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ねこのすきな人  作者: あめとりん
第一章
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第五話



******


六月のある晴れた日



「今日は校外学習の日です。

 これからバスに乗ってお菓子工場の見学に行きます。

 みんなが好きなお菓子がどうやって出来るのか、一緒にお勉強しましょう。」

「「「はぁーいっ」」」



バスには背の順で乗るんだって。

のぞみちゃんの隣は田島くん。本が好きな静かな男の子だ。

わたしのお隣の席はカホちゃん!

そもそもカホちゃんと仲良くなれたのも、入学してすぐにあった健康診断で身長が同じだったのが切っ掛けだった。

男子からデカって言われたりするけど、

二人でクラスの平均身長を上げようねって話してるの!


「ほたるちゃんっ嬉しそうだね?もうお菓子決めたの?」


 ?  あぁ!


今日の見学は最後にお菓子がもらえるんだっけ?

毎年恒例でお兄ちゃんの時も貰ったって言ってたなぁ。


「まだ着いてもないのにずぅずぅしいヤツだな!」


「ぐぅ介うるさい!ぐぅ介はあっちの席でしょ!」


左斜め前の席に座ったぐぅ介があっかんべーしてくる、

よしっ、お返しだっ!!

ぐぅ介はわたしよりはちっちゃいけど!男子の中だと大きめで、背の順になると近くなってイヤ!

ふんっ

「ほたるちゃん?」

「ううん、あのねもうすぐね誕生日なの!お母さんがケーキ作ってくれるから楽しみで!」

「わぁおめでとう、楽しみだね!何のケーキかな?

 やっぱり苺かな?」

「うちの誕生日ケーキは全部のせなのっ!

お母さんが生地と生クリーム担当で誕生日の人が好きなフルーツのせていいの!だから苺とみかんとももものせるのっ!」

「わ!いいね!楽しみだね!わたしだったらーーー」


二人でいろんなケーキの案をだしてる内にバスは目的地に到着した。





入口の前で点呼を終えると、工場長の田中さん?がやって来た。

お腹がぽっこりしてて、笑うと目に皺ができるのがお父さんに似てるかも?

「第二小学校の皆さん、おはようございます。

 今日はみんなが好きなお菓子がどうやって出来るのか勉強していって下さい。

 最後にはお土産もあるのでお楽しみに!」

お土産の言葉に歓声があがる、わたしも楽しみだなっ


田中さんの後に続いてみんなで工場に入る


「これからベルトコンベアーから材料が運ばれて、混ぜたり、焼いたりしてお菓子ができる過程を見学してもらいます。」

ガラスの向こうには見たこともないくら大きな機械がいくつもあって、そこから次々に何か出てくる?クッキーの生地?

あっ!ちっちゃくなった!今度は何か押した???

機械を通るたびに変形していく!

おもしろいっ

みんなガラスに手を当てて夢中になってる、

ぐぅ介なんて鼻がついてるじゃん!

「こっちの部屋では焼きの作業をしています。

そろそろ出来てきましたが、何のお菓子か分かった人はいますか?みんな食べた事があると思いますよ?」

田中さんについてぞろぞろと移動する。

あそこ?なんかオレンジっぽい光がでてる?

前の方から歓声が聞こえる、え?なに?なに?わたしも見たい!


「もう分かったかな?」

「「「コ◯ラのまーち」」」

「正解です!」

チョコのお菓子だよっ 好きなやつ!


「では第二問!このなかでレアなコ◯ラがいます。

 それはどんなコ◯ラでしょうか?」


みんながうんうん悩んでる。

わたし知ってるっ!

ウチにはびょー的な甘味大王がいるもんっ


「はいっ!はいっ!」


わたしは後ろから手を上げる。前の子がちらちらとこっちを振り返る、あ!のぞみちゃんだ!



「はい、ではそこの元気のいい男の子!」


え?



田中さんの声にわたしは固まってしまった。



「ん?どうしたのかな?」


急に口の中が渇いた気がして、手が下がってしまった。

みんながざわざわしてる気がする、顔が熱くなって、

ぐいっ!!!

