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84 最悪なお茶会パートⅢ

閲覧ありがとうございます

「ルキアーナ、明後日から第二王子殿下の引きこもり治療を手伝うんだってね。」


夜、晩餐時に父が言った言葉。


「え、そんな事をするとは聞いておりません。」


思い切り顔の前で手を振ると、

「そうなのか? エーデル侯爵殿からそのような趣旨を聞いて陛下からも第二王子殿下を頼むと言われたよ。」


エーデル侯爵!なんか話が変わってる!

本人ストーカーしようとしてるだけなのに、名目上いかんだろうと思ったのがいけなかった。

婚約者候補の交流もどうかと思うのに、なんで私が引きこもりの治療を?


顔が引き攣る。


そんな私にお構いなく、オリビアさんが女神の美貌を輝かせてきた。


「第二王子殿下をよく知るチャンスだわ。殿下が今のままから変わろうとされているのね。素晴らしい事だわ、是非お手伝いして差し上げなさい。」


えー………。


全く変わろうとしてないけどね。


ただもっさり王子がついてきてるだけだけど。


顔が更に引き攣っていると、オリビアさんが続ける。


「自分の伴侶となる方が変わろうとしてくれるのはありがたい事です。あなたにとっても良い関係が作れるようになるわ。しっかり見極めて王太子となる方を選ぶのですよ。」

「ぶほっ。」


飲んでいたスープが詰まった。


……母このまま婚約回避できたらって言ってたじゃん。


随分前に言っていた事忘れたんだろうか……。


否定しようと口をナプキンで拭きながらオリビアさんを見ると、なんとも素晴らしい美貌の圧に逃げられない何かを感じた。


「はいぃ…。」


語尾が下がってしまったのは仕方ないだろう。


  ♢♢


今日は王宮教養休みの日なんだよね。


しかーし、休日出勤。


久々の薔薇の香水付きの手紙が届き、お茶会に。


休み欲しい、いやこの際休みなくてもいい、お茶会のが面倒くさい。

王宮に来たくなかった。


けどオリビアさんに第二王子殿下も変わろうとしているのだから、第一王子殿下とも良好な関係を作る事も大切よ!と言われ、やってくる羽目に。


周りはわかってないのだ。


だいたいもっさり王子は変わろうとしてないし。

あれは個人的な興味だ。


現に私が言った髪切って服装変えてマント取れと言った要求はマル無視されている。


自分のしたいようにストーカーしているだけだ。


それに今日のこれ!


これこそ必要ない。


そもそも私は毒クラゲと性格が合わない。


このお茶会も対外アピールって言っちゃうあたり終わっている。


けど、まあ、雪山の帰りに疲れを見抜かれ、そのまま寝てしまって王宮にもお世話になった訳だし、そのお礼くらいは言わないとなとは思っている。


私は大人だから助けてもらった礼はちゃんと言えるのだ。


そして案内された温室。


今日は温室でお茶会なのか、色々な場所があるものだな。


温室は入ってびっくりした。

まさに南国。


暑いくらいの温度に椰子のような植物やハイビスカス、マンゴーのような実がたわわに実った木、常夏だ。


どうりでメッセージに初夏の装いでと書いてあるわけだ。


見た時アホなのか?と思った。


真冬だよ?

なんならクリスマスあたり。


風邪ひくだろう、嫌がらせかと思った。


けどドレスコード指定があるから守らないといけないとかで、水色と白色のストライプが可愛いサマードレスを着てきた。


なるほど、コートを脱げば適温だ。


入り口の侍女にコートを渡して中に進む。


グリーンの大きな葉がよく育った前にテーブルはあった。


透明なガラスのテーブルは涼しげで、フルーツが色とりどり切って盛り付けてあり美味しそう。


パイナップルの器も可愛い。


目をキラキラさせていると、

「ふはは、喜んだようだな。」


意地の悪そうな声が後ろからした。


また背後から毒クラゲ。


来るって分かってたのに喜んでしまった。

両手で頭を抱える。


振り向きもせず、悶絶していると、

「挨拶は。」


今度は偉そうな声を出してきた。


くっ…。


歪んだ顔を諌め、フッと息を吐くと笑顔で振り返った。


「我が国の若き太陽にご挨拶致します。ご機嫌麗しゅうございます。本日もお茶会にお誘いくださいまして、ありがとうございます。先日も神獣様にはお世話になりまして、ありがとうございました。」


