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魔女と狐の墓参り  作者: 揺満雪花
雨と始まり
4/29

森の夜

しばらく休憩したのち、また奥へ向かって歩きだしたふたり。時々魔物が飛び出して来るが、リアは無視して進んでいく。

到底無視できるようなものではないことは置いといて、魔物の方もこちらには気づいていないようだった。

曰く、「あいつらは図体ばっかしでかいだけのやつだからね。気配を読むのが下手くそなの」

らしい。

「素材が高いんですよね、あの魔物。そんなに見るわけでも無いし」

「素材、欲しいの?」

「いえ、別に」

「そう」


途中で薬草を摘んだり、休憩したりしながら歩いていると、いつの間にか辺りが暗くなりかけていた。


「あー、どうする?今日のところはこれでおしまいにしとく?」

「そうですね、それで良いと思います。夜間は魔物の活動が活発になりますし」

「うん、わかった。それじゃ、今日はこれでおしまーい。とはいえ、ちょっと開けた場所探そっか」


日が落ちてからもしばらく歩きまわり、ようやく開けた場所を見付けたふたりだった。


さっと魔法で灯をともしたリア。

見間違いでなければ、指から炎を出したように見えたのだが……。

「はい、灯り。こうゆうときに魔法って便利だよねぇ」

確かに、灯りの確保には、普段は木の枝でも拾って火をつけて。火をつけるにも道具がいる。

そして、本来なら魔法を使うには杖がなければいけないはずだ。そうでなくては魔法は使えない、それがトランスでの常識。

しかし、世の中には杖を使わない国もあるそうだ。天はそうらしいと聞いた事がある程度だが、リアはその国で魔法を学んだのかもしれない。


「天、疲れたでしょ。天幕は私が張るから、そこの明かりのところで休んでて良いよ」

「いえ、自分で、やります」

「うーん、大丈夫そうならやってもいいけど。休んだほうが良いと思うなぁ」


確かに、ここに来るまで大分歩き、ロックスパイダーとの戦闘もこなしたが、途中で休憩も挟んだし天に不思議と疲れている感覚はない。

天幕を張る位のことは出来る。

ふたりで黙々と作業をしているうちに、先に出来上がったのはリアの方だった。


「よし、できた!そっちどう……って、ありゃ。まだか。よし、手伝うよ。天のほうが終わらないと、ご飯も食べれないからね」

「……ありがとう、ございます」

「んーん、全然」

さっさと天幕を組み立てて、リアはその近くに火を出した。

「お腹空いた〜。お昼、普通に食べそこねたし。天のご飯も一緒に作ってあげる」

「はあ……」


まさか、その場で食事を作るとは。旅の食事といえば、携帯食が基本だろう。

携帯食は、手早く食べられる上に、栄養もきちんとある。味は置いといて、優秀な食料なのだ。

「あ、やっぱりすっごいお疲れだね。ご飯食べれそう?」

「ええ、まあ」

「良かった」


リアは、何かを焼いているようだった。魚のような、肉のような。いつ取ってきたのだろうか。

普通にフライパンを出して調理しているし、いつの間にかふたつのコップに水が注がれいてるし、皿も用意してあるし、その皿にはパンが置かれているし、およそ森の中とは思えない。

何かが焼かれているフライパンの中に卵をふたつ割って、少ししてから火からおろした。

中身を二等分して皿に移すと、コップとともに天に手渡した。







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