急に髪が引っ張られた


「こいつ女でーすっっ」


わたしの髪を持ち上げてふりふりと振るぐぅ介。


田中さんがあって顔してる



「いちお女でぇーす!」


ぐぅ介の声にみんなが笑った。 


引っ張られてる髪が痛いっ!やめてよっ!

恥ずかしいっ

私は勢いよくぐぅ介の手を振り払った

「ばかっっ」


尻もちついたぐぅ介の目が大きく開く、周りの顔を見てられなくて駆け出していた。

後ろからのぞみちゃんの声が聞こえた気がしたーーー







ーーーーー



「ここどこぉ?」

体育座りをして自販機の影に隠れる。

自分がどうしてここにいるのか分からない。


頭ではさっきの出来事がずっと繰り返されてる。


せっかくのぞみちゃんがかわいいヘアゴムをくれたのにっ


みんな、笑ってた。

みんなそう思ってたのかな?

わたしって、


鼻からもぐすぐす音がする。

視界もまたぼやけちやって


「ほたるちゃんっ!」


「‥‥のぞみちゃん」

 急いで顔を拭う


「良かった、追いつけた、ほたるちゃん足速いから」

そう言ってのぞみちゃんもしゃがんでくれる。

「‥‥すぐに止めれなくてごめんね」

のぞみちゃんの言葉にまた恥ずかしい気持ちが出てきちゃうっ


ぽふん。   なでなで なでなで


「ほたるちゃんはかわいい女の子だよ。

 優しくて、強くて、お料理上手で、明るい女の子。

 あと、足も早いよね!」

のぞみちゃんがそっとわたしの顔を覗き込む、

咄嗟に俯いてしまった。


「‥‥でも、でもね、なんだろ、なんでだろ?」


のぞみちゃんが慰めてくれてるのは、分かる。

なのになんでだろ?頭がぐるぐるして考えがまとまらない。


何度もさっきの事が繰り返されて、


わたしどうしたらいいんだろう?




わたしのほほに小さな両手が触れた

優しい力で、顔があがる。

すると、今までにない真面目な顔ののぞみちゃん!

目と目がこんなに近いよっ


なんだろ?

‥‥ちょっと、おこってる?


「ほたるちゃんはかわいいよ!」


こんなに大きい声の、のぞみちゃん、はじめて。

目がぱちぱちしちゃうっ


のぞみちゃんの顔がどんどん赤くなって


「ほたるちゃんはっ!かわいいっ!!」


ハッキリ言い切るのぞみちゃん。

分かった?って、へ?え?え???


なんか、なんか、いつもののぞみちゃんじゃないっ

かわいいんだけど! かわいいんだけどっ!

それだけじゃなくてっ

わっ!待って!今またなでなでしないでっ!頭!

さっきは大丈夫だったのにぃ なんでぇ???


「谷口っ!藤沢っ!ここに居たのか!」

先生が慌てて駆け寄って来る。

よかった、無事か?の言葉に、なんか、無事じゃないかも先生

またぐるぐるするよぉ


「藤田も反省してるし、皆んなの所に戻ろう?」

先生が差し出してくれた手に、びくっと身体が下がってしまった。

するとのぞみちゃんが先生の前に身体を入れて、

胸の前でぎゅってしたわたしの手をとって

「いっしょに行こう!」

どんどん進んで行く。

のぞみちゃんは何度か振り返って大丈夫って言う。

なんか、ふしぎ。


いつもは、わたしが引っ張っちゃってたから、

のぞみちゃん、力、強かったんだね。


ぎゅって繋いだ手は少しいたくて

だから小さい声だったと思う。


「のぞみちゃん、だいすき、」



「ーーーうんっ!」


 !

また大きい声、思わず笑っちゃう。

 

ありがとう、のぞみちゃん






この後、わたしより目と鼻を真っ赤にしたぐぅ介に何度も謝られて、わたし達はその勢いにあっけにとられてしまった。

カホちゃん達が猛烈に怒ってくれたらしい。

他にも何人かごめんねって。


のぞみちゃんは何か難しい顔をしていたけど、わたしはみんなのとこに戻れて良かったと思った。


だって、これ以上のどきどきはいらないから‥‥





星野翔(36) 小学校教師 独身

ピュアピュア小学生のキュンキュンに胸が痛いこの頃。

「先生は、空気じゃありません‥‥」

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