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綿菓子雲

作者: 檸檬

陸上競技場の片隅


階段から吹き上がる風


夕刻三時


太陽に灼かれた山肌の香りが運ばれてくる


スタートを切る火花 バトンが手渡され


走る時のその無心に追風0、4メートルが背中を押す


風、風、吹いて吹いて 渦を巻く


トラックいっぱいの風、渦を巻く


空には綿菓子雲が大きく大きくなっている


ただ差し出され、ただ握り締められた割りバトン


ただ風が吹いて、ただ夏の熱に溶かされて


浮遊するザラメの万物が流れ、流れて、渦を巻く 


引力にのまれてしまった闇の向こうにまた光の渦


手放そうとしたバトン、まだ握り締めて


車輪のように廻る脚、駆ける足


空には綿菓子雲が大きく大きくなっている


母雲船が近づいて


蝉時雨が夕立が駆け抜けてゆく


何かが動くから わたしもうごいているみたいに


心の臓器から、心の器へと、さらさら、ザワワと


波紋が生まれる、波紋が繋がる、波紋が広がる


空には綿菓子雲が大きく大きくなっている
































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― 新着の感想 ―
陸上のバトンから綿菓子雲への飛躍が素晴らしいです!!!駆ける足と共に心が揺れ動かさせるのがとても伝わってきました!!!好きです!!
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