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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

とある自警団の団長が終末世界で無双する話。

作者: アヤメ

ほぼ人外みたいな性能してる少年団長と愉快な仲間たちが任務で暴れるだけの話です。

もう作者の癖みたいなもんなんで共感性羞恥に関しては責任取れません。

[とある世界、天使に襲われ人類は地底に逃げ込んだ。

奴らに近代兵器は効かない。襲撃から人類を護れるのは、異能と呼ばれる特殊能力を宿した人だけ。]


憎悪が渦巻き、死に瀕する享楽が弾ける。

血に塗れた戦場を先頭で走る蒼髪の少年が仲間に向けて言葉を発する。


「ターゲットは特定災害生物【時の魔王】。

それに呼び出しやがったカルト共の殲滅。ランクはBlackだ、覚悟しろ。」


少年の言葉に、赤い髪をした壮年の男が答える。


「Black…確かインフレを重ねたこの世界でも最強クラス。核爆弾の影響を1として10の64乗の影響が少なくとも出るのでしたか。」

「それで有ってる。出現が確認された場合、惑星が破壊される危険がある。退避が間に合うとは思えないため自分の好きな事をするように…だと。最近多いな」


「100年に一度設定…どこいったんだろ。」


抜けるような白い肌の狐耳を生やした少女が言葉を発し、


「…そのためだ。」

(訳:少しでも被害を抑える為、民を救う為に私達が来たのだろう。)


フードを深く被った茶髪の男がそれに答える。


彼等は、今切り裂いた人間の顔も今銃を向ける人間も眼中に留めていない。

彼等にとって、この程度は強敵と戦う前の前菜にもならない。

それが彼等…世界に10と居ない【ZENITHクラス】の部隊だ。


教団内を二分と経たず制圧し、この作戦最後の休息を摂る。

「二年前はさ。こんな風になるとか…考えたことも無かったのにね。」

「…同意する。」

「野獣討伐して政府の敵を粛清してトレーニングするだけの日々でそんなファンタジーを考えろってのがそもそも無理な話だな。」

「たしかし。」

「人類の被害は増えましたが、政府が倒れた事で理不尽に従う必要が無くなったのは数少ない良いことですな。」

「「「全くだ(ほんとそれ)(…同意)」」」


「そうだ。ジル、今回の作戦は?」

「…包囲殲滅陣」

「囲んで叩くとかいつもやってんじゃねぇかふざけんな」

「冗談だ…先ずアガット(注:赤髪の壮年)の【絶対防御】で奴の【時の権能】を防ぐ。三秒間の間に強化を終わらせ、解除と同時にアリス(注:狐耳少女)は最優先で奴の敏捷性を下げてくれ。俺とシャガでアリスから引き離すつもりだが、アガットは流れ弾からアリスを守ってくれ」

