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何度も言うが俺は雷神トールじゃない!  作者: ビタミンA
第1章 お前今から雷神な
21/92

第15話 つかの間の休息 ◆

ほのぼのって感じです


壁が戻ってるのは


高橋の能力です


一応トオルの部屋の見取り図?


を載せてます



15話


目が覚めると、またベッドの上で寝ていた


起き上がると

やはり皆がいた


誰一人として欠けてない


てゆーか一人増えてる


「どうも皆はじめまして。俺の名前は八橋 翔太。れっきとした人間派閥のメンバーだ」


ツンツン頭の八橋は高橋と同じ歳のようだった


「で、昨日の話なんだが…」


八橋は昨日あったことを全て話した

トオル達は幻覚を見ていたということ、アスモデウスには逃げられたこと、そして謎の男のこと


「俺が知らない間にそんなことがね」


「俺がいなかったら皆死んでたな」


高橋が言う


「お前がそれ言うか…たゆー」


「たゆー?」


ディアナは首をかしげる


「あぁ、高橋のあだ名だよ。たかはしの【た】ゆうやの【ゆ】でたゆー。皆もそう呼んでやってくれ」


八橋が皆に説明する


「フン。しかしそれも仮の名にすぎない。平行世界(パラレルワールド)の俺の名前を借りただけだ」


「相変わらず中二病だな」


八橋は遠い目をして呟く


「ひとつ疑問に思ったんだけど」


トオルが切り出す


「アフロディテの能力って擦り傷程度しか治せないんだろ?なんでディアナの大怪我とか俺の怪我を治せたんだ?」


「その話ですね」


アフロディテは目をつぶる


「私のもう一つの能力です。私の寿命とその怪我人の寿命を代償に回復出来るという能力です」


「なんだ....それ」


トオルは驚愕をあらわにする


アフロディテは悲しそうな顔をしていた


「私の寿命はどうでもいいのです。でも他人の寿命を代償にするのは…」


「それは違うだろ」


八橋が話を遮る


「自分の寿命がどうでもいいなんて言うなよな。緊急だからそれを使ったってのも話せば納得してくれるだろ?」


「そうよ。アタシだってその場で死ぬくらいなら寿命が短くなってでも生きたい」


ディアナが言う


「引け目を感じるなんておかしい。むしろ感謝したいくらいだよ」


トオルも続けて言う


「あ、ありがとうございます。皆さん」


アフロディテの顔からは悲しさは消え、とても嬉しそうにしていた


「ところで私もトールさんに質問が」


「ん?なに?」


「トールさんを回復させるときどうもうまくこの能力が使えなかったんですよ。なんて言いますか…寿命が変というか」


「え?」


トオルは再び驚愕をあらわにする


(ヤバイ!神じゃないってバレる!?)


今はシャルヴィもいない

フォローしてくれる人が誰もいないのだ


アフロディテは不思議そうにこっちを見ている


「あ、え…っと」


「どうかしました?」


こういう時のアフロディテの微笑みは恐ろしい


全部喋ってしまいそうで


(どうする…何か手はないのか)


「じ、実は……」




バンッッ!


突如扉が開き

虫あみと虫かごを持った

シヴァが乱入してきた


「蝶々いっぱいとれたよ!」


バッと虫かごを掲げて誇らしそうに叫ぶ


続いてアヌビスが部屋に入ってきた


「ねぇねぇ!見て見て!黄色い蝶々がいたよ!」


シヴァは叫び続ける


アヌビスはテーブルに突っ伏して寝始めた


「ねぇねぇ!ねぇねぇ!」


シヴァは

まだ叫び続け…ちょっとうるさいな


トオルは誰にも気づかれないようシヴァに向かって親指を立てる


(ありがとう!空気ブレイカー)


シヴァは何も能力が無いかわりに空気を破壊するのが得意らしい


「そういえばトールさん。食欲はある?」


シヴァを膝の上に載せてアフロディテは問いかける

…なんか親子みたい


「食欲はありますけど」


「お粥作ろうか?」


ニッコリと笑って言う


「!?」


女子の手料理

それは男の憧れ

本来ならば母親orお婆ちゃんの二択しかない女性の手料理

しかしそんなもの(ごめんお母さん)とは比べ物にならない程のレア物

それを彼は、トオルは手にしようとしている


「お、ぉ…ぉねがいしまふゅ…」


さすがネトゲ廃人

肝心なところでテンパる


「あ、ならアタシも作る」


なんか知らんがディアナも続いた


「あ、そっすか」


適当に返事をするトオル


「なによその態度。殺すわよ」


拳を握り、脅しをかけるディアナ


(ほんとこいつ可愛くないな)