スカートをつまんで澄まし顔で優雅にカーテシーをする。


「おい、それでは神獣への礼だろう。私の名とお前の名をわざと言わなかっただろう。」


不服そうな声を頭の上で聞き、

「なんの事でしょう。」


とぼけた。


ハッと息を吐く音が聞こえ、

「いい、顔を上げろ。」


頭を上げると眉間に皺の寄った毒クラゲの顔があった。


途端に温室の光が殿下の服に当たって、めっちゃ眩しい。


常夏を意識したのか、フレッシュグリーンにオレンジに白に青。


配色もカラフルだがキラッキラと今日も輝きまくってる。


本当、弟と対象的だな。


髪も白金色で、天使の輪ができている。


艶々だな、この間の側妃様を思い出した。

容姿は側妃様の血が濃いな。


王様は地味オジだもんね。


「なんだ。」


「いいえ、側妃様と似ていらっしゃるなと。」


私がそう答えるとますます眉間に皺がよった。


母親に似ていると言われるのが好きじゃない?


首を傾げると、ネクス殿下は拳を口元に当てて、

「母上と会ったか?」


「はい、ダンスレッスンの後にお会い致しました。」


殿下は私の全身を見て何か考えているようだ。


「は……母上は今までルキアーナ嬢にどのように……。いや。」

言い籠った。


珍しいな。


キョトンとして見つめると、殿下は咳払いをした。


「何もなかったのなら、よい。」


はーん、これは自分の母親が毒イソギンチャクだと知ってるわね。


何もなかったわけではない、ブンブン扇子を振り回して殴られそうになった。


殴られなかったから実害はドレスだけだけど、着れなくなってしまった。


言いつぐんで口を真一文に結んでいると、殿下が手で座るように指示を出した。


ルキアーナちゃんに害がなかったからいいけど……。


座ると同時にお茶を飲んだ。

トロピカルティーのようだ。


「私は大丈夫ですけど、第二王子殿下は側妃様に出会うと燃やされそうになるらしいですよ?」


「うおっ……。」


私が言うと、ネクス殿下は持ち上げたカップを落としそうになった。


目を見開き、カップを置く殿下の顔は狼狽していた。


「それは本当か?」


「はい、本人が言ってましたから。まあ、本人はさほど気にされてないようでしたけど。燃やされそうになるから結界を張るのだと、でも側妃様が呪いを受けて腹痛になると悪者にしてくると不服は申されてました。」


聞いたまま素直に教える。


やっぱり知らなかったよね。


王様が守ってくれないなら、毒クラゲが守ってあげるかなって少し思ったから……嫌ってはなさそうだし。


「母上はそんなことを……。」

おでこに手を当てて項垂れてる。


そんな姿珍しい。


「王様が守ってくれないようで、王族は強いから自分で回避しろ的な感じなのですかね?」


私が聞くと、項垂れたまま。


「ああ、そうだな。陛下はそう言いそうだ。」


「私にはよくわかりません。義母になるのかわかりませんが息子の異母兄弟を燃やそうとする神経が、そしてそれを放置している陛下の考えも。息子が燃やされるんですよ?」


殿下のつむじに向けて言う。


「…王は強いものが望まれる。」

「そうでしょうね。だからといって燃やされて言い訳は?」


「………ない。」

「そうですよね。では、殿下が今後守ってあげて下さい。」


私がそう言うとネクス殿下は顔を上げた。


「私がか?」

「そうですよ。弟ですもの。」


当然と頷くと、殿下は目を細めた。


「それはないな。自分で回避すればいい。」


なんでだよ。


眉間に皺を寄せる。


「そのくらいで倒れるようでは、王位は継げない。私は王位が欲しい、手を貸す必要はない。」


「そこで王位を継ぐ判断をしなくてもいいのでは?」


「それも一つの資質だ。」


面倒だ、意味わからんな王族ってのは。


身の危険を犯してまでやるものじゃないな。

ついていけない。

やっぱり逃げるべき場所だな。


「は〜。」


ため息が出てしまった。


「まあ、母上には少し気をつけてくれ。」

目を逸らして殿下が言う。


少し気をつける?


少し気をつける程度では身が持ちませんが?


燃やされたら堪りません。


ルキアーナちゃんじゃ回避できないよ?


もしかしたら心を折った1番の原因かもよ?


自分の母親くらい、どうにかしなさいよ。


自分の母親の事なのに、全然頼りにならないネクス殿下の態度にガッカリするのだった。







今回も読んでもらえて嬉しいです


毒クラゲ王子、やっぱり猛毒イソギンチャクには勝てそうにないか……?


よけれは評価やブックマークをよろしくお願いします

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