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78 ストーカー目指す?

閲覧してもらえて嬉しいです

ありがとうございます

私は王宮教養の休暇時間に、冬のイベントについて考えていた。


冬と言えば、やっぱりクリスマスじゃんと思うけど、こっちの世界にはクリスマスが無い


ルキアーナちゃん子供だから、サンタのプレゼントめっちゃワクワクするはずなのに、無い。


サンタそっくりなサンタール医師いるのに、無い。


まあ、キリスト誕生なんて知らない人だし関係無いよね。


けど、ルキアーナちゃんに楽しさ教えてあげたいじゃん。

人生楽しいって!


年越しとか新年の祝いとかあるかな〜って思ったけど、仕事や学校は休みになるけど普通に各家庭で過ごすだけ、特別なものは無い。


年越しイベントの代わりは、強いて言うなら寒くなる前の褒賞式。


あれがその年ラストの貴族の集まりらしい。

そして良いお年を〜って王都から領地に帰るみたい。


開かずの間騒動でイマイチだったな〜、褒賞式。

毒クラゲとペアルックみたいになったり、怖いお姉さん方に囲まれて、微妙。


新年会は、ずっと先で、王家主催の新年の挨拶をするパーティが春前にあるんだって。


それが号令で領地から王都に貴族が集まり、今年もあたたかな春が来ましたね〜って始まる。


だから11月から3月まで王都では大きな行事がないらしい。

つまんない。


机に肘をついて手に顎をのせて考える。


無いなら、自分で行事やっちゃう?


クリスマスみたいに、チキン焼いてケーキ作ってパーティして………普段食べてるな。

サンタみたいに夜中にみんなの部屋回ってプレゼント置いてくる……屋敷広いから迷子になるな。

そもそもプレゼントって……公爵家の相場ってどのくらい?


なんかめちゃくちゃ難しいな。


年越しをする?………寝不足は美容に悪いって言われるな。

蕎麦がないし、除夜の鐘がない………パスタで代用してスープスパ食べて、ベル鳴らす?


もう何の行事かわからない。


新年はお節…‥いつも豪華な食事とってるから、これも特別感がない。

初詣……神社がない、教会に行く事は出来そう。

けどあまりワクワクしないな。


あとはなんだ?


ああ、バレンタイン!

お、これは出来そう!


チョコは渡せるね。

けど先は長い。


クリスマスもまだなんだ、結局バレンタインまで何もできない。


がっくりきて机に突っ伏してると、

「何‥…し…てるの。」

目の前にもっさり髪が現れた。


「うっわ!」


驚いて勢いよく起きたら、椅子ごとひっくり返るかと思って余計に心臓がバクバクした。


胸を両手で押さえてもっさり王子を見ると、首を傾げたまま起き上がった。


相変わらず、動きが怖い。


そしてエーデル侯爵の観察はどうなったんだ?

というくらい変化なく真っ黒。


やっぱり兄1番説は根強いらしい。


「ハンバーグ美味しかったですか?」


とりあえず、当たり障りなく、この間のハンバーグ攫って逃走の件を聞いてみた。


「まあ……そう…だね。……衝撃…的……だっ…たよ。」


なんだか楽しそうに胸の前に両手合わせて、左右に体を捻っている。


「バン………ばーん…バーン…ふふ。」

手を前に広げて謎な動き。


喜びを表してる?


思わず困惑してしまう。

「………。」


ま、まあ、美味しくいただけたのでしょう。


思いの外気に入った様子に少し嬉しくなった。


ニコニコしていると、

「……モフ…もう……持たない?」

もっさり王子が右、左と揺れる。


「持たないですよ。盗聴されるもん。というか、どうやってモフで盗聴したんですか?魔法ですか?」


腕を組んで座ったまま、口を尖らせてみる。


「魔法…使って……ない。‥…ダシンゴム‥は‥周囲に常に信号を飛ばして跳ね返った信号を受けて障害物を認識し、避けて行動している。その信号は鉱石も受信していて、発光させたりする。鉱石が受信したたくさんの信号の周波数を、ある波長にあわせて変換器を作ったら音声が拾えるようになっただけ。波長の幅、高さ、色んな条件を音声に合わせるの面白かったな………。」


急な小声早口が発動し、もっさり髪がリズミカルに動いている。


目がぱちくりする。


やだ、この子本当に頭いいのかも。

この科学未発達の世界の中、物理を理解してる。


生物も得意よね。

なんなら少し教えたら科学も得意になるかも。


現代のような世界が作れるかもよ?

スマホ欲しい。

あれがあれば連絡取り放題、万事色々解決じゃん。


でもまず何から始めたらいいんだ?

電気か? 


「盗聴器の動力は何ですか?」

「カリタツムの魔力…。」


何だそれは?


