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82 猛毒イソギンチャク

読んでくれて、ありがとうございます

急に空間に取り込まれたのは私なのに。


「もう…呪い…たい…へん…だ……た。」


艶々になったマントを差し出して、こっちでも不平を言われた。


なんであっちでも、こっちでも私は文句を言われているんだ?


ありがとうと思ったけど、意図して助けてくれたわけではなさそうだった。


ここは?


周りを見回すと見慣れた講義室だった。


でもまあ、助かったし。


「助かりました。」


お礼を言うと予想通り首を傾げられた。


「……なに……き…けん?」


「あ〜危険ではないですけど、側妃様に絡まれました。」


苦笑いでそう言うと、もっさり王子は胸の前で拳を握った。


「危険……き…けん。きけ……ん。」

ものすごく危険を連呼する。


危険……ま、凶暴だったね。


顎に手を当てて思い出してると。


「ひ、…ひど……い…事…され…た?」


王子の拳が震えていた。


「いいえ、大丈夫です。キロネックス殿下を王太子に選べと圧力をかけられただけです。」


安心してほしくて微笑むと、

「それはそう。早く兄上を選んで。」


追い討ちをかけられた。


えー……。


いやよ、選んだら逃げれない。


眉毛がピクリと動く。


あちこちに敵がいるな。


「僕は……兄上は好きだけど、パリトア…トキシカ……様……嫌い。」


すごい名前………猛毒イソギンチャク。


あの人はそんな名前だったのか。


猛毒だ、側を通っただけで即死できるやつだ。


絶対怖い人だ。


この世界で毒の付く人はやばい。

次からもっと気をつけよう。


ルキアーナちゃんも怖がってたようだし。

きっと相当怖い人だ。


そう思い直していると。


「いつ…も、僕…みた…ら燃や……そう…と…する。」


「ええっ⁈ 燃やす⁈」


もっさり王子のぼやきに目が飛び出た。


「燃やされるの?」


「火……とば……し…てく……る。」


魔法の世界の暗殺怖い……。


いや、暗殺じゃないね、堂々と攻撃。


やっぱり怖い人のようだ。


「王位……じゃま…みた…い。」


あからさま………。


「だからって燃やすのはやり過ぎだね。怖かったね。」


思わず同情して抱きしめて背中をポンポンした。


もっさり王子が固まってしまった。


あ、年下と思ってるからついやってしまった〜。


気を遠くしてパッと離すと、もっさり王子が小刻みに揺れていた。


「あ……あ……ああ……。」


「ごめん、ごめんなさい、動揺させて。」


両手を出してどう、どうと冷静になってもらう。


王子がもっさり髪を横に振った。


「…あ…の人、火…魔法…使う……から、…結界………張る…けど、…腹痛…の…ろい…かかる…と…、僕を……わる…もの…に…する。」


………殺害と腹痛…。


絶対殺害のが悪いだろう⁈


「え、可哀想。王様に注意してもらいなよ。」


「…………。」


「お父さんなんだし、守ってもらった方がいいよ。」


「……まも…る? 笑って…いき…のこ…る…のが…おう…ぞく?」


謎な問いかけをしてきた。


「いや、笑えないから。それ王様が言ったの?」


もっさり髪が縦に動いたのを見て、眉が寄る。


王様もニコニコしてるだけの人ではないって事ね。


「王家に強い人を求めるのはわかるけど、命の危険を自分だけで回避しないといけないわけじゃない。そんな試すような事をしなくても健やかに生活して王位継いだらいいと思う。守ってもらう事も必要よ。」


「守って……も…らう……? だ…れに?」


「…………。」


た、確かに? 誰に?


今までずっと1人だったんだ……。


思わずもっさり王子を見つめてしまう。


両親が王様と王妃様で、周りから怖がられて側仕えもおらず、引きこもってた。


関わりのある人といえば………。


「エーデル侯爵様?」


「え…、いら…ない。」


そうよね、そう思う。


「よし、頑張って逃げよう!王様も当てにならなさそうだし。」


グッと拳を握ると、めっちゃ見られてる気がした。


すい〜っと視線を逸らし、

「側妃様もかなり息子の王位に躍起になってるのね。」


私がそう言うと、もっさり王子が頷いた。


「兄上を王太子にしたいけど、そうするとあの人ももっと権力持つから危険。国が傾きかねない。気にいるか気に入らないかだけで判断して、脳みそが足りてないんだよ。本当兄上の母とは思えない。品位が足りなくて兄上の足を引っ張るって分かってない。」


………兄の話だけちゃんと喋る……しかも辛辣。


もっさり王子が言うことを顧みるなら、側妃様はルキアーナちゃんを気に入ってるよね。


能力だけ。


次代の王、聖女を産む可能性が高く、利用価値が高い。

万が一にも本当に産んだなら、自身の名声も高まるってか?


こりゃ、思った以上にネクス殿下の嫁にと思っているな。


絶対思い通りになりたくない。


そう思っていると、

「ね……ド…レス……こげ…て……る。」


もっさり王子が指を振るわせた。


え?


腕を見ると確かに斜めに茶色く線が入り、レースが溶けていた。


それも何箇所も。


……………やばいな、あの人。

王宮内で魔法使ってたのか。


扇子に炎を繕わせてた?


確かに熱く感じた瞬間があったけど……。


服を捲ると皮膚は大丈夫そうだった。


義母が息子の異母兄弟を燃やそうとしたり、嫁をいびったりする家に嫁ぐなんて、不幸でしかない。


これはなんとしてでもここから離れなくちゃ。


毒クラゲとガラガラヘビでは猛毒イソギンチャクには勝てない!


毒の強さなら一発K.Oだ。


あのしっかり引かれたアイラインの朱色瞳を思い出した。


無理無理、絶対無理。


イソギンチャクは毒クラゲには優しいのだろうか?

二面性がバンバンにあった。


毒クラゲも大変だなと思う反面、しっかり毒を受け継いでるなとも思う。


王子らも逃げたらと思ったけど、この王子って職業は離れられないものだとも分かっている。


でも2人はなんのかんの魔法使える訳だし、身を自分で守れるよね。


ルキアーナちゃんは魔法使えないから無理、気に入られているうちはいいけど、気に入らなくなったら消し炭。


ぐるぐる考えていると、

「ね、……モフ…いない……の…だか…ら、……ちょっと…目…はなし…た…すき…に……やっか…い……ごと…に顔を……つっこ…ま…ない……でよ。」


指を縦に何度も動かしてきた。


「突っ込んでないし、勝手に来たんだし。」


理不尽な話に頬を膨らませる。


そんな私にお構いなしに。

「じゃあ…あの…人は、ほっと……いて、こ…こ…から…ストーカー……開始ね。」


ビヨンビヨン動いて気楽な声を出すもっさり王子に脱力する。


側妃様の攻撃に慣れすぎでしょう……、もっと重い案件と思うよ。


すぐいつも通りになるもっさり王子に、こりゃどうしたもんかと頭を悩ますのだった。







閲覧してもらえて嬉しいです


猛毒イソギンチャクからの攻撃によく生きてたねもっさり王子!


よければ評価やブックマークしてもらえると嬉しいです

よろしくお願いします

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― 新着の感想 ―
[一言] 何もしないのに求める王様に虐げてくる王妃に自分ばかりしかみない兄王子様、ストーカーの弟王子様…、現状を知らないのか知ろうとしないのか放置の家族 ろくなのがいない…
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