を切らして走り抜ける青年が1人
チラチラと後ろを振り返りながら走っている
その顔は恐怖と悲壮に満ちていた
そして青年の後ろを遅れて走る少年
その顔は殺気に満ち溢れ、どす黒い笑みを浮かべている
「なんなんだよなんなんだよなんなんだよ！！あいつは！」
青年が走りながら叫び声を上げる
「目の前で2人やられた！俺もやられる！せめてゼウスにこのことを！」
階段を飛び降り、振り返ると少年も階段から飛んでいた
「くっそおおお！！」
青年は弓矢を取り出し、飛び上がった少年に向けて放つ
「空中ならよけれないはず！」
「俺…、…が当…………0…」
少年がボソッと何かを呟く
放った矢は的から大きく外れ飛んでいく
「なんで、なんで当たらないんだよ！！！」
青年が髪留めとして使っていたピンを宙に投げる
ピンは宙で姿を変え、鹿や、狼が現れる
しかしそれも、
「攻……、…た…確………」
青年が呟くと同時に鹿と狼は倒れる
少年の手にはサバイバルナイフが握られていた
「あぁ…、」
矢を放とうとするが、恐怖で震えて矢を落とす
再び弓を構えた時には少年は消え、サバイバルナイフが首に突き刺さっていた
「あ…」
プツンと、操り人形の糸が切れたかように地面に倒れる青年
「…5人目、アポロン」
「1人目、デメテル。2人目、ヘスティア。3人目、ヘルメス。4人目、アルテミス」
「残り7人…」
「6人目………」
「アフロディテ」
最後に追われていた青年は
オリンポス十二神の1人【アポロン】です
そして謎の少年によって再起不能になりました
現時点で5人の十二神がやられてます
シヴァ編完結
次はアフロディテ編
ライトルもいよいよ折り返し地点を迎えました
これも読んでくれる人達のおかげです
本当にありがとうございます
