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対決!

 そこからの豪くんの活躍は、私の想像をはるかに上回って、見事としか言いようがなかった。


 豪くんと駅で待ち合わせて、まず駅近くのカラオケボックスで豚まんさんと対峙してもらった。私のことを男性二人が取り合っていると思うと、私は不謹慎にも少しだけ誇らしい気分になった。

 

 動物の雄二頭が雌を取り合うとき、ものをいうのはまず力だ。長身で、着こなしたスーツの上からも筋肉質であることがわかる豪くんに、小太り中背で、おそらくは腕っぷしも強くない豚まんさんは、あきらかにひるんだ様子を見せた。

 

 簡単に互いの自己紹介を済ませた後、すかさず豪くんが言い放った。

「僕と爽子は、彼女が高三の時に、お互い清らかなままの身体で結ばれました。僕たちは、赤い糸でつながれた運命の二人なのです」


 えっ、あの時は、私は処女ではなかったし、豪くんも同日立て続けではあったが私は彼の二人目だ、とは思ったが、もちろん私は突っ込まずに黙ってうつ向いていた。


「彼女のことなら、左胸の星型のほくろはもちろん、奥のひだまで、すべて知っています」

 これも、ほくろはともかく、奥の襞までは未だ見られていないと思う。豪くんは、さらっと話を盛るのが実にうまい。


「どうです。ここはひとつ、彼女の意志を尊重して、黙って手を引いていただけないでしょうか」

 年季の違いを思い知らされたかたちになった豚まんさんは、返す言葉もなく唇をかみしめている。


「これでも納得いかぬと言うのなら、飯能河原に場所を移してとことん話すといたそうか」

 沈黙を続ける豚まんさんに対し、なぜか江戸時代の人っぽいことば使いになった豪くんがたたみかけると、勝ち目がないと悟った豚まんさんは、とうとう戦意を喪失した。


 豪くんは、すかさずダメ押しをするのも忘れなかった。

「ストーカー行為やSNS等での狼藉も決して許さぬゆえ、しかと心得よ」

 

 豚まんさんは、私にサノバビッチ的な捨て台詞を投げつけると、逃げるように席を立った。


「豚まんさん、ごめんなさい」私は心の中で手を合わせた。

 それ以降、豚まんさんは私の前から完全に姿を消し、二度と現れることはなかった。


「これにて一見落着!」

 とうとう遠山の金さんみたいになった彼が、腕組みをして満足そうに頷いた。


「さて、それでは、貴殿の館に参ろうかの」


 

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