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魔女と狐の墓参り  作者: 揺満雪花
雨と始まり
2/29

仕事も含め

特に会話もなしに西へ歩いて1時間。天とリアの前には、小さな狼がいた。

この獣、明らかに普通では無い。なんせ体が半透明、うっすら光ってさえいるのだ。しかも、尋常では無い雰囲気を漂わせている。決して不快なものでは無いのだが……。


寒気がする。思わず天が一歩後ずさると、それをちらりと一瞥したリアは跳ねるように狼に近づいた。

「何で急にでてきたんだろね、こいつ」

呟いたリアが狼に触れると、光がぱっと大きくなった。

光が消えると狼はいなくなっていて、代わりに紙束が狼のいた場所に落ちていた。


「何なんですか、さっきの」

「うーん、定期通信のやつ、のはずなんだけど。二ヶ月前に来たばっかじゃん」

紙束を鞄へ仕舞った彼女の話によると、先程の狼は、リアの師匠から半年に一度寄越される通信魔法らしい。


「あれねぇ、びっくりしたでしょ。いっつもは手紙寄越すだけなんだけどね、なんか今回分厚かったね」

「そう、なんですか」

「うんうん、そーなの。こないだ、定期通信の時に旅の事話したらね、なんかそこら辺の仕事送ってくれたみたい。だからね、私、色々仕事しながら進むから。進むのゆっくりだと思うし、たまに置いてっちゃうかも。ごめんね、覚悟して」

「はあ……」


それにしても、リアはいつ紙束の内容を確認したのだろうか。天の記憶では、彼女は紙束を拾ってすぐに鞄に仕舞っていた筈だが……

(考えても無駄ですかね)

先程の口ぶりからすると、彼女も魔法を使う事が出来るのだろう。天は魔法使いの事はよく分からないが、通信魔法に何かあるんだろう。そう思うことにした。


暫くパラパラと紙束をめくりながら歩いていたリアだが、ふとページをめくる手を止めて、そのまま歩くのも止めた。


「どうかしましたか?」

「うん、このへんでちょうどロックスパイダーがいっぱいいるみたいで」

「ろっ……!そ、そうですか。ロックスパイダー……、確か単独での相対は推奨されていませんが、大丈夫ですか?」

「君がいるでしょ。ほら、行くよ」


ふたりが今いるのは、トランス王都西の大きな森の中。魔物が多く、あまり立ち入る人のいない森だ。


そこまで強い魔物が出るわけではないが、いかんせん群れる魔物ばかりで、初心者冒険者にはレベルが高く、そこそこ実力のついてきた冒険者はこの森になんか行かず、王都から離れたところへ行くのも、人の少ない理由だろう。


「あ、早速はっけーん!」

ロックスパイダーは、その名の通り岩でできた体を持つデカい蜘蛛だ。体長は平均1〜1.5m位。動きが早く、蜘蛛の糸も粘着力が強く、魔法も使ってくるそこそこ厄介な魔物。

それが5、6匹の群れをなして現れた。


「さて、天。君、戦える?」

「多少は」

「んじゃ、一匹お願い」

リアはそう言い残して、さっさとロックスパイダーの群れに突っ込んでいった。


「どうしろって言うんだ、ロックスパイダーなんか」

リアが群れから一匹引き離していたらしく、天が対峙しているのは小さめのロックスパイダー。

ロックスパイダー相手では、物理で攻撃するよりも魔法で攻撃したほうがいいのだが、天はそのままでは魔法を使えない。しかし、別に物理が効かないわけでは無いのだ。


「……まぁ、やってみますか」






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