第7話 キモくても頼れるアイツ
絵は気にしないで下さい
あれでわかってもらえれば幸いです
「何でアンタがこの学校にいて、なおかつこのクラスなわけよ!なんなの!ストーカー?」
「誰がストーカーだ!このツンツン女!お前こそ俺と同じ学校に来るとかストーカーですかー?」
「殺すわよ」
「雑草で?」
「アンタねぇ....」
(あーあーキレたキレた。扱いやすいけどめんどくさいなーこいつ)
ディアナはトオルの隣で青筋立ててキレている
「まぁ落ち着け。授業中だぞ。アヌビスはどうしたんだ?」
「あぁ、あいつなら隣のクラスよ」
(一応いるのか...)
「つーか、なんでわざわざ学校なんて通い出すんだよ」
「はぁ?あんたこそなんで学校通ってんのよ!」
「あ?なんでって俺は...」
(おっと、そうか。俺一応トールだったな)
「俺は...シャルヴィに入れって言われたから入った」
「...側近の言いなりとかマジキモイ」
「キモイとは失礼な!!つーか!お前はどうやって入ったんだよ!」
「無理矢理だけど何か?」
「無理矢理で入れるわけないだろ!ってなにが「テヘ☆」だ!可愛くないぞ」
「もうキモいから喋りかけないで。こっち見ないで。力を返してから消えて」
「お前俺が何を喋ってもキモイで返すつもりなんじゃ...」
「喋んなキモい」
「もう俺お前嫌い」
「私だって嫌いなのよ!力を返してもらえさえすれば速攻で殺してやるわよ!」
ディアナはプイっと外を見る
(腹立つ...)
トオルは深いため息をつくと
なんとなく眠いという理由で
睡眠に入る
□■□■□■□■□
(はぁー...なんでこんなやつと同じクラスでなおかつ隣同士なんて、神様は一体何やってるのかしらね。私神だけど)
隣でぐーすか寝てる間抜けをジロリと睨み、ため息をつく
(そんなことより、私ともう一人の四季崎とかいうやつの反応の差は何だったのかしらねェ...)
四季崎の登場で男共のテンションはピークを迎える
あまりの盛り上がりに緊張して
ぎこちなくディアナが入ってきた
瞬間
一気に熱は冷め、全員揃って胸を見て鼻で笑っていた
(一人ずつ呼び出して処刑してやろうか)
ギロリとと後ろの席からクラスの男子を順に睨みつける
睨まれた男子が順にビクリと肩を震わせる
(はぁー...人間界も刺激が少なくてあんまり面白くないなー)
頬杖をつき
外を眺める
雲一つない快晴で
スズメが電信柱に四羽とまっている
(ん?)
ふとグラウンドを見ると
真ん中に人が立ってる
(誰だあれ。何してんだろ)
そいつはキョロキョロと周りを見回し校舎をジーっと見ているようだ
(それにしても暑くないのかしらね)
グラウンドに立っている人は
暑苦しい黒いコートを着て突っ立っている
(ジッと校舎見て何がしてーんだよ。つーか学校にいて大丈夫なのかしら?ちょっくら顔を拝見させてもらうか)
ディアナは目に意識を集中する
カメラをズームするように
そいつの顔がアップになっていく
(!!!?)
目が合った
確かに合った
そして
(笑っ....た?)
ニヤリと笑ったその顔は
どこか薄気味悪く
ずっと見続けていると
何か、呑まれてしまうような...
目の集中を解いた途端...
そいつの足元に
直径5m程の黒い魔法陣が展開された
(!!?まさか!あいつ!)
魔法陣が消えると同時に
そいつの背中から
不気味な形をした翼の様なものが生えてきた
(神だ!!!)
