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83 ストーカーのお世話が面倒

閲覧ありがとうございます


もっさり王子が霞目呪いマントを着用しだして、数日過ぎた。


が、当然の如くスムーズにストーカー出来てない。


朝王宮に着くと、突然壁や空間からもっさり王子が現れる。


先日ルーラがそれを見て、化け物が出たと勘違いして気絶したのが真新しい。


もっさり王子には出現する時は、ルーラと離れた後にお願いした。


そりゃそうだろ、突然空間が開いて人が出てくるんだから、びっくりもする。


この出現に驚かなくなってきた私は慣れたもんだ。

人間慣れって怖いよね。


でも慣れてない侍女が今、もっさり王子に驚き、更に霞目にもなって見えないパニック追加で泣きながら気を失った。


知らない人が見たら、どんな恐怖に襲われたんだって感じだ。


申し訳ない限りだ。


嫌がるもっさり王子にお願いして、近くの休憩室に黒ロープで運んでもらう。


そのうち目覚めるでしょう。


彼女の様子を確認して休憩室を後にした。


そしてそこからもっさり王子が私の3メートル後ろを歩いてついてくる。


私の行く先は講義室か医務室か治癒室かダンスレッスンホールくらいだから、みんなもっさり王子を認識しているのでマントは要らない。


けど代わりに自分の周りに腹痛呪い付き結界を張る。


ここで出会う人達は近寄り過ぎなければ、一応許されている人達。


それでも霞目か腹痛か、何もなしでは立っていられないようだ。


みんな苦笑いで近寄らない。


一応遠巻きに前よりは話が出来ているそうだが、もっさり王子が声を発する事はほとんどない。


もっさり髪が縦に動くか横に動くかだけの会話だ。


意思の疎通ができるだけでも凄いとみんな感動していた。


会話というのだろうかと疑問に思うのは私だけのようだ。


廊下を歩く時は必ずマントを着用する。


全然知らない人は見られるのも怖いらしい。


すれ違う人が皆霞目になってるのに、可哀想だと思わないのだろうか。


王子を見た瞬間から、目が霞むから立ち止まって目をハンカチで押さえている。


その姿に心の中で手を合わせながら通りすぎるのに、もっさり王子は見えてないっていうのに、マントで更に頭を隠して前屈みに小さくなって通りすぎる。


……仕方ないってわかってるよ? 

わかってるけど、もう少しどうにかならないのかと無言になってしまう。


……頑張ってるよね。

一歩も離宮から出なかったのが、何時間も私の後ろについてくるんだから。


頑張ってるとは思うけど!


クルクルクル。


お腹に黒ロープが巻き付いた。


自分が上手く進めず、私が離れていきそうになると、こうして黒ロープを伸ばして捕まえてくる。


急に捕まえるから、体が前のめりになり、ちょいちょいびっくりする。


「はいはい、離れすぎたんですね。」


振り返ると、霞目で目を押さえた人達に行くてを阻まれていて、何処を通っていいか分からず人の間の様子を伺っている王子が見えた。


ちょっとすみませんって言って通るだけでいいのに、それすらできない。


声を聞かせたくない、近寄りたくない、触れたくない、逃げたいがヒシヒシ伝わる。


殿下の方へ歩いていき、

「ちょっと通りますので、触れるのをお許しください。」


そう言って女性の腕に触れて、少し寄ってもらう。


「こちらこそ、突然立ち止まって申し訳ありません。目に何か入ったようで。」


開いた隙間から、もっさり王子が音もなく抜け出る。


「大丈夫ですか? 申し訳ないですが、先を急ぎますので失礼いたします。」


もっさり王子の腕を取り、王子がビクつくが無視して早足で進む。


「や…め……。」

「早く離れてあげないと可哀想でしょう。」


小声で咎めると大人しく進んでくれた。


こんな感じで結構面倒くさく過ごしている。


これ、いつ慣れるんだ?


なんでストーカーされている私が面倒見ないといけないんだ?


放っておけばいいのに、それもできない自分にウンザリして、講義室に向かった。


  ♢♢


これからもっさり王子と仲良く?魔法学の授業。


毒クラゲいないから前後の私達の配置も変わらない。


しかし何故かもっさり王子はマントを着用したまま。


エーデル侯爵は慣れっこだろうに。

マント不要だろう?


そう思っていると、エーデル侯爵が入ってきた。


「これはまた、変わった呪いですね。かけられた方は少々煩わしいですね。」


言いながら右手2本指を立てて、斜めに上から下へ振った。


何をしたのか分からないけど、エーデル侯爵は麗しいお顔を歪めてない所を見ると、呪いをかからないようにしたようだ。


「かん…たん…に……こう…りゃく……してバケモノ。」

後ろから不服な声がする。


「視線を送ると呪いが発動するようにしたのですね。素晴らしいです。よく構築できますね。」


いい笑顔で拍手を送っている。

若干嫌味にも聞こえる。


「それに……瞬間…で……気付く……方が…お…かし。」


バサバサと後ろから音がするから、脱いでいるようだ。


どうやらエーデル侯爵に通用するか試したらしい。


絶対効かないだろう。


この間のみじん切りもすごかったじゃん!