「「「了解」」」

「ここからイレギュラーの話をする。もし絶対防御が間に合わなかった場合、アリスは強化より先に皆の速度を上げてくれ。時の魔王がアリスを狙うなら…


…と、考えられる事項はこれで全てだ」

「把握した。じゃ行くか。」

___________________________________



「さて。この転移装置を起動すればソイツのいる空間までカッ飛ぶ訳だ。転移部隊もなかなか良い仕事するじゃねぇか。」

「今日のこれで2/3死んだけどね。」

「うーわ、これからほぼ全部移動になるわけか。反復横跳びしねぇと。」

「空気の壁がある限り今以上の加速は不可能ですぞ」

「真空にする方法試してみるか。」

「その諦めない姿勢嫌いじゃないよ。」

「…行くぞ。[起動しろ]」


___________________________________


「【絶対防御】!」

彼等には一つ知らされていない情報が有った。


「なぁ…俺の目には魔王が四体見えるんだが。」

「私も。」

「しかも対多数に特化した【屍の魔王】、時を自在に操る【時の魔王】、攻撃を当てれば殺す【死の魔王】、能力ないけど最強の【暴の魔王】と全員最強クラスに見えるぞ。」

「私も。」


しかし、団長…シャガの顔は危機的状態には見えない。

寧ろ、喜んでいる節すらあった。


「…どうする?逃げるか?」

「何逃げ腰になってんだ。お前ら全員、魔王程度捻り潰せるだろ?」

「それもそうだね。神だと厳しいけど。」

「そろそろ切れますぞ。」

「よし、計画は無しだ。自分の好きな魔王で皆楽しめ。」


バリアが切れたその瞬間、魔王たちの攻撃が炸裂する。空間が断裂し、屍が食らいつき、時が捻じれ、死の呪いが辺りを支配する…が既に彼等はそこには居ない。



【屍の魔王 side:Alice】

次々と作られる屍。墓が立ち、死者が眠りから覚め、意志なきままに生者を食らう。終わらない戦いで万夫不当の英雄は数の暴力にすり潰される。

そう、それがアリスでなければ。


「ふふ…魔法が杜撰。蘇生だって、簡単なのに。」


魔法研究の第一人者アリス。常軌を逸した魔力量とその知識、類稀なる頭脳を活かして死者蘇生を編み出したその名は地下世界に知れ渡る。

聖別(ホーリー)

人々に信仰を借りる聖魔法は、強大な分使い方を間違えると死に至る。

太陽の様に光り輝く球体が幾つも、幾つも暗い墓場を照らし、

攻撃を受け止め、聖なる力の奔流で死者たちを天に還す。


「死者、全員天国に送っちゃった。」


数百万の死体は三分と立たず消え去り、後には丸腰の魔王だけが生き残る。

否、生かされたのだ。最高の終わりのために。

あまりの出来事に呆然としていたが、直ぐに立ち直り魔術を紡ぐ_

何も起きない。彼女はひたすら魔術を紡ぐ彼女の背丈より何杯もある魔王に近寄り、一言発する。


「団長なら、こう言うかな。」


彼女の杖が伸びる、刃が突き出て大鎌と化す。それを振りかぶる。


「終わりだ。」


血は出なかった。塵となって消え去ると、そこには血と骨でできた禍々しく、強大な力を込めた杖が落ちていた。が。


「んー…きたない。」


彼女は燃やし尽くした。


彼女を知らない者は思い違いをしている事が多い。

彼女の知識も魔力も全て彼女の生まれ持った才能であると。

否、彼女はどこにでもいる平凡な子供だった。たった一つ、努力を出来ることを除いて。

故に、彼女を知るものも知らないものも、意味は違えど同じ名を呼ぶ。


【天才の妖狐】と。



△ △ △


【死の魔王 side:Agathe】

触れたものに死を与える。

視た者に死を与える。

気付いたものに死を与える。

気付かなくとも、死を与える。


死の魔王に対する全てのアクションは、死に繋がる。

防げる者は居ない…そう、アガットでも無ければ。


「実際、この絶対防御はそう強くは無いのです。」


死の瘴気が蔓延る中を鼻歌でも歌いそうに彼は歩く。

大きな大剣を振り回し、奴の眷属を蹴散らしながら。


「元々は、たった三秒しか保ちませんでした。それを使い込むことで能力を掴み、強化したのです。」


魔王との距離は50m程。


「三秒しか保たないのは、常人の体ではそれが限界だから。私は鍛えたので、一時間連続して発動できます。」


魔王との距離は30m程。


「発動の間動けないのは、私のその時の座標を世界に固定していたから。値を私そのものに変えることで、防御は可変的になるのです。」


魔王との距離は10m程。


「一人だけにしか使えないのは、範囲の座標が一つだけだから。開始地、終了地の値を追加して自動で私から半径何mの箇所の座標に展開するかを決めれば、簡単に包むことができました。

