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ねこのすきな人  作者: あめとりん
第一章
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第四話



フライパンの蓋が開く。

白い湯気が顔を覆うと同時に、

「ぅわあ、いいにおいぃ〜っ」

「こら、まだ熱いから顔近づけないの!」


だってすんごくいいにおいだからっ

うっすら黄色く膨らんで、

「ねぇねぇお母さん!完成?これで完成?」

「えぇ、よく出来てるわね」

「やったー!」


踏み台から降りてぴょんぴよん跳ねる。

今回は三角巾もエプロンも汚れなかった!


「蒸しパン、簡単だね!」

「ホットケーキミックス使ってるからね、

 フライパンでもできるのね〜」

母が出来立てを一つ割ってふぅふぅして渡してくれる

わたしもふぅふぅしてからぱくっと

「ううぅ!おいしいっ」

もっちりして、優しい甘さでおいしいよーっ

これならのぞみちゃんも喜んでくれる!

「うん、美味しいわね!出来たてのもっちりもいいけど冷めてしっとりしても美味しいわよ。」


え!もっちり無くなっちゃう?


「のぞみちゃんに届けてくるっ!」

母が取り分けてくれたお皿をもって隣のお家に急ぐ!


「ちょっと!急にごめいわーーー」



いそげ!いそげ!







ピンポーン


「はい?

 あら、蛍ちゃんいらっしゃい?

 ふふ、エプロンしてどうしたの?」


わたしに合わせてしゃがんでくれたのぞみママに出来立ての蒸しパンを見せる

「蒸しパン作ったの!のぞみちゃんと食べたくて!

 のぞみちゃんいますか?」


「ほたるちゃん!また作ってくれたの?」


後ろの扉が開いてのぞみちゃんが出てきた。

「うん!上手にできたの!今ならもちもちなんだよー」

お鼻をひくひくさせるのぞみちゃんにわたしも笑っちゃう

「こら!蛍っ!急に行かないの!ご迷惑でしょ!」

後ろから追いかけて来たお母さんがのぞみママに謝る、


でも、だってー


「いいえ、この子も凄く喜んでるんです。よければあがってください。頂き物の美味しい林檎ジュースもあるんですよ、どうぞ。」


おじゃまします!

お母さんがすみません、お邪魔しますって言ってる間に靴を脱ぐ。お皿持ってくれてありがとう、のぞみちゃん。

う?お皿持つよ?のぞみちゃんが首を振り、笑って自分の頭を指差す

‥‥む!

三角巾とエプロンをいそいそ外して、にこにこなのぞみちゃんの後に続いた。

後ろから母のため息とのぞみママのくすくす笑いがした。




初めて作った蒸しパンはのぞみちゃんにものぞみママにも大好評だった。もちもちで美味しいねーってのぞみちゃん言ってくれたから、温かいうちに持ってこれてよかったよ!


「蛍ちゃん、いつもありがとうね。

 お菓子もだけど、蛍ちゃんのお陰でのぞみちゃんもこっちの学校に慣れる事ができました。本当にありがとうね。」


 えへへへ


「そんな、いつも騒がしいだけですよ、

 のぞみくんの事を引っ張り回してないか心配なくらいで」

 

 むむ!


「いえいえ、この子、蛍ちゃんがいるから学校楽しいって言ってるんですよ。最初はあんなに行きたくないって言ってたのに」

「っ、ママ!」

ジュースを飲んでいたのぞみちゃんがむせて、顔を赤くしている。

「ほら、のぞみちゃん?

 蛍ちゃんに渡す物があるんじゃないの?」


はっとしたのぞみちゃんがわたしの顔を見て、こくってしてから部屋から出て行った。のぞみママがちょっと待っててねーって


「ほたるちゃん、いつも美味しいお菓子をありがとう!」


すぐに戻ってきたのぞみちゃんの手にはわたしが好きなキャラクターが描かれた手のひらサイズの袋が。


プリン色のねこがぐでーとしてる。

キャラメルこぼれちゃったバージョン!


「ふふ、あけてみて!」


にこにこの、のぞみちゃんに促されて裏のシールをゆっくり剥がす。プリンねこ切りたくないもんっ!


「ぁ!黄色っ!」

わたしが一番好きな色!黄色の大きいぼんぼんがついたヘアゴムが中から出てきた。


「うん!ほたるちゃんの好きな色!

 ママと相談してね、買ったの。

 美味しいお菓子をありがとう」


 じぃ〜んっ


そんな、前に失敗しちゃった時ものぞみちゃん美味しいよありがとうって言ってくれたじゃん!

それだけですっごくすっごく嬉しいのにっ


「あれを決めるのに凄く時間かかったんです。

 蛍ちゃんに喜んでもらいたいからって!やっと決まってラッピングして貰ったのに、他の雑貨屋さんであの袋見つけて、蛍ちゃんにはこれっ!って。自分の息子がこんなにこだわり屋さんだって初めて知りましたよ。」

「まぁ!蛍も、のぞみちゃんのぞみちゃんばっかりで、私達が美味しいよって言っても、もっとこうしたらってずっとやってますよ。」


すごいっ!

のぞみちゃんからプレゼントもらっちゃった!


「お母さん!お母さん!

 のぞみちゃんがくれたの!これで髪縛って!」


「こぉら、嬉しいのは分かるけどまずありがとうでしょ?」


 そうだった!



「のぞみちゃん!のぞみちゃんっ!

 ありがとう! いっしょう大事にするっ!」


「うん!僕もありがとう」


このヘアゴムで毎日、髪を結ぶの!

宝物ができちゃったよ!





ーーーーーー



「お母さん!お母さん!もっと上!

 もっと上じゃないと見えないよっ」


 せっかくのぞみちゃんからもらったのにっ


「もう!何回もしてるでしょ!蛍の髪の長さだとココが限界よ、これ以上だと後ろの髪がボロボロ落ちて落武者になるわよ!」

ブッハッ!ははははっ

「かーさんっ、飯食ってる時やめてっ

 腹イたいっ お、おちむしゃっっ!」

部活帰りで一人で夕ご飯を食べていた兄が机を叩いて笑う。


むぅ!

わたしが睨んでも指差して笑ってくる!


「ほら、ここでもこうすればちゃんと見えるでしょ?」

母の言葉にテーブルの上に置いた鏡を覗き込む。

黄色のぼんぼんが半分くらい見えていた。


ぜんぶ、見たいんだけどなー


「これ以上は髪伸ばさないと無理ね」

そうするともっと髪があっちこっちハネちゃうよ!


兄が笑いながら両手を頭の所に丸く動かす、何度も何度も。


そこまでもじゃもじゃじゃないもんっ!!

うーーー

お母さんもお兄ちゃんもサラサラなのに、なんで?

ちゃんとブラシしてるよ?


「そりゃ3回梳かすくらいじゃお手入れとは言わないわよ」

「もっととかしてるょ!」

「か、かあさんっ!マジでやめてーっ」



今日から高い位置で結んだぽにてーるが定番になった。

黄色ヘアゴムで結んだぽにてーるが。




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