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魔女と狐の墓参り  作者: 揺満雪花
花の街
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案内人ミッシェル

タイトルを付けるのって、難しいですね

花の街は、とても美しい街だと有名だ。

木と煉瓦でできた家、大きな風車、沢山の畑。それに、『花の街』の所以であるあちらこちらに植わった花々。花畑も、見渡せばいくつも見付けることが出来る。

とはいえ、祭りでもなければこの街がこれ程賑わう事も無い。普段はぽつぽつと観光客が来る程度なのだ。


「さーて、花の街の事、少しは分かってくれたかな~?」

「ハイハイ、分かった分かった」


ニコニコと小さな旗を降っている金髪の少女と、面倒そうに対応しているリア、困惑している天。

「もー、リアに説明してるわけじゃ無いんだけど~!そこの狐のひとに……あ、わたし、ミッシェル。この花の街では有名な美人三姉妹、キティ姉妹の次女!」


尚も戸惑った様子の天に、リアが補足で説明を入れた。


「天、こいつね、ブランシュの姉。今年で十八。ブランシュ含め、キティ家の子供はみんな美人で有名だよ」

「そ、そうなんですか……」

「興味ないわな、ごめんね。一応、上から二十のリリー、目の前にいるミッシェル、十七のアンナ。その下がブランシュだね。さ、私はブランシュのとこに行きたいの。どこにいるかわかる?」

「うーん、集会所で準備してると思う。案内しようか」

「お願い」


任せて、とウィンクをし、旗を振りながら歩き出したミッシェルの後を付いていくふたり。

天もリアも、周りを見ることなく歩いている。

天は過去に何度か来たことがあり、リアもあまり興味は無い。曰く、何時でも来れるし、らしい。


「初めて来た時は感動したもんだけどね」

「私もです。父に連れられて初めて来た時は、暫く見惚れていましたよ」


そんなふたりの前を歩きながら、にこにこと笑うミッシェル。この街で生まれ育った彼女にとって、街を褒められるのはとても嬉しいことなのだ。


「さて、着いたよ〜。ごめんくださーい、ブランシュ、いる〜?」

案内された集会所は、街の規模に見合わずこじんまりとしていた。

中に入っていってしまったミッシェルを追いかけて、リアと天も中に入る。

いくつか部屋のある中で、ミッシェルの声を頼りにひとつの部屋に足を踏み入れると、ミッシェルの他にもうひとり。


日の光を集めたような金の髪を短く揃え、エメラルドのような緑の瞳を潤ませ、華やかな美しい衣装を見に纏った、すらりと背の高い美少女……否、美少年がいた。


「ミッシェル姉さん、急に何」

「わたしじゃ無いわよぅ、ブランシュ。リアと、リアのお友達の天さん!……ほら、あそこにいるでしょ」

ゆっくりとこちらに目を向けたブランシュ。

流し目が美しい。並みのひとであれば見惚れている事だろう。


天と目が合った様に思われた瞬間、ブランシュの表情が変わった。

先程までの胡乱げな目をキラキラと輝かせて駆け寄ってくる。

「あ、天さん!初めまして、ぼく、ブランシュって言います!」

「は、初めまして、ブランシュさん。天です」


ブランシュの勢いに、戸惑いながらもきちんと返事を返す天に満足げに頷くミッシェル。


「ぼく、天さんの事、前から知ってたんです。随分前に、花の街(ここ)に来て下さった時、ぼくの事、褒めて下さいましたよね。其の時からずっと、あなたとお話したかった……」

うっとりと話し出すブランシュに少し引きながらも話を聞く姿勢の天。

そしてその隣で(こいつら知り合いだったの……?)と困惑しっぱなしのリア。


取り敢えず天の隣からミッシェルの隣に移動したリアは、面白そうだと気持ちを切り替えて観察することに決めたようだ。

そうこうしている間にも、ブランシュの話は続いている。


「それで、あの時ぼくの事見て、一目で男の子だって分かってくれたの、天さんだけだったんですよ。男の子だって分かっても引かないでいてくれたのも!」

「は、はあ……。ひとが好きな格好をしているのをとがめる権利は私には無いですし。それに何より、とても素敵だったから、その通りに言っただけですよ」

「そんな心掛けもできてないひとはごまんと要るんですよ。それに……」


まだまだ話が続きそうなふたりを横目に、リアは呆れた様にミッシェルに話し掛けた。

「……ねえ、ミッシェル。君の弟、凄いね……」

「そうね……。我が弟ながら、まさかここまでとは……」





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