「それでそのマントは私を試すために作られたわけではないですよね? 何にお使いになるのですか?」


エーデル侯爵がニッコリ微笑みながら聞く。


「城内を人の目を気にせず歩くために、殿下が作られたようですよ。」


私の言葉に目を開いた。


「それはまた天変地異の前触れのような変化ですね。」


「エーデル侯爵様、失礼ですよ。殿下も今のままではいけないと一歩踏み出した所です。」

「この子…の……かん…し……する…た…め。」


良いように言ってやったのに、もっさり王子と私の言葉が被った。


………言い方。


エーデル侯爵の顔が苦笑いに変わったじゃないか。


「しかし、ルキアーナ様は相変わらず呪いがかかっておられませんね。」


エーデル侯爵が顎に手を当てて首を傾げる。


「はあ、そうですね。特に何も……。」


「いみ…ふ…めい。本当……どう…なっ……てる…ん…だろう。面白い。」


面白がってもらっても困る。


ルキアーナちゃんの能力じゃん。

上手に避けてるのか、魔法を解いてるのか、すごいよね。


ふふん、自分の能力じゃないが凄いだろうっと胸をはる。


「特別な事をしているように見えないのに、呪いを弾いてるのが凄いですね。」


肯定するようにエーデル侯爵が頷く。


「魔力量の問題だけではない気もしますね。」


何かまずい気がして、ニコッと笑うと、

「エーデル侯爵様、第二王子殿下の魔力暴走は着ておられる魔力抑制服で抑えられているのですよね? 普通に歩いても、皆に危険は無いですよね?」


もう一度確認してみる。


「そうですね。余程の感情の起伏がない限り大丈夫です。」


感情の起伏………はなさそうだな。

いつもオドオドしてるだけだし。


「では殿下のこの姿は王宮内で知られてますか? 先日ダンスレッスンしていただいたオルドレ先生はご存知なかったようですので。」


「殿下は病弱とされ、また殿下も出歩く事がありませんでしたので幼少期を知っていても今のお姿を知る者はほとんどおりません。知っているのは王族、医師、治癒師、私、宰相、ルキアーナ様くらいだと思います。」


ふーん。


という事はやっぱり出歩いても、誰ももっさり王子って思わないじゃん。


なら怖がられも嫌悪もされないよね。


自由に歩いて大丈夫じゃん。

マント不要じゃん。


目を輝かせる。


「ただ、お顔をというかお姿を知られてないので、反対に不審がられる可能性があります。」


おお、不審。

確かに真っ黒もっさり髪に真っ黒喪服は肌も見えてないから、だいぶ異質だ。

オルドレ先生も不審がってた。


「ではやはり、殿下が作ったマント着用が有効という事ですかね。」


あれはすれ違う人が可哀想なんだよね。

いちいち霞目になってしまう。


「そうですね、ですがそれですと皆が殿下の姿が見えないので、なかなか認識も難しいのではないかと。出歩くだけで、のちの事を考えないのであれば有効ですけど。」


「……か……かん…がえて……ない。見え……なく…て…いい。」」

何か聞こえた。


いや考えようよ。

普通に歩ける事を!


「ですよね。ではエーデル侯爵様の部下という事で連れ歩くのはどうでしょうか? 侯爵様なら殿下も慣れてますし、後をついてまわっても比較的自然じゃないですか? 部下の1人や2人連れて歩く事もありますよね?」


そう私がいうと珍しくエーデル侯爵が目を丸くした。


「私が殿下を部下にですか? ものすごく立場的には不敬ですね。」


「い…いや…だ。…間違って……る。監視………か…んし……でき……な…い。」


あ、そうだった、そもそもの目的はモフの代わりだった。


難しいなと眉を寄せる。


「監視とはルキアーナ様のですか?」

「…そ…う。」


「これはまたどうしたのですか?」

「…この…こ…おか…し…い。」


なんだと、こら。

後ろを振り向くと縮こまった。


クスッとエーデル侯爵が笑う。


「良い事ですね、婚約者候補に興味を持つのは。ですのでルキアーナ様と共に出歩くのがよろしいかと思います。差し当たり婚約者の交流という事で。」


えー、…なんか違う。

そもそも…少し興味の意味合いが違うのだが。


いちいちもっさり王子の面倒をみるのが、面倒くさい。


そう思っていると後ろから、

「ほ…ら…。」


何気に得意げな声が聞こえた。


イラ…。


「いいですけど、ならしっかり歩いてくださいよ! それとマントは無しです。あと真っ黒の服もやめて、なんなら髪も切ってセットしてください。」


こっちの要望を思い切り言ってやった。


いつまで経っても返事も無く、エーデル侯爵が手を挙げて首をすくめて見せたので、ゆっくり振り返ると姿が無くなっていた。


「逃げてる!!」


「全部の条件を呑むのは殿下には難しいかもしれないですね。まずはマントが外せれたら僥倖ですね。では魔法学は受けてもらわないといけませんので、殿下をお連れしに行って参ります。」


おかしそうに笑いながら、エーデル侯爵が転移していったのだった。




読んでもらえて嬉しいです

ありがとうございます


ストーカーするって言われるのも嫌なのに、ちゃんとストーカーできないもっさり王子を放っておけない千笑

なんだかんだ面倒みて、人がいいよね


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