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第24話 よく喋る ◆

ホルスの事件から数日が過ぎた土曜


新たな派閥、第四勢力が聖戦に参加することが決まった


そして今日人間派閥は、灰色のホールで緊急集会を開いている


シヴァは小学校の遠足に行っていていない


このシリアスなムードでよく遠足に行けたものだな


さすが空気ブレイカー




「第四勢力のリーダーは、トオルの隣に住んでいる大神 天昭。リーダーの能力は不明。派閥の人数も不明。だが、ホルスなどかなり強力で無視できるような派閥じゃない」


高橋が先刻、【カミ】から告げられた情報を元に皆に話す


「第四勢力の目的は聖戦の永久凍結なんだろ?なんで聖戦の運営的なポジションである【カミ】は第四勢力の聖戦参加を許可したんだ?」


八橋が疑問を口にする


「それはわからん。まぁ、聖戦に参加する目的をわざわざ《カミ》に言う必要もないしな。実質、第四勢力の目的を知っているのは、それを教えられたトオルを含む人間派閥だけだろう」


高橋が端的にまとめる



「そして、本題だ」


「アヌビス、お前、なんか隠してねーか?」


高橋が喋り出す


「能力についてだ。お前自体に能力はないはずだが、ホルスと戦って、なぜ無傷なんだ?ホルスはエジプト最強と言ってもいいくらいの強さなんだろ?」


「そして、アンクの能力もだ。ものを腐らせない能力で、なぜマグロは硬くなっていた?ものを硬くする能力とかじゃないのか?何を隠している」


高橋がアヌビスを問い詰める


が、


「知らん」


予想外の回答が帰ってきた


「無傷だったことも、アンクのことも全く俺にはわからん。これは本当だ」


アヌビスが嘘を言っているようには思えない



そしてトオルが問いかけた


「じゃぁ【イシス】って誰だ?」



ビクンと震えるアヌビス


「途中で聞こえたんだよ。イシスってエジプト神話の神か?」



アヌビスはしばらく黙っていたが、ため息をついて話し始めた



「そうだ。イシスは俺と同じエジプト神話の神だ。そして、前回の聖戦で死んだ」


そう話すアヌビスの声は少し震えていた


衝撃の一言に全員が言葉を失う


「俺のこの聖戦での目的は、イシスを生き返らせることが出来るやつを探し出すこと」




「イシスは俺のせいで死んだんだ」


ボソッと呟く

しかし誰にも聞こえない


救いはない


そんなことは知っている


「イシスって名は聞いたことあるわよ。魔法がすごかったって。ローマ神話まで伝わってたわよ」


ディアナが思い出したように話す


「天使にあらゆる傷を直し、死人を生き返らせる程の回復魔法を使えるやつがいる。前回の聖戦でちらっと聞いた。俺はそいつを見つけ出す」


アヌビスの過去は詳しくは知らない


だがアヌビスの決意は硬いもののようだった


イシスとはどんな神だったのだろうか?


「アヌビス…」


「話に出てきたのはラファエル殿ではないか?」


トオルが呟いた瞬間


ホールの入り口に黒いアロハシャツを着た白髪の青年が立っていた


「あいや、話を遮ってすまない。どうぞ続けてくれ。ここで待っておくから」


ヒラヒラと手を振って壁に寄りかかる


「何言ってんだお前、誰だ?」


高橋が敵意剥き出しで睨みつける


「いやはや、そういえば名乗ってなかったな。失敬失敬。私の名前は【カオス】。天使派閥の一員だ」


そのまま、スッとお辞儀をする


瞬間、


カオスの周りの壁や、床が消滅する


高橋の座標融解(メルトロケーション)



