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73 付き纏う影

読んでもらえて、本当嬉しいです

もっさり王子の不法侵入から数日ゆっくりして、王宮教養を受けるためお城に到着した。


慣れた廊下を歩いて行く。


庭園に差し掛かると、向こうの廊下に数人の騎士が見える。


頭を下げてくれる様子から、雪山の時にいた騎士さん達だと分かった。


頭を下げて会釈して手を振ると、騎士さん達も歩みを進めながら手を振ってくれた。


知り合いが増えた様で嬉しかった。

なんせ転移して来たもんで、こっちに知り合いが全くいない。


やっぱり知り合いは多い方がいいし、絶対ルキアーナちゃんの為にもなる。


「ん?」


庭園の方から視線を感じた。


けど蔓薔薇の垣根があるだけで、人影はない。


「気のせいかな。」

首を傾げ歩き出す。


「………。」


音はしないのだが、誰かが垣根の向こうから見てる気がする。


ベラドンナさん? サーフランさん?


警戒してチラッと横目で見るけど、ドレスの端も見えない。


「んんん?」


おかしいな、気のせいか………?

まだ疲れが取れてないのかな。


もう気にするのやめよ。

人を疑うのも疲れるし。


ふうっと息をはくと、早足で講義室に向かったのだった。


………しかし、その後も移動する各所で視線を感じる事が……。


講義室で語学を学んでいる時も。

ダンスレッスンを受けている時も。

医務室でルンバール医師に挨拶へ行った時も。

治癒室のカリミナさんと抱き合っておしゃべりして、お茶している時も。


それは翌日、翌々日になっても続いた。


「絶対、気のせいじゃない!」


何かされたわけではないけど、なんか落ち着かない。


こうなってくると、犯人を突き止めたい。


また誘拐の機会を狙われているだったら嫌だし。


ルキアーナちゃんを気に入らないご令嬢でも困るし。


敵が多いな………。


歩いて、サッと駆け寄って垣根から覗く。

壁を曲がって、すぐ覗き返してみる。


残像のように残る人の気配。

けど一瞬で消える。


向こうも正体がバレるのを避けている所を見ると、尾行のプロか?

全然人の姿が掴めない。


やっぱり誘拐犯が再び動き出したのかも。


モフを返したしな、自衛するしかないよね。


自分がルキアーナちゃんを守れるか少し不安になる。


不安を抱えながら医務室に向かう廊下。

背後からさす陽の光にあたたかみを感じていたら、スウっと突然壁に影が伸びてきた。


「は…………。」


何故か人間と思えなかった。


だって廊下を歩いてるなら、私みたいに目の前に影は伸びるのに、揺れる影は何故か壁。


しかもゆっくり右に左に揺れる影。


…………おばけ? 妖怪?

信じたことはなかったけど、これこの形絶対そういう類のものと思う。


いや、私が知らないだけで魔獣の一瞬とか?

王宮に出る?

もうそういうのにルキアーナちゃんを襲わそうとしてる?


一気に緊張と恐怖が駆け上ってくる。


口元に手を当てて、少しゆっくり進む。

横目で見てたけど、怖いもの見たさでゆっくり壁を向きバッチリ影を見た。


壁から出てるその影はただ左右に揺れてるだけで、私が歩いている分見える影が小さくなっていく。

追いかけてくる様子のない影。


ただ左右に揺れる大きな黒いニョロニョロ。


…………なんかこの形に既視感が。


最近見た、恐怖のニョロニョロ。

絶対あれだろう。


動きといい、姿形が実物と変わらない。


もっさり王子……。


思わず目を細めてしまう。


サッと振り返ると黒髪が壁に引っ込んで消えた。


何がしたいんだ、あの王子!

怖かったじゃないか‼︎


分かってしまうと、行く先々で黒い影が目につくようになった。


突然開いた壁にもっさり髪。

庭園の空間からニョロニョロ。

窓の外の木の間の空間からもっさり髪。


見えないはずの幽霊が突然いる感じだ。


王子と分かっていてもビクつく。

結構怖い。


一体何がしたいんだ。

本当、ちょっと怖いじゃないか!


なんで私の尾行するのよ。


まあ、でも、図書室で言った言葉が響いてるのかもしれない。

危険ではないようだし、城の中だけど前よりは出歩いている事になるのかな?


少しずつよね。


そう納得して、次の講義を待つ。


久しぶりの魔法学………なんだけれども、背後の視線が刺さりまくって気になってしょうがない。


今日は毒クラゲはいないらしく、私ともっさり王子だけなんだけど、お兄ちゃんいなかったら、1番前の席の私と1番後ろの席のもっさり王子の距離感になるらしい。


久々にこの席だが、背中に穴が開いてしまいそうだ。


もっさり髪で全く目が見えないのに器用な事だ。


「それで、何故私について回るのですか?」

正面を見たまま、聞いてみる。


ゴトゴトゴトゴト………


動揺したっぽい音がしてるけど。


フッと笑みを浮かべてしまう。


「……モフ……の…か……わり……。」


「………はい?」


思わず聞き返してしまった。


え、モフ返されたから、自分がモフの代わりをしてるの?


予想の斜め上を行き理解できない。


「殿下にそうしろと言われたのですか?」

訝しげに聞くと、

「ち、違う。……モフ…の事…言って…ない。」

焦った小さな声が返ってくる。


兄にも言えず、私の監視も蔑ろにできず、基本臆病で優しい方なんだよね。


「監視…も……しない……と…だし……、本……でない……知識……もふ…やし……たいか…ら、…待ち伏せ。」


なんだこの子、大きな体して。

できた事が待ち伏せ………というかお化けのように存在してた、あれ?


人は真っ黒のものに常に見張られたり出会うのって恐怖なんですけど?

そんな事もわからない、15歳の王子にため息が出る。


突き放したいけど、一歩も歩けていない王子が可哀想で無碍にも出来ない。


やり方がまずいだけで、本人的には頑張ってる。

お姉さんはこういう子ほっておけないのよね〜。


ルキアーナちゃん的には関わらせたくないけど、自立させてルキアーナちゃんと関わらない所でしっかり人生歩んでほしいとも思っちゃうのよね。


悪意がないから、悪い事やおかしな事がイマイチわかっていない王子を無碍にできず、絆されるのだった。







閲覧ありがとうございます


もっさり王子が笑える

もっさり王子ファイト〜


よければ評価やブックマークしてもらえたら嬉しいです

よろしくお願いします

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