小道
ヴィーちゃんのセリフは平仮名ばっかりで読みづらいかもしれません。
その頃、森の小道にて。
「うん、これくらいで良いかな」
しばらくクローバーを摘んでいたリアは、満足して立ち上がった。うーんと伸びをして、足を引きずりながら歩きだす。
「さーて、あの子達はどこにいるかな」
リアの目が空を泳ぐ。かつて見た精霊たちは、皆自由に空を飛んでいた。緑の髪と水色の目を持つ、人間の子供のような姿をした大樹の精霊。その姿は、どこにもなかった。
(もしかして、ここにいない?どうしよう、入れても出れないよ)
正確に言えば出れることは出れるのだが、中に天がいる以上取りたくはない手段だった。
「どこかなー。……あんまり長引くと色々不味いし、なるべく早く見付けたいんだけど」
そう言いながら、チラッとリアは後ろを振り返った。これまで足を引きずってつけた跡が消えている。それを見て、リアは小さくため息を吐いた。
(これじゃ、分かんないじゃん……)
肩を落として落ち込んだ様子のリアだったが、直ぐに気を取り直して近くの木に印として傷をつけた。
よし、と歩きだそうとしたリアは、傷がどんどん癒えていくのを見てもう一度傷をつけた。
しかし、何度傷をつけてもたちまち治ってしまう。
「えーっ、何で!……って、私のことばれてるんだった。くそ、私をここに閉じ込める気!?」
『そんなつもり、ないけれど』
急に聞こえてきた声の方向を振り向くが、そこには誰もいなかった。ぐるりと木の周りを一週してみたが、声の主を見付けることは叶わなかった。
『あんまりおそいから、むかえにきたの。……なんで、前に進めないの?』
「しっ、知らないよ!勝手に曲がってくの」
『いっぽんみちだけれど』
「それでも迷うものは迷うの。そんなことより、ヴィーは何処に案内してくれるつもり?」
何度か言葉を交わし、しばらく経っても自分を見つけてくれないことに呆れたのか、何処からかヴィーが姿を現した。
どうやら、彼女はリアが来るのを待っていたらしい。
なら印消さないでよ、なんて抗議をしたリアだったが、あれを消してるのはユダだと返され本日何度目かのため息を吐いた。
「あの子は……!」
「もんくいってもしょうがない。あたしたちはうんめいのめがみなんだから。だれがどんないたずらをするか、うんめいをはこぶか、わからないもの」
「知ってる!」
「え、しってたの?リアはせぞくにうといから、しらないとおもってたのに」
軽く目を見開いて、ヴィーは驚いた、とでも言うように声を弾ませた。その声からどこか面白がるような響きを感じ取って、リアは少しムッとしたように言葉を返す。
「馬鹿にしないでよ、最近はちゃーんと調べてるんだから」
「さいしょ、せいれいっていってたでしょ」
「二つあるだけだよ。ヴィーは知ってた?」
今度はリアが面白がる番だ。先程の不機嫌顔から一転、にやにやと笑いながらヴィーを少しだけからかった。しかし、ヴィーは元通りの無表情に戻っただけだった。むしろ、少し呆れているような。
「……おいてくよ」
「わっ、ごめん、ヴィーがいなきゃ私ここから一生出られない」
さっさと歩きだしたヴィーを追いかけてリアも足を進める。
リアと比べると、ほんの少しだけリアの方が背が高い。手で比べているのに気付いたのか、くるりとヴィーが振り返った。
「なにやってるの」
「んー、私とヴィーはどっちの方が背が高いかなって」
「それ、むかしもやった。あたしもリアもせはもうのびないんだから、なんかいやったっていっしょだよ」
「そうかなぁ」
「まったく」
へんなこ、と呟いてヴィーは視線を前に戻す。