しかし、

本命のカオスには何も起きない

続けて話す


「ちょいと、ちょいちょい。そう急ぎなさんな。まぁ、私達、天使派閥の言い分を聞いて欲しくて参上したのだがね?」


「私達、天使派閥のリーダー、ミカエル殿の意向により、貴殿ら、人間派閥と同盟を組みたいと思っているのであるのだよ」


「だが、しかしだ。もしもし、いや、もしもの話、貴殿ら人間派閥が弱ければどうだろう。同盟を組んでも邪魔にしかならないというのはおわかりいただけるであろうな?」


「うむうむ。だがしかし、強さはどうやって判断すれば良いのか?私は三日三晩と考えはしなかったが考えたのである。いやこれは実際には三日三晩考えてはないのだぞ?一瞬で考えついたのであるからして、勘違いするでないぞ」


「いやはや、少し考えれば簡単にわかることであった。いや、三日三晩考えようとした自分が恥ずかしくて仕方がないよ。おっと、話がそれてしまったな。私の悪い癖だな。自覚はしてるがやはり癖というものは中々に治らないものだな。いや、私は治そうとは思っておらぬよ。癖やそういった悪いところも含めていいのであるからな。」


「はてさて、要約させてもらうと、力試しに来たということになるのか。まぁ、ニュアンスはそんな感じだと思っていてくれ。」


「というわけなのだが人間派閥。手合わせ願おうか」



グダグダと一人で喋り続けたカオスはスタスタと歩き出す

人間派閥のメンバーはポカンとして、グダグダ喋るのを聞いていた


挿絵(By みてみん)


そして引き続き喋り出す


「うむ。力試しとは我ながらいい案だと思うのだがどう思う?ここで悪い案と罵ってくれても構わぬのだが、何分、三日三晩考えようとするほどして考えた結果である。お世辞でもいい案だと言ってもらいたいものなのだよ。この気持ちをわかってもらいたい」


「さて、私は君達の能力を知っている。それに対して貴殿らは私の能力を知らない。いや、もしかしたら知っているという可能性はなきにしもあらずというわけだが。んん?どうなのだ?全て知っているのか?一部知っているのか?いやいや、みなまで言うな。結論貴殿らが知っていようが知っていなかろうが説明すればいいだけの話なのだから。まぁ、私としては少々面倒臭いので説明したくはないのだがね。おっと本音が出てしまった、失敬。忘れてくれ。それでは平等に戦うために私の能力を説明しようか」


「私の能力は《隙間操作》。ここで注意。これを聞いてほとんどの人は勘違いする。天使派閥の皆に説明した時も勘違いされていた。いやあの時は説明が大変であったよ。その私の必死の身振り手振りの渾身の説明も盛大に笑われてしまったわけなんだが今となってはいい思い出である。ちゃんと分かり合うことは大切なのであるよ。この分かり合う精神が同盟を組むという話に繋がったのではないかと思うがどうかね?貴殿らもそう思うであろう?そう考えるとミカエル殿はとても良い御方だとということが分かるであろうな?ミカエル殿は才色兼備、眉目秀麗、それはもう天使のような…とここでそもそも天使だろ!みたいなツッコミを期待したがやはり私のギャグセンスについていけぬか。いやそれは仕方のないことであるよ?ただ私が凄すぎるのである」


「おっと、またまた話がそれてしまったな。失敬失敬。そうそう、勘違いされるというところだったな。私の能力は《隙間操作》であって《隙間操作》ではない。私が操るのは《隙》と《間》である。むむ、決して今のはギャグではないぞ?私は大真面目だ。まぁ、面白いとは自負してるがな。え?面白くない!?」




「と、まぁ長くなってしまったが、はてさて…」







「貴殿らは全員生き残れるかな?」





カオスの雰囲気が一変する

カオスは個人的に好きなキャラになりました


グダグダ喋ってますが


そういうやつなんで(・∀・)



カオスといえば、


混沌のイメージが強いですが


調べてみると


空の空間


という意味もあったので


そっちをとって、隙間操作にしました



挿絵は上手く出来た方だと思います




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