第11話 vsアスモデウス その①
今回は残酷な描写を入れました
ダメな人は心してかかって下さい
シャルヴィはここで一つの疑問を抱く
とても重要な疑問
それは
なぜアスモデウスは"トオル"と呼んだのか
トオルが代理として戦ってることを知っているのはトール、シャルヴィ、レスクヴァの三人のみのはずである
(情報が漏れるなんてことはありえない)
シャルヴィは戦いに巻き込まれないように距離をとっている
聖戦が始まった今では、彼は戦うことが出来ない
(いや、"そんなこと"は後でじっくり考えよう。それより...)
シャルヴィは確かに確認した
変わる髪の色、黄色の魔法陣
そして
トオルの頬に"あるはずの雷の刻印が消えていた"ことを
(まさか、あれは...)
□■□■□
トオルは崩れた壁をミョルニルで殴りつける
ミョルニルは壁を簡単に粉砕し
バラバラに砕けた壁の破片は
宙を浮いているアスモデウスめがけて飛んでいく
「何なのコレ。ふざけてんの?」
あまりにもふざけた攻撃に呆れ、ため息を漏らすアスモデウス
しかし
壁の破片はアスモデウスに当たるやいなや、体を貫き、翼を貫き、アスモデウスをグチャグチャの肉塊に変える
粉砕するもの
その能力は触れたものの重さを変えること
トオルは殴りつけた壁の破片を飛ばす瞬間にその一つ一つの重さを変えていた
その重さ約1t
ミョルニルを一振りするだけで
簡単なショットガンの出来上がり
重さ1tとなったことを微塵も感じさせない壁の破片はそのままアスモデウスを貫いたのである
「面白いこと考えるね」
アスモデウスの傷は消えていた
「うるせぇ。殺すぞ」
ヤールングレイプを着けた右手を軽く振るとその指先からは白い電撃が走りアスモデウスの翼を焼き切る
続けてアスモデウスの肉体を焼死体に変える
しかし
「そんなんじゃヌルいよ」
瞬きの後には無傷で飛んでいるのである
「何なんだお前」
「色欲を司る悪魔、アスモデウスだよ」
言い終わる瞬間
トオルは201号室から飛び上がりミョルニルを口に咥え、アスモデウスに掴みかかる
アスモデウスの口の中に左手を突っ込み放電。
アスモデウスはガクガクと痙攣し、顔の皮が引き裂かれ、眼球がブクブクと沸騰して弾け、口や鼻から血が吹き出だした後、やがて痙攣すらも止まる
口に突っ込んだ左手で下顎を引き千切る
千切れた肉塊を投げ捨て、口に咥えたミョルニルを握り
ヤールングレイプにより電撃を纏ったミョルニルで頭蓋を叩く
地面に向かって吹き飛びコンクリートにめり込む
めり込んでいるアスモデウスめがけてミョルニルを投げつける
地面についたミョルニルはアスモデウスの胸を貫く
トオルはヤールングレイプを発動
その電磁波によってミョルニルはトオルの方へ飛んでいく
もう一度ミョルニルを握りしめ
アスモデウスめがけて投げつけようとした時
目の前に黒い羽が舞い落ちてきた
何枚も何枚も
(なんだこれ)
そう思った瞬間
その羽一枚一枚が爆発した
「!?」
全身に爆発を受けたトオルは吹き飛ばされる
しかしその体は軽い火傷を負っている程度
なぜと聞かれれば
電流による肉体強化と答えよう
ヤールングレイプの電流により体が活性化し、回復能力も上がる
アスモデウスに掴みかかった時の跳躍もヤールングレイプの肉体強化のおかげである
「ボロクソにしてくれやがって」
気がつくと目の前までアスモデウスが来ていた
こめかみから血を流している
反応するより前に口の中に何かが入ってくる
「お返しだ」
口の中で黒い羽が起爆し
頭だけをトラックでひかれたような衝撃が襲う
「ガッ……ッ…」
肉体強化があったとしてもこれはキツイ
意識が飛びそうになりながらも再び掴みかかる
しかし掴んだ腕に長い羽が幾つも貫通して刺さり爆発
「ぐ、あああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
腕の内部を爆発され動かすことも出来なくなる
爆破された右手を抑えながらもアスモデウスを睨みつける
「これでおしまいだ」
アスモデウスの黒い翼から羽が飛び散り何枚もトオル体に突き刺さる
そのまま......
爆発
全身を内部から爆破され
動くこともできず地面に叩きつけられる
「グ…あ……」
起き上がろうとするも体が全く動かない
アスモデウスはトオルを見下ろし宙に浮かんでいる
(くっそ…動けよ!俺の体!)
トオルの体は元々快調ではなかった
オシリス戦の時点で体を酷使していて回復も間に合ってなかった
ふと
潰れた右腕に柔らかな光が灯る
ボロボロになったアフロディテが回復魔法を使っているのだ
魔力はディアナの回復にほとんど使っているはずなのに
「あなたは私が助けます」
アフロディテは優しく笑いかけてくる
「だからさ」
また別の声が聞こえた
「ここは私に任せなさいよね」
声の主はディアナだった
(お前じゃ無理だ…)
そう思っても口が動かない
「今回だけ、特別だからね!アンタなんか大っ嫌いなんだから!」
いつも通りの突っぱねるような態度をとって走り出した
アスモデウスは悪魔派閥の幹部だ
まともな能力も持ってないディアナじゃ負けるだろう
でも
アスモデウスめがけて走るその背中を見ると、なぜか安心出来るのだ
ディアナは決断をした
負けるかもしれない、いや、死ぬかもしれない決断を
それも、トオルのために
ならばそれに答えるために
伝えなければ
たとえ聞こえなくたって
そう言いたいから言うだけだ
「頑張れよ…」
そして、ディアナは高く跳んだ
「アイツがやられた分、きっちり返してやるわよ!」
アスモデウスは冷たく笑い
トオルの頬には雷の刻印が刻まれた
えー
ミョルニルショットガンで
1tなんて重さの破片がまっすぐ飛ぶわけないじゃないか!
という疑問を抱いた方もいらっしゃいますでしょうが
あれはヤールングレイプによる肉体強化で
1tを打ち出せる程に強化したからですということにしといて下さい
それでも納得出来ない人は
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これはファンタジーです
何でも起きるのです
そういうことにしといて下さい