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インタールード 5

 ちょっと早まった気がしないでもないが、人生は決断の連続、迷った時こそ、エイヤッ!と行かねば。

 劇的な大逆転で、本陣爽子は僕の婚約者となった。これでエッチありのリア充な日々が過ごせると思ったのだが、そうは問屋が卸さなかった。


 彼女が泣きながら電話をしてきた。

 親に強引に進められてが見合いをしたとのこと。今時見合い?と思わなくもなかったが、彼女の住む地域ではよくあることらしい。そのお相手が彼女のことをいたく気に入り、結婚前提でお付き合いをしたいと言ってきた。 

 当然彼女は「決まった人がいる」とお断りをしたが、相手はそれを聞いて「話が違う」と逆上し、その決まった人とやらに会わろと言っているらしい。


 それに加えて、どうやら爽子を妊娠させてしまったようだ。心当たりはと言われればある、あの一夜の三回目だ。

 

 事態は彼女の母親経由父親に伝わった。見合いの一件で顔をつぶされた上に、それに加えて妊娠と来ては、彼女の父親が激怒しているというのも無理からぬことだ。


 電話の向こうで進退窮まって取り乱す爽子に、僕は、何とかするから安心するようにと告げた。

 無理難題は望むところだ。彼女の心にわだかまる九年前の出来事、これをを上書き消去して余りある事件が、わざわざ起きてくれたのだ。これは、もう、災い転じて福とする絶好のチャンスだ。

 

 早速その週末、俺は池袋発の特急電車に乗り、彼女の元へ向かった。

 車窓から見える景色が、住宅が密集した都会の街並みから、徐々に緑が多い郊外のものに移り変わっていく。

 緑豊かな彼女の住む町、そうだ、僕は、爽子にとって、彼女のふるさとのあの森のような男になろう。静かで、大きな木がたくさん生えた森だ。彼女が世間に疲れて休みたいと思ったり、落ち込んだりした時、枝をいっぱいに伸ばして夏の強い日差しを遮り、金色の木もれ陽をきらめかせて、その下で彼女が安心して散歩したり、切り株に腰を下ろして汗を拭いたり、優しい気持ちになって花を摘んだり、笑ったり、歌ったりできるような、そんなのびやかで、力強く、抱擁力のある、森のような男になるのだ。

 

 そんなたわいもない決意を胸に、僕は、山肌を紅葉が赤く染め始めた彼女の住む街に、意気揚々と降り立った。


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