「それじゃ、材料買って来るわね」


「いってらっしゃーい」



バタン。


女子の二人は材料を買いに出かけた


「怪我してくれてありがとう」


八橋が涙を流しながら呟く


「うん。俺も怪我して良かったと思う


トオルも涙を流している


「そんなにお粥が食べたいなら俺が作ってやる」


高橋が立ちながら言う


「「お前は黙ってろ!」」


トオルと八橋で声が被る


二人はまさしく一心同体

伝説のレア物を口にいれるのを今か今かと待ち望んでいる

はやくしてほしいものだ


「だが、忘れているぞトールよ。作るのは二人だ」


スッと目を細め、トオルを見る八橋


「あぁ、うっかりしてたよ。そういやあいつも作るのか…」


トオルも目を細める


「どんなゲテモノが出来るか楽しみだ」


八橋がとんでもないことを言い出す

本人の前で言えば速攻で殺されるだろう


「お前が先に食べろよ?」


トオルが八橋を睨む


「馬鹿言え、怪我人のお前の為に作るって言ってんだ。お前が食べて余ったのを俺らが食うはずだ。あ、ディアナちゃんのは残さなくていいよ」


「アヌビスー。お前が食ってくれよー。ディアナの」


ベッドからテーブルで寝ているアヌビスに頼む


「…な!?いない!」


アヌビスは忽然と消えていた


「あいつもちゃっかりしてるな…」




□■□■□■□




「ただいまー」


二人が買い物から帰ってきた


「すぐできるから少し待ってて」


スーパーの袋を持って台所へと消えてった


「クッ…壁が邪魔で料理してる姿が見えない!」


トオルが心底悔しそうに呟く


挿絵(By みてみん)


「ふふふ。残念だったなトールよ。俺はバッチリ見えてるぜ!ディアナちゃんも作る姿はいいもんだな」


ニッコニコしながら勝ち誇る八橋


「トール兄ちゃん。いい物見つけたー」


トタトタとシヴァが寄ってきた


(ガキにかまってる暇はない!今は人生の全盛期なんだ!女子が部屋に来るどころか料理作ってんだぞ!これを見らずに死ねるか!…って)


「それは!」


シヴァの手には鏡が握られていた


(これなら…いける!!)


「シヴァ、それを俺から台所が見えるような角度で机に置いてくれないか?」


トオルがゲス顔でお願いする


「ん?こう?」


机の上に鏡を置いて必死に角度を確かめるシヴァ

その角度はバッチリ


トオルを映していた


「あの?シヴァ君?これわざとやってるよね?」


「それじゃお姉ちゃん達を手伝って来るね!」


シヴァはニッコリとトオルに笑いかけるとトタトタと台所に走って行った


「き、貴様ァ!待てェ!お前絶対わざとだろ!」



□■□■□■□



「お粥出来たわよー」


アフロディテがお盆に人数分のお粥をのせて出てきた


ちゃんと人数分作ってくれたようだ


それに続いて

ディアナがお盆に人数分のゲテモノをのせて出てきた


ちゃんと人数分作ってしまったようだ


アフロディテのお粥は卵が入っていて健康的な感じだが


ディアナのお粥は

なんか…緑がかっている気がする



「いただきまーす!」


早速お粥を口にかきこむ

もちろんアフロディテの


「う、美味い…」


こんなに美味しいもの食べたの初めてと涙目で食べ続けるトオル


ひたすら口に入れ込む八橋



おかわりもすぐになくなってしまった

一応言っておくけど

ディアナのお粥は放置です


「ふー。美味しかった。ありがと、アフロディテ。それじゃおやすみ」


とトオル


「あ、俺急用あるから帰るわ」


と八橋


とその横で高橋もアフロディテのお粥だけ食べて黙り込んでいる


「お腹いっぱい!それじゃまた蝶々捕まえて来る!」


とシヴァまでもが言い出す


「おい、お前ら」


鬼のような形相で全員を呼び止めるディアナ


「まだアタシのお粥が残ってるでしょうが」


トオルの襟を引っ張り、振り回す


「アタシの作ったのは食べたくないって?アァ?」


「わ、わかった!わかった!食べるから振り回すな!」


ディアナは襟を離し、トオルにお粥を渡す


「結構自信あるのよ!料理はちょくちょくしてるし」


(く…俺もここまでか)


トオルが悔しそうに歯噛みする

男子陣が心配そうにトオルを眺める


「ほら、はやく食べてみて!」


ディアナがはやくはやくと急かす


「な、南無三!!!」



バクッ…



「ど、どうだ?」


恐る恐る尋ねる八橋


「普通に美味しい」


「なにそれつまんね」




つかの間の平和を取り戻したトオル達の土曜日でした

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