真夏のから騒ぎ3
いつの間にやら服を脱いでいた牛姫が、猿じい同様、僕の上に馬乗りになって腰を沈めた。
されるがままであることは変りないけど、二度目だけに、今度は精神的にも肉体的にも幾分かの余裕があった。
僕の上で揺れるぽっちゃり目の牛姫の胸を、左右で揺れ方が違うなとか、前かがみになると乳首が蟹の眼玉みたいだなとか、彼女の左の乳房の内側に星型のほくろがあるなとか、割と冷静に彼女を観察できた。
と同時に、いくら初心者とはいえこのまま一方的にやられっぱなしでいいのかという闘争心が僕の心に芽生えた。
頃合いを見て僕は反撃に転じた。バレーで鍛えた腹筋を使って体勢を入れ替え、上になって彼女に突入した。
攻守を逆転され、かわいらしくもなまめかしい喘ぎ声を発する彼女を、僕は我武者羅に攻めた。
最初は全く噛み合わなかった二人の律動が徐々にシンクロし、それにつれて彼女の喘ぎ声が大きくなっていった。
そういえば、この子はイクときに「もおー」と鳴くんだったよな。猿じいの言葉を真に受けた僕は、彼女を鳴かせるべくさらにスパートをかけた。
でも、ようやく訪れたその瞬間に、彼女は鳴かなかった。その代わりに、僕の腰に回した両手両足で締め付けてきた。
「く、くるしい」
万力のようにぎりぎりと五臓六腑を絞めあげられ、僕の呼吸は止まり、頭の中が真っ白になった。たまらず太ももにギブアップのタップをしてみたが、格闘技に疎いのか、それともそんな余裕がないのか、とにかく彼女が力を緩めてくれる気配はなかった。
時間にして一分ほどだったろうか。強烈なボディシザーズからようやく解放され、涙目で喘いでいる僕に、猿じいが寄ってきた。
「すごいじゃない、いかせちゃうなんて。私、思わずオナっちゃった」
「『もおー』なんて、言わないじゃないですか」
僕の抗議も馬耳東風の彼女が耳元でささやいた。
「ねぇ、私も、い・か・せ・て」
牛姫の「もおー」は嘘だったが、猿じいの「やり始めると止まらない」は本当だった。
「ああ、そこをああして」とか、「あん、もっとここをこうして」とか、やたら注文の多い彼女に身体を張って応え続けた僕は、彼女からようやく「合格」をもらうと、泥のような眠りに落ちた。
翌朝、全裸のままで目覚めると、身体は三人分の汗と愛液でガビガビで、酷使した部分はヒリヒリと痛んだ。
とにかく服を着ようと探したが見つからない。僕らの部屋から朝帰りしてきた猫娘を含め、きちんと服を着てばっちりメイクもした三人の前で、僕は全裸で「服を返してください」とお願いをするという、恥の上塗りをした。
こうして僕の衝撃の一夜はようやく終わりを告げた。すごすごと部屋に戻り、結果報告をすると、御堂は腹を抱えて笑い転げ、小幡は床をたたいて悔しがった。