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7 魔力は普通に扱えるもの?

閲覧していただき、ありがとうございます。

 今日も午後から講義を聞き、地理や経済が難しい過ぎて理解できない。


場所の名前も覚えにくいし位置が分からないのよね。


こりゃ、何か資料とか読まないと分からないなぁ。


「何か文献とか資料が無いかしら?」

右手を頬に当てて、首を傾げる。


するとルーラが。

「図書室へ行くのはどうでしょうか?。」


「家に図書室あるの⁈」

ビックリして目が丸くなる。


「ふふふ、行ってみましょう。」

私の様子を可笑そうに、ルーラが微笑む。


「行く‼︎ 行く行く!」

ガバッと立ち上がり前のめり。


「では」

ドアを開いて、ルーラに付いて行く。


しばらく行くと、またどこを歩いているのか分からない。

本当、この家広すぎじゃない?


しばらく行ってルーラが立ち止まって、振り返った。

「こちらの先に図書室がございます。」


視線をうつすと、渡り廊下の先に3階建てと思われる大きな建物が見えた。


えっ⁈

あれ、全部図書室⁈

いやいや、図書館レベル!

マジですか。恐るべき公爵家。

もう建物が公共機関レベル。


立ち尽くす私をよそに、ルーラがポケットから、綺麗なキーホルダーを取り出した。


扉の中央にある手のひらサイズの赤い石にキーホルダーの石を合わせる。


ガチャン。

低く重厚な鍵の開く音がして、ゆっくり扉が開いていった。


「うわー!」


広い吹き抜けに、ぐるっと周りを囲むように陳列した多くの蔵書。

中央に鎮座する大きなシャンデリアが、これまた綺麗‼︎


「凄すぎる………上から下まで、一体何冊あるのかしら……」


「150万冊以上でございます。」

あっさり答えるルーラ。


いやいや一家庭に本多すぎだから‼︎

驚きすぎて、引く。


螺旋状に登りながら、陳列棚の本を見て行く。

難しそうな本がたくさんだ。


キョロキョロして歩くのは仕方ない事。


「こちらでございます。」


ルーラが立つ方を向くと、地理関係の書棚があった。


ああ、そうだった。資料が欲しかったんだった。

驚きすぎて、すっかり目的を忘れていた。


「お嬢様、もしかして目的をお忘れでしたか?」


ぎくっ

バレてる。


「驚きすぎただけよ……」


つぶやくと、ルーラがふふふと笑う。


ふーん、たくさんあるな、どれがいいんだろう?

手にとって見るけど、書き具合が難しくて分かりにくい。


うーむ……選べず本の前で唸っていると、


「おや、ルキアーナ様ではないですか。体調も良さそうですね。今日は何かお探しに?」

上からサンタール医師が歩いてきた。


「まあ、サンタール先生、こんにちわ。今日は勉強中の地理が難しくて、理解が出来ないので参考になる資料が無いものかと見にきたのです。」

「ああ、地理ですか。勤勉でございますな。探し物は地形ですか?気候や特産、どういった資料をお探しですか?」

「まず全体の地図、そして地形、そこから気候が見えてくるかと…」

「ふむ、それですと、この辺りですかな。」

棚の端から一冊の本を取ってくれる。


受け取って見ると、表紙に「よくわかる、はじめての地理」と書いてあった。

おお、小学生の教科書みたいだ……ははは。


「あ、ありがとうございます。」

苦笑い気味に受け取る拍子に、先生の持ってる本が目に入った。


古代魔法………昔の魔法?先生は魔法が使えるのかな。


「…魔法……」

羨ましそうな声が漏れていた。


先生が本をチラッと見る。

「ルキアーナ様は魔法に興味が?」


その言葉に

「はい、あります!魔法について知りたいです!!」


食い気味な私に先生が苦笑する。

「本当に?以前は全く関心がなく、むしろ遠ざけているようでしたから。心配していましたが、よかった。」


確かに、魔力がたっぷりあっても、魔法が使えない可能性が高いって言われたら、面白くないし知りたいって思わないかもね。


「ルキアーナ様は魔力があるので生活に困る事も無かったので、魔法に関しては諦めと、必要性を感じてなかったのでしょうな。」

サンタール医師も同じ事を思ったらしい。


まあ、使えないなら興味も失せるよね。

肩をすくませる。


けど私は諦めない。


なんせ、魔法なんてアニメの世界にしか無かったのが、現実に使われて存在しているのだ。見た事ないけど。

知らなければ、損だ。

それに私の魂が入った分、何か使えるかもってラルフは言ってたし。


「以前はそうかもしれないですが、今は分からない事を知りたいと思います。」


「そうですか、そうですか。知るということは、どんなことでも良い事です。では、付いてきて下さい。」


そうサンタール医師は嬉しそうに頷くと、螺旋状の廊下を今度は降って行く。


私は「よくわかる、はじめての地理」を腕に抱えたまま、ついて行った。


一階に着くと、また扉がある。


扉の中央にはまた手のひらサイズの赤い石がある。


「これは鍵なんですよね?さっきルーラがキーホルダーを当てて開けていました。」


「そうです。人は魔力を持っていて、魔力を使う事で生活を便利にしております。ここでは魔石が鍵の役割をしています。ルーラは魔力が多くないので、自身の魔力で開けることができません。ですので、キーホルダーの魔石が魔力をたくさん含んでいますので、石同士を合わせる事で鍵を開けることが出来るのです。」


へ〜そうなんだ。

ルーラを見ると、うんうん頷いてる。


「鍵となる魔石に契約魔法をかけているので、ウィンテリア家と私は魔力を流すだけで、簡単に開けることが可能になっています。その他仕える者の中で許された者だけが魔石のついたキーホルダーを持つことが許されており、図書室の扉が開閉可能となっております。扉を開けれる人物は限られておりますので、魔石は防犯も兼ねております。」


魔力を流す………。


ドアノブ回すみたいに簡単に言うけど、魔力って簡単に流れる物なの?


思わず手のひらを見つめる。


「ここから魔法関連の部屋になりますので、どうぞルキアーナ様やってみてください。記憶をなくされておりますから、初めてドアを開けるのは楽しいと思いますよ。」


えっ⁈ いやいや、どういう事? できないし。


狼狽える私をよそに、ニコニコ笑顔のサンタール医師が赤い石を指して催促する。


「どうぞ、どうぞ、手をかざしてみてください。」


できる物なの⁈ 簡単⁈ かざすだけでいいの⁈

ルキアーナちゃんは魔力豊富って聞いたし、当たり前にできるかも?


そ〜っと手をかざしてみる。


…………。


魔力ってどうやって流すの?

流れてるの?

どうなの?


「「「…………。」」」


ガチャンって言わないよ??


ゆっくり、横にいるサンタール医師を見上げてみる。


すると、サンタール医師も目を大きく開いて、信じられない物を見たというような表情で、私と扉を交互に何度も見ていた。


えっ?えっ?


「ま、ま、魔力を手のひらに集めるのです。流して下さい。」


「えっ魔力って何処にあるのですか? 集める? 流し方が分からないです。」


そう答えると、サンタール医師は固まってしまった。


「………。」

ルーラも固まってる。


「こ、これは由々しき事態…………公爵にお伝えしなくては。」


そうサンタール医師はつぶやくと、私をそのままに、転けそうな勢いで慌てて出て行ってしまった。

その背中を見つめながら。


「え〜私このまま?」


扉に手をかざしたまま、私の声が図書室で虚しく消えたのだった。










閲覧していただき、ありがとうございました。


魔力と無関係な世界で育った千笑には、ドアすら開けれない……


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