表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこのすきな人  作者: あめとりん
第一章
6/6

第六話


七月

真夏日だね

暑いよぅ、 まぶしいよぅ!


「ほたるちゃん!おはよう!」


「っ、おはよ!」



慌てて出て行くと、玄関にはもうのぞみちゃんがいた。

ちょっとだけ短くなったふわふわの髪が涼しげで、


ごめんねっ

すぐに靴履くからね


あの工場見学の日から一週間経った。


のぞみちゃんと私はちょっとだけ変わった。

今までは、わたしがお迎えに行ってたけど、

今ではのぞみちゃんが来てくれて、


「学校いこう」


のぞみちゃんから手を繋いでくれるようになった。



ーーーーっ


ううぅぅんっっ!!

かわいい! のぞみちゃんはかわいいのっ!

ふわふわの茶色の髪、くりくりのおめめ、

顔がコテン?ってしてる!

今日のTシャツは、ばーにーまうんてん?だよね?

お兄ちゃんの飼いたいわんこNO.1!

あの茶色のマロ眉がかわゆくて!

いいよね!

のぞみちゃん、わんこ好きなの?

わたしはね!


「ほたるちゃん?体調悪い?」


えっ!

慌てて首を振る


「そう?この頃全然喋ってくれないから

 元気ないのかなって思ったよ」

よかった、とにっこりしたのぞみちゃんに引かれて玄関をでる。


そうなの、

私はのぞみちゃんと上手く話せなくなってしまった。


ううぅ、お喋りしたい事はいっぱいあるの!

頭の中ではすっごく喋ってるのっ

今だって、さりげなく扉開けてくれて、

じぇんとるめーん じぇんとるめーんって!


でものぞみちゃんみてるとぉぉぉ


扉越しにニマニマしたお母さんと目が合った。



お母さんがあんな事言うからっっ





ーーーーーーー


工場見学帰宅後の夕食


珍しくお父さんも早く帰れたからみんなで食べる事ができた。

今日はお父さんの好きなごろごろ野菜カレー


工場見学での様子を話すと


「あらあら!まるでヒーローね!」

「うん!のぞみちゃんかっこよかったの!」

「そうか、そうか」

「はっん」

兄が大きい口でカレーをかきこむ。

お兄ちゃんカレー好きだったよね?

好きな物はじっくり味わう派だって言ってたよね?


「それで?それでどうしたの?」


「帰りのバスもね、隣に座ってくれたの!

目が赤いからって一緒に1番前の席だよ!

のぞみちゃんが先生に頼んでくれたんだ!」


「あら!やるじゃないの!のぞみ少年!」

「うん!なんかいつもののぞみちゃんじゃないみたいで、

 なんかね!かっこよかったのっ」

思い出すとまた顔が熱くなってどきどきしてくる

かわいいって、大好きって!

なんだろ?これ?

頬を押さえて首を傾げる。


「まぁまぁ!女の子の方が早熟っていうものねー!」

「そ、そうなのか?まだまだまだ、早いんじゃないか?」


???

「けっ」

だから、お兄ちゃんの好きな甘口カレーだよ?

ごちそうさま?

え!おかわりしないの?!


「それはずばり!K♡I()ね!」

「鯉な」

こぃ?こい?

お母さんのとお兄ちゃんの“こい”は違う気がする?

お父さんがオロオロして

「初K♡I()ね!」

「初鯉な」

「ちょっと!それじゃあ七五三みたいでしょ!」

 ???


お母さんのツッコミを無視してお兄ちゃんが席を立つ。

我が家は食べたら自分のお皿を水につけるってルールがある。

ちゃぽんって水の跳ねる音。


「蛍?のぞみちゃん、お誕生日誘ってみれば?」

「え?でも家族でパーティーするって」

「お隣さんで家族みたいなものじゃない(ふふふふふっ)」

そ、そーかな?

お父さん目がぱちくりしてるよ?

 

あ!お兄ちゃんがお皿洗ってる!珍しいっ

ゴキュゴキュ言ってる

泡すごっ


「んと、それじゃあ、わたしもお料理手伝っていい?」


「ふふ、甘さ控えめのケーキね」

ぐふふふっと母が笑う。なんかこわい?


「は?!甘くない誕生日ケーキだとっ!!正気か?!!」


ガコッ!ってお皿がシンクに落ちる音がして、

ガッ!!泡がついたままの手で肩を掴まれる。


お兄ちゃんっ!!

今日ののぞみちゃんみたく近いよ!


「蛍、誕生日ってのは周りにお祝いしてもらう日じゃないんだぞ。産んだくれた母に、そして!家族に感謝する日なんだ」


お兄ちゃん???


「お前が生まれた日、小学校を休んで駆けつけたいたいけな少年がいたことを忘れてはいないか?」


???


「そこから早六年、雨の日も風の日もお前を見守り続けた兄を忘れてはいないか?」


・・・・・


「今月の誕生日、家族でケーキを囲み、大事な妹の誕生日をどれほど俺が祝いたいと思っているか!

()()を招待するのは百歩譲って許そう。

だが、兄を裏切るのか?」

俺は悲しいよと、眉を下げる兄。

絶対うそなのにっなのにぃ

ううぅぅ


「お兄ちゃん!

 ちゃんとお兄ちゃん用に甘い生クリームも作るよ!」


にかっ!と兄が笑う


「俺はね、お前を信じていたよ。」


妹を信じられない兄がいるはずないだろと私の頭を撫ぜる兄になんか、ううぅぅんっ力強っ!

ってか泡っ!


お母さんがお兄ちゃんみたいに爆笑してる。

ん?お兄ちゃんがお母さんに似てるのか?


「2人は仲良しだねー」

父はほってして、にこにこしてる。

誕生日会楽しみだねーって、うんっ!!

明日誘ってみよう!


と思っていたが

その日の夜漫画雑誌ち◯おを読んでいて気づいてしまった。


“こい”って好きなひとってことーー!?

“こい”って恋??!

え?大好きって!

あ!でも友達でもあるよね?

“こい”は1番ってことでしょ?

のぞみちゃんはのぞみママも大好きで、パパも好きで、



え?え??よくわかんないょぉ

のぞみちゃんは大好きだけど!

お母さんも!お兄ちゃんも!大好きだしっ

あと、あと、お父さんも!

え?えっ!?


この日からのぞみちゃんと上手く話せなくなってしまった。



ーーーーーーーーー


「ほたるちゃん?」


心配そうに覗き込むのぞみちゃんの後ろで

母がぎゅっと拳を握る

わかってる!

今日こそ言わねばっ!

私もずっとこのままじゃヤダもんっ


「の、のぞみちゃん!

 あのね、今週の土曜日わたしの誕生日会するの。

 よければ来てくれませんか?」

勢いで前のめりになる私にぱちくりと目を瞬いて

「うん!行きたい!」

のぞみちゃんはお花が咲くみたいに笑ってくれた。


のぞみちゃん!

私、前みたいにいっぱいのぞみちゃんと喋りたい!

7歳になったらどきどきしてても上手く話せるかな?

頑張るからねっ


「プレゼント楽しみにしててね」 


指切りして約束した。




でも次の日の朝からのぞみちゃんは学校を休んだ。

次の日もその次の日も。

心配でお見舞い行こうとしたが母に止められた。


結局のぞみちゃんと会えたのは、わたしの誕生日ものぞみちゃんの誕生日も過ぎて、夏休みがもう終わろうとしてる頃だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