臨戦体制に入るために机から立とうとした瞬間
目の前まで翼が伸びてきていた
「な!!?」
ボゴオォと
校舎の壁を突き破りディアナめがけて翼が伸びる
「キャァ」
運良く椅子につまずいてコケて
翼は空中を空振る
叫び声をあげる生徒達
何人か床に倒れて気絶している様だった
瓦礫の破片が当たったらしく
頭から血を流している生徒なんかもいた
翼はいつの間にか消えていた
すぐさま立ち上がる
(ここじゃぁまずいわね)
周りの生徒達を気にして
崩れてなくなった壁から外に出る
敵は一歩も動いていない
(どこの神だ...?)
この状況はかなりマズイ
相手は能力が不明
ディアナ自身の能力も使い物にならない
能力が無いディアナでも格闘術は優れているが
相手がかなり上位の神だったら瞬殺される
上位じゃなくても勝てる可能性はかなり低い
(あの変な翼、目で追えなかった)
翼は背中でグネグネとうねっている
翼というよりは触手に近いかもしれない
その翼全体に包帯が巻かれていた
(アヌビスは戦えないわね...なら....トール!!!)
すぐにトールを呼びに振り返ろうとした瞬間
目の前に翼が来ていた
(!!!!)
顔めがけて飛んで来た翼は
ギリギリで回避したものの
腹にもう一方の翼が腹にめり込む
「カハッ...!」
そのまま大きく後ろに吹き飛び
アヌビスの教室の壁を粉砕し中まで吹き飛ぶ
ディアナは口から血を吐きながらも立とうとするが体に力が入らない
(癪に触る...けど、トー...ルを呼ばな......きゃ...)
必死に体を動かそうとするもやはり動かない
背骨が折れているかもしれない
周りの生徒の悲鳴がどんどん遠くなっていく
(トール......どうにかしなさいよ!)
『うわぁ。派手にやられたな』
聞き覚えのあるイラっとする声が突如耳に届いた
その声が消えかかる意識を無理矢理引き戻す
倒れているディアナの横には
小鳥遊 透が立っていた
だが雰囲気が明らかに違う
昨日あった時とは全然違う
外見も変わっていた
髪が金色に染まり
瞳も金色に変わっていた
「お前、俺に力取られてるのによく戦おうとしたよなー。まぁ、お前のそういうところ...」
次にどんな事を言うのかは簡単に予想が出来る
こいつはそういうやつだから...
「...寒気がするくらい嫌い」
腕を掴んで身震いする真似をする
やはりこいつの事は嫌いだ
血を吐いて倒れている神にかける言葉にしては酷すぎる
私だって力があればこのくらい...
「お前なら力があっても負けるわ、アホ」
心を読めるわけでもないのに
心を見透かしバカにしてくるこいつが殺したいくらい嫌い
だけど...
「...そんじゃぁ、敵討ちってやつ?行ってくるぜ〜感謝しろよ〜」
だけど時々
頼もしかったりするんだよね
(期待しないで待ってるわよ)
そうして意識を失う
□■□■□■□
「よーし、久々に暴れるぞ〜」
ゴキゴキと肩を鳴らし
瓦礫を乗り越えグラウンドに出る
50m程先にウネウネと翼をうねらせる男が一歩も動かず立っている
「ふぅ、あれはー....【オシリス】か」
[あのー...]
「何だよ」
[こーゆー事出来るなら初めから俺じゃない誰かでこうしてくれよ]
「嫌だよ。トオルは俺のお気に入りだもの」
[他が嫌なら自分が召喚されろ!]
「嫌だよ。召喚される時ってさ、メチャ吐きそうになるんだよね」
[まさかそれで聖戦に出たくないとか言ってんじゃないだろうな?]
「そ、ソンナコトナイヨォ!」
[嘘が下手だな...]
「いやぁ、それ程でもぉ」
[いや!褒めてねぇよ!?]
「よし、じゃぁそろそろやりますか〜」
[本当に大事にしてくれよ。俺の体...]
「わかったよ。しつこいなー!それじゃ、キチンと体で覚えろよ。神との戦い方をな」