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魔女と狐の墓参り  作者: 長尾いのり
花の街
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貰い物

途中で視点が変わります。どうやら私は三人称視点は苦手みたいです。

「ねぇ、わたしもお買い物に着いてきて良かったの?お金も貸して貰っちゃって」

「いーよ、別に。今度返してね」

「ええ、もちろん!」


並んで歩く女子ふたりの後ろをついて行く天。いつの間にか、そういう形になってしまっていた。

きゃっきゃっと楽しそうなフローラと、それに応えるリア。

(……物凄い疎外感)


「ねーえ、天くん。天くんは何が欲しいの?お姉さんに教えて欲しいな」

「私は、」

そういえば、何が欲しいんだろう。時計が欲しいと思っていたが、別にここで買わなくてもいい気がする。それよりも、何か思い出に残るようなものが欲しいのかもしれない。

「お土産が欲しいです、かね」

「お、いーじゃん。花の街ってったら、何が有名?」

「やっぱり、花を使った作品が多いわよ。本物を使っていたり、単純に花モチーフのものも沢山。どういうものがいい?」

「うーん……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


3人で悩みつつ適当に目についた店に入ると、明日の花祭りのためか、店内が綺麗に飾り付けられていた。

「おや、いらっしゃい。観光客ですか?」

「はい。お土産でも買おうと思いまして」

「そりゃあいい。うちは何でも揃ってるよ。誰かに渡すのかい?」

「いえ、自分用で……」


あまり人と話したくない。ひとりで悩みたかった。それをふたりに伝えると、笑って離れていった。


「んじゃ、うちらあっち見てるから終わったら来てねー」

「わたしはまだしもリアはこういう時は優柔不断なの。ゆっくり見てて良いわよ」

「はい、ありがとうございます」


どこにでもあるような土産物が所狭しと並べられている棚を見て回る。勿論、花の街限定のデザインなどもある。しかし、どこか陳腐なものばかりだ。


「……おや」

棚の奥で何かが光った気がした。光ったと思われる部分を注視して見ると、そこにあったのは古びた本だった。革張りで、表紙に刺繍が施されている本。古びている割に、傷なんかはほとんどない。何だか無性に気になって、手に取ってしまった。


店員に聞いてみても、こんなものは店で取り扱っていないと言う。

「誰かの忘れ物かも……。まあ、誰も取りに来ていないし、貰っても良いと思います」

「そんな適当な……」


貰ってしまった。正直、これだけで満足してしまったのだが、他に何も買わないのは流石にあれなので、花を模した飾りと、花から作ったらしいインクを購入。商品を受け取って、ふたりの元へ戻った。


「お待たせしました」

「あら、天くん。早いわねぇ。ちょっとまってね、リアがまだ決まってないみたいなの」

「うぅ、あれもいいしこっちのも好き……。こっちの色、綺麗!あぁでも、これも素敵だなぁ」


本当に優柔不断なひとなんだな。

「リアさん、取り敢えず他の店にも行ってみません?時間はまだありますよ。……そういえば、フローラさんは何か買いましたか?」

「ええ、とっても素敵なものを。天くんも、素敵なものを貰ったみたいね」

本のことか。どうしてこの人は、この本を貰ったものだと知っているのだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ねぇリア、ちょっと。天くんが面白そうな本持ってるわよ」

「え、何?」


本が好きなのか、知識を求めているだけなのか分からないが、リアにはどうもこういう所がある。

「どれ、見せて」

「あ、はい。これなんですが」

本をリアに手渡そうとすると、何故だか彼女が受け取ることはなかった。そのまま地面に落ちる。


「あれ、これ天が持ち主設定されてるやつかな。ごめん、中身読んでくれる?」

「はあ……。いや、無理です、読めません」

「えー?解読できないとか?じゃ、開いて見せて……って、白紙?」

「私の目には見たこともない言語で書かれた文章が見えるのですが」

「まじかー、めんどくさいやつ。フローラは?読める?」

「やってみるわ。天くん、わたしにも見せてくれる?」

「どうぞ」


天が開いた本のページをじっと見つめるフローラが、文章をなぞるように目線を動かす。そのまま、声に出して読み始めた。

上手く聞き取ることは出来なかったが、どこか神秘的な響きの言葉だった。まるで詩みたいだ。

「うーん、これ、随分昔の言葉だわ。リアも知らないかも」

「え、何語?」

「言って伝わるかしら、『古代(ルード・)神聖(イェレヒナ)語』よ」

「あれ?あれなら、解読はできるよ。フローラ、あれ話せるんだね」

「ええ、勿論。今度教えてあげるわ。……天くん、それ、ちゃんと持っててね」

「内容知りたかったら、内容写して私のとこ持っておいで。教えたげる。にしても、古代神聖語で書かれた本なんて、とんだ遺物を拾ったね」


納得した様子のふたりとは打って変わって、天は余り理解しきれていなかった。古代神聖語なんて、聞いたこともない。リアの遺物発言から、この本が随分昔に書かれたものだと言うのは理解出来た。

「あー、どうする?私、ちょっと内容すっごい知りたいんだけど」

ソワソワした様子のリアに、フローラと天は思わず吹き出した。

「分かりました、早めにブランシュさんの家に行って……」

「行ってらっしゃい。わたしは何処かの宿をとるわ。明日も宜しくね、一緒に回りましょう」


手を振ってフローラと別れて、天とリアはブランシュの家に向かった。

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