…まぁ、これだけの努力は全て団長に追いつく為なのですが。」


魔王との距離…0m。


「さて、話の時間も終わりですね。死んでください。」


「[絶対防御_反転]」


「絶対防御は、外から内への干渉を遮断するもの。ならば反転させれば、相手の動きのみを防ぐ結界が出来上がります。」


使っている大剣は世界でも最高峰だが、魔王相手には少し心許ない。

故に、何度も。何度も。

大木に切り込みを入れるように、魔王の体が削れていく。

血が吹き出て魔王の動きが弱まっていく。

動きが止まり塵になると、そこには死の魔王そのものの様な黒の大剣が落ちていた。

斬れ味も何もかも、今の物より優れていそうだが_


「漆黒ですか…私が中学生の頃に欲しかったですね。」


彼はそれを叩き切った。


絶対防御。その異能は、決して珍しい物ではない。

それを努力の末に改竄という神の所業を成し遂げ最強の一角まで登り詰めた、その努力を称えて人々は呼ぶのだ。


【緋色の修羅】と。



△ △ △


【暴の魔王&時の魔王】

「面倒…」

「アイツら簡単な奴だけ取っていきやがった」


眼の前にはゴキブリもかくやという速度で動く時の魔王と暴の魔王。

攻撃を片手間に防いでいるが、彼等の話は少し難航していた。

尚彼等から見てその速さというだけであり奴等の初速は音速を超える。


「…分けるか」

「ジル。俺どっちもやりたい」

「…奇遇だな」

(訳:俺も両方殺りたい)

「なら…呼び出す」

「あーうん。頼むわ。」


 [Multi birth]


彼…ジルはその複雑な生まれにより魔物の技が使える。

簡単に言うと魔物と人間の遺伝子を混ぜた実験の産物なのだ。

シャガが狩ってきた神の遺伝子を…


大きな…およそ人間が通るには大き過ぎるゲートから魔王が生まれ出る。

そして当たり前だが、魔王は人間以外を敵と認識しない。

ちっぽけな人間二人に一匹で惑星を破壊できる魔王四体が襲い掛かる_


「じゃ、頑張れよ。」

「お前も…」


その瞬間、二人は離れる。

その風圧で空間に穴が開き、衝撃で巨体の魔王が数百kmほど飛ばされた。



△ △ △


【魔王連合 side:Jill】

暴の魔王は純粋な力を。時の魔王はバフによる力を。それぞれ極めた存在である。そして、ただでさえ意味のわからない強さをしている彼等が合わされば…地球を破壊するのに1秒居るだろうか?


「…手加減は…してやる」


ランクというのは、実はポイント制で決まっている。

最底辺のEを1とし(人一人なら無傷で殺れるレベル)、

Dが10、Cが100。Bが1000で、Aが10000。

A位になると何れかの軍が滅びるが、まだ核や水爆で何とかなる。

そしてその上にRed,Blackが控えているのだが…

100000や1000000といった稚拙な数字ではない。

Redは1京(10^20)

Blackは1正(10^44)。

そして彼の遺伝子に埋め込まれた

ZENITHは1不可思議(10^64)だ。


[impulsum]


片手で時の魔王に風穴を開ける。後ろから殴る暴の魔王の攻撃も、彼は一切堪えた様子はない。そのまま二、三発打ち込むと時の魔王は静かに崩れた。


「…風圧で、服が擦れて…痒い」


[Awakning]


金色のオーラを纏い、自身の背丈ほどある拳を片手で止める。


[omega mortem]


可視化できるほどの多大な魔力が、一つの銃の形を取る。

弾は軽々と魔王の巨体を抉り抜き、風に吹かれて塵となった。


「終わり、か。」


放って置けば世界を滅ぼせる力を有しているとしても、彼は人間として生きる事を決めた。その事実は秘匿され仲間しか知らないが、その功績を民は目に焼き付けている。故に彼はこう呼ばれた。


