今も地球は青いですか?
「そちらは、今も地球は青いですか?」私の名は利休源馬。
私は、長年の研究の成果で、マルチバースのアナザーアースの人間と交信できるようになった。
マルチバースとは、多次元宇宙のことで、「パラレルワールド」とも言われる。
私は、交信出来る様になった相手を、アナザー1の利休と呼んでいる。
早い話、もう1人の私だ。もう1人の私は、既に、この装置を開発していて、私が発明して交信するのを、じっと待っていた、という。
分身とも言える彼は、もう何年も生きていて、がんも進行していて、いつ亡くなるか分からない、と言う。
私は、彼よりは若いが、もうすぐ仲間と集団自殺、いや、心中しようとしている。
国のトップが、あまりにアホな為に、まんまと国を明け渡してしまったからだ。
最初は、「KFAS」という、新しい性別の思想だ。「KFAS」とは、{Kids,Factor,Act,Solid}の略らしい。私が分かるのは、Solid位だ。Solidとは、興奮した男性が・・・まあ、いい。
兎に角、無理矢理、今までの性別を否定し始めたことだ。
親シン国派の政治家は多い。国の中枢にいる政治家達は、金と欲とでまみれ、言いなりになっていった。
その最たる親シン国派が、国の総理になってしまった。
彼には、天井から降りて来る糸と、背中から連結された棒で動かされている、と聞く。目に見えないだけだ。
次に彼は、人口減少(少子化傾向)の対策として、某国の移民を大勢受け入れた。
それまでは、「外国人」とひとまとめにして読んでいた呼称は、「第一日本人」「第二日本人」と呼ばれるようになった、「シン国人」と「阿寒国人」をトップのグループ。継いで、欧米・アジア・アフリカのセカンドグループ、最下層に日本民族があてがわれ、ミラミッド階層が出来上がった。
少し前に『夫婦別姓』法案が通ったが、この為の布石だった。
日本民族同士の結婚が認められなくなったのだ。混血は許される。日本民族の男性と他民族の結婚や出産は受け入れられる。日本民族の女性と他民族の男性も、結婚や出産は受け入れられる。
これは、シン国が、日本を侵攻、いや侵略する前に、『ウインク族』に行ったサンプルを元に正規採用された民族隷属計画の一端だった。
『多様性』という言葉が、マスコミによって喧伝されたが、多方面での侵攻で日本民族の『分断化』で、日本民族の『免疫力(抵抗力)』が奪われて行った。
流行病も、『商業往来』という例外を作った為、どんどん入って来ては、病に冒される者が増えた。日本人政治家の『色とカネ』は、あまりに脆い弱点だった。
某国は、流行病を開発したばかりか、他の国経由で枠地租を流布させた。
枠地租は、本来は、流行病に対抗すべく、予め免疫力をつけるものだった。
だが、流布させた枠地租は従来のやり方とは違うものだった。
某国が多大な支援をしているQUEM(Quest Unknown for Eternal Medical Organization)は、その枠地租を推奨した。
そして、今まで見向きもされなかったOBQ(Overcome Bad Disease Quest)検査が重宝がられることとなった。
当初、OBQ検査は「偽陽性」があると言われたが、マスコミは、政府の要請で情報操作を行った。
医師会の何%かは、OBQ検査の専門機関に鞍替えした。検査ビジネスが始まった。
未知の流行病に対する枠地租に対して、世界中の多くの学者に警鐘が鳴らされた。
だが、QUEMの言うことだから、と危険性が無視された。
先々代の総理が、必死になって輸入した枠地租のお陰で?流行病は治まったかに見えた。
欧米諸国は、それで良かった。だが、この国は、違う道を選んだ。
もっと儲けられるぞ、という某国の『悪魔の囁き』に耳を傾け始めた。
医療機関も、OBQ検査の専門機関も、枠地租を管理する会社も、政治家の、所謂「天下り」先だ。簡単に終らせる訳にはいかない。
流行病は、過去のデータから、対処法の確立性によって『フェーズ』という、あまり意味が分からない段階に分けられていた。
そして、新しい流行病は、フェーズ2に分類されていた。
世界では、とっくに沈静化していた、新しい流行病は、3年半後、やっとフェーズ5に引き下げられた。
フェーズ5とは、毎年1回枠地租注射を打っておけば大丈夫という段階である。
だが、マスコミや、「欲望の虜」になった者達は、「絶対に絶滅しない」流行病を商売の道具にする為、「まだまだ」という恐怖心を植え付けるのに必死になった。
一方、流行病での『侵攻』に見切りをつけた某国は日本政府を通じて、次の策戦に出た。
それが、Welcome foreignerである。ミラミッド階層が瞬く間に出来上がった。
私は、交信している、アナザー1の利休に、最後のメッセージを送った。
この地球では、この日本を中心に汚されていき、森林は伐採され、エコという名目の『エゴ』で妙な装置がどんどん設置されていき、もう『緑の惑星』ではなくなった。
「そちらでは、まだ地球は青いですか?こちらは、もう青くない。宇宙人の侵略がベースで、流行病が、宇宙人の仕業と言う者もいる。私は、地球人こそが元凶だと思っている。これから、レジスタンスに参加する。生きては帰れない。今までありがとう。」
私が通信を終えると、私の装置は自然に修復不可能になった。
そして、ドアを叩く音がした。奴らだ。
―完―