首を傾げると、

「魔貝の魔力。」

「ま、魔界の魔力。」


それは強力そうだ、もっさり王子にしか扱えなさそう。


魔界ってどこにあるんだ?

そこから魔力を引いてきてるの?


謎な暗黒そうな世界から伸びた不気味な黒ロープを握るもっさり王子を想像する。


ブルっと体を震わせると、

「なん…か…違う。」

顔の前で手を振られた。


見上げると、

「…貝…貝の渦巻き……盗聴に…てき…し…てた。」

両手で丸を作って教えてくれた。


「ああ、貝! え、貝で盗聴できるの? ちょっと意味がわかないけど、その生き物の魔力を使ってるって事ね。」


ダークな動力でなくて、良かった。


こくりと動くもっさり髪。


まあ、どっちにしても、モフは持てないな。


「すごいですけど、モフは持てないです。」


「……きけ…ん…ぶつの……マーキング‥でき…るのに。」

不服そうな声。


「危険物は例えば私が投げれば付着するとか、危険が迫れば発動する何かがあればいいんですよ。そしてモフのように一方的に声が聞こえるのではなく、互いに会話が出来る道具があると便利ですよ。今回の北の魔獣の件の時も使えたら、状況は違っていたと思うのです。」


私がそう言うと、もっさり王子はソワソワし始めた。


「おも…おもし…ろそ……う。反動……で‥マーク‥………と………互い……にはな……れて…も…会話………でき…る……も…の。」


おお、興味出た?


兄以外に興味持ってるの初めてみたよ。


「そう、そういうのが出来たら持ってもいいかな。」


「…ふ……ん。」

ゆーっくり振り子のように揺れる王子、何か考えているようだ。


すごい一定に揺れるな。


様子をしばらく見ていると、急に真ん中直立で止まった。


「ふ…ふふ………ふふふ……ふ…ふふふふふ…。」


え、怖っ。

急に笑い出したよ。


怪訝そうに体を反り気味に離れると、グッともっさり髪が目の前に来た。

「ギャ!」

思わずカエルが潰れたような声が出た。


「君やっぱり面白い、発想がすごい、奇想天外で何を言い出すか、何をしでかすか想像のはるか上をいくね。希望の物が出来上がるまで、王宮では僕が観察してあげる。僕頑張るよ、見逃したらもったいない!」


「え……。」


急に早口に喋った言葉が理解できず固まる。


何? なんて?

え?

面白い? 奇想天外?……私が?


特に何もできてないのに?


観察? 

観察って言った? 

私を? 

何で?


クエスチョンマークをいっぱい飛ばしていると、

「わからないなら、いいよ。勝手についてまわるから。」

目の前の真っ黒な髪が楽しそうに言う。


「いや、でも、殿下は人がいたら歩けないでしょう?」


眉間に皺を寄せると、


「ここ数日で…姿が…見えにくく……なるマント…を作ったんだ。短……期間で…作る…の…は骨が折れ…たよ。」


指で裂いた空間からグレーのやや光沢を帯びた布を取り出してきた。


そして徐に羽織ってみせる。


………見えなく……


なってない。


「見えてますよ?」


そう言うと、よりおかしそうに笑った。


「本当面白い…どうなっているのその瞳。効かないの? このマントを見ると霞眼になる呪いをかけたのに。」


何ちゅう呪いをかけるんだ。


眉間の皺がより深くなる。


「普通はね、僕の呪いに当てられたら、目が霞んで上手く見えなくなるんだよ。すぐ呪いは解けるけどね。目を気にしている間に通り過ぎるという算段なのだけど、どういう事なんだろうね、君の瞳は。」


興味津々に話す王子、言葉が途切れない。


それにもっさり髪があるけど、ものすごく瞳を覗き込まれてる気がする。


「さあ、わかりません。けど盗聴したり、待ち伏せしたり個々にしてる時より、ストーカーする方がもっと悪いですよ。」


「ストーカー?」


「そう、ストーカーです。」

「それは何?」


「その人を四六時中見ている事です。尾行して盗撮に盗聴全部しちゃう人の事です。」

「それだ、それがしたい。」


「…………。」

いや、悪い事って言っただろう。


わからないのか?

普通にしたいって言うんじゃない。


「ダメです!」

顔の前で腕をクロスさせてバツを見せる。


黒革手袋の手で腕を掴まれ、バツを広げてられる。

「ダメな事ない。」


いや、5歳児かよ。


まあ、王子の行動範囲って基本王宮内限定だからついてきても別にいいけど………。


「好きにしてください。」

私がため息つくと、殿下は嬉しそうにヒョコヒョコ動いたのだった。


見た目黒てるてる坊主………のストーカーの出来上がり。






閲覧ありがとうございます


もっさり王子ストーカーに進化


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