【黄金の勇者】と。







【魔王連合 side:Shaga】


『[time of truth]』

「よし、キレイに分かれたな。」

時の権能を食らった事など意にも介さず、彼は飛ばした魔王を待つ。


暴の魔王。時の魔王。魔王の中でも自身の戦闘力に特化した私達にとって核を1万発ほど備えた国を太陽系ごと三秒で塵にするのは私達が42℃程度の熱湯を被るのとそう変わらないことだ。人類の技術が通じない時点で人間の可能性など無意味である。どうせ死ぬなら、私達がそこに居ることに気付かなければ良いのだ。



「…こいつらに知性があれば、そんな事ほざいてんのかもな。」

尚、人間の中にZENITHランクは含まないものとしよう。


「ま、させねえが。」

声を置き去りにして暴の拳と魔術を防ぎ、魔王二体と対峙する。


シャガの時が進む速度は1/2、魔王らが動く速度は2倍。これが今の現状だ。

否、それよりも加速する。

彼の動きは遅くない。等倍に見えるが、奴等は何倍だ?

彼の2倍、3倍…いや、約10倍だろうか。


「てめぇらの能力を強化してやったぜ。丁度いいハンデだ。」

『!#&&##%#)(』


耳障りな音を出して魔王が威嚇する。自分の攻撃で死なず、あまつさえ強化してくる彼に怒りでも湧いたのだろうか。


「取り敢えず、時。お前は強化も大したこと無いからバイバイ。」


その言葉と共に時の魔王が背負っていた歯車ごと体を両断される。

その足元のドロップアイテムに一瞥もくれず踏み潰すと、背後から殴り掛かってきた暴の魔王の片腕を斬り飛ばす。


「まだ足りないな。敏捷性は問題ないから、筋力を強化して、あとは耐久性も強化。そうだな、拳だけじゃ弱…っと!やっぱまだ強化が足りないな!」


暴の魔王はただ怒りのままに殴り続ける。今はただ、眼の前のゴミを嬲って殺してやりたい。

だが悲しい事に、奴は格の違いが分からなかった。

既に彼の筋力も耐久性も、既に1024倍なのだから。


「…おっと。空間が壊れ始めてやがる…そろそろ終わらせるか。」


まだコイツは殺せないのか。もっと。もっと…もっと!


「終わりだ。[蒼月居合][饗冥]」


終わりはあまりにも呆気なかった。

彼が初めて斬り掛かり、コンマ数秒の鍔迫り合いの後、腕を切り飛ばし、足を切り飛ばし、首を飛ばし、魔王を斬り伏せた。たったそれだけ。


暴の魔王の塵が彼に寄っていく。彼のコートまでたどり着き、吸い込まれる。


「んー。やっぱもうBlack程度じゃ強化は無理だな。ZENITHか、或いは…」


彼はそこで思考を終わらせる。この空間が崩れる前に、仲間と合流しなければ。

故に、この言葉は彼の無意識から出たものである。


「世界神とか…殺りてェな。」


△ △ △


「はー終わった終わった!」

「ホテルのベッドにとびこみたい。」

「…本当に」

「何はともあれ、無事に終わって良かったですな。

皆様、異能は使われましたか?」

「使った…決め手が…無かった」

「魔法しか使ってないよ。」

「ちょっと敵の強化に。」

「…どれくらい?」

「…2^10」

「「「正座しろ団長(アホ)」」」


こうして、世界に残るほどの戦いは人知れず終わった。

何故このような怪物が大量発生したか、彼等は知らない。

けれど知る必要も無いだろう。どんな怪物でも、まぁ彼等なら何とかなるのだから。



△ △ △

最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。

本当に…ウッ…ウウッ…(泣)

面白いと思ってもらえたならいいねと評価をどうかよろしくお願いします!



あとがき&補足[なぜ強い武器を使わないのか]

簡単な話です。今使ってる武器が団長から贈られた物だから。


団長は一人で任務にも出てるので今更Black程度の武器を使ってもな…という。

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