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6 令嬢生活は慣れぬもの

閲覧いただき、ありがとうございます。

 食事が終わると父と兄はお城へ、母は屋敷の女主人として仕事を始める。

私はというと、この屋敷に来た日から5日はベッドの住人になって、ゆっくり過ごしたが、6日目から令嬢としての生活が始まっていた。


 最初はお嬢様としての生活が初体験だからワクワクしてたけど、過ごしてみて思った事は、令嬢というのはなかなかに窮屈で大変だという事だ。


 まずこのドレス1日に何着も着替える。朝、昼、晩は必ず。

プラス昼寝とか入るとドレスで寝れないから寝巻きに着替えるでしょ、起きたら部屋着かドレス。そして寝る用の夜着。1日に何回着替えるんだって感じよ。汚れてないから着替え不要と言うと、この着替えこそステータスで令嬢の責務だとか?


どんな責務だよ。絶対要らない責務。


時間の無駄に感じるし、着替えだけで疲れるんだけど。


そして、着替えの時間と食事とお茶と睡眠以外の時間は、全て時間割で色々な方からの指導を受ける。勉強だ。


 公爵家に来てくれる指導者は人ができていて、こんな事もわからないのか?とか、知らないのか?とか覚えられないのか?とか言う人が全くいない。

むしろ忘れた事を心配して、ゆっくり覚えたらいい、分からなければ何度でも聞いてくださいと言ってくれるのが本当ありがたいって思う。


これなら無知な私も頑張れる!


と思っていたけど、本当、ご令嬢というのは、オホホと笑って優雅にしてる暇もなく、大変だ。子供だけど全く遊んでないのだ。


午前中は立ち振る舞いのレッスンで終わる。これが長い。


 公爵令嬢とは、皆の手本となる様な立ち振る舞いでないといけないらしい。立っているだけなのに、ものすごくあちこち注意される。あと慎みが大切とかで、大声を出して笑うNG、優雅に歩くOK、それ以外の歩きNGなの、靴音も鳴りすぎるとNG(加減がわからん)、走るのはNGすぎて周りが蒼白になる、早歩きもゆとりを持って行動出来てないことになりNGらしい。

動き1つ1つに決まりごと多い。手足の出し方、角度、動かし方、姿勢などなど…………

そりゃ、体力付かないし、体勢の形が大事すぎて、ストレスが溜まる。肩も凝る。


 そして昼食はテーブルマナーのレッスンだ。


味が分からないくらい考えないといけないので、楽しくない。美味しくなーい。

エビをフォークとナイフで剥いで優雅に食べろと言われても……………。


自由に食べたいように食べるから、美味しいのだ。

所作の美しさも大切だけど、美味しく食べさせてと思う。


 食事が終わると座学が始まる。教養もこの国の歴史、地理、経済が中心で、その他芸術鑑賞、算術、語学などなど。

聞き馴染みのない、カタカナ名が沢山で覚えれない………なかなかに難しい。

新しい薬か菌名を覚えている気分だ。


 もっと魔法とか教えてくれるのかと思ってたけど、それは全く無い。

どうやらルキアーナちゃんが無属性だからのようだ。

魔法が使えるようになるかわからないので、その時間を省いて教養を徹底する事で、完璧令嬢を目指していたようだ。

でも魔法が使えなくても、聞くだけで楽しそうなのになあ。


 こんな中でも一応、息抜きの時間はある。


あるにはあるけど、ケーキでお茶するか、刺繍、編み物、チェス……じっとするばかりで息抜きになってない。


携帯やパソコンもない、気軽にゲームや検索、買い物もできないよ〜。


私にははっきり言って、ご令嬢は向いてない。

なんせ現代っ子、そういう風に育ってない。


こんな生活をルキアーナちゃんは毎日過ごしていたのかと思うと、大したものだと思う。だって12歳よ?遊びたいよ。楽しくない〜。


 でも無理をしてでも頑張らなくては、私のせいで完璧令嬢から残念令嬢になるのは勘弁。

残念令嬢になってしまったら、魂が覚生するどころか、起きたくなくなってしまう。

ルキアーナちゃんの為にも、頑張らないとね。まずは目指せ、令嬢の普通生活への慣れよ。


ああ、でも25歳にしてマナーも刺繍も何一つ出来ないとは、情け無い。


「……全然できない。」

思わず落ち込んで、口から溢れる。


と部屋の端に待機していたルーラが足早に近づき、跪いて私の両手を包む。


「大丈夫ですよ。お嬢様。焦りは禁物でございます。今まで頑張りすぎていたのです。皆もお嬢様が無理をしていたのだと、気付けておらず後悔いたしました。ですから、ゆっくり過ごしていったら良いのです。出来なくて落ち込んだり、考えて難しいお顔をされたり、私共に微笑んでくれたり、幼い頃のように表情豊かなお嬢様の方が魅力的にございます。以前のお嬢様の就学ペースではなく、今の様にゆっくり学んでやってまいりましょう。以前のお嬢様より子供らしくて良いと思いますよ。」


ルーラの優しい笑顔に励まされる。


が、励まされてるけど、心境は複雑だ。


12歳の少女より、25歳の私の方が子供らしいって………。

大丈夫って言われても大丈夫じゃない気がしてきた……。


今の勉強ペースもなかなかにブラックって思うのに、どれだけ背伸びして学んでたのよルキアーナちゃんは!

体壊すわよ。


はあーっとため息を吐くと、

「気分転換です!散歩に行きましょう」

と言って、ルーラが可愛い帽子を被せてくれた。


おお〜屋敷の外初めてだ。


初めて外に出ると、太陽の光を眩しく感じた。


細めた瞳が光に慣れてくると、見えた景色にビックリした‼︎


公爵家の庭はそれは見事で、まさしく庭園!と言うにふさわしかった。

これがよく手入れされていて、色とりどりの花がバランス良く咲いて、緑とのコントラストがすごく綺麗。

色んな花の芳醇な香りも、またいい!

庭園の一画にガゼボという所があり、外のお茶は最高に美味しかった


ルーラありがとう、こんな素敵な場所を教えてくれて。

元気がもらえたから、また頑張れそう。

確か次はダンスを学ぶんだったわよね。

社交ダンスはした事ないけど、ダンスは習っていたからいける気がする。

俄然元気が出てきた。

なかなか慣れない生活だけど、精一杯やろう。


そう思って気合い十分にダンスレッスンした私だったけど、次の日のレッスンを受けたときに講師の先生の靴が硬いものに代わっていて苦笑いしたのだった。






閲覧いただき、ありがとうございました。

ご令嬢の生活は大変ですね。早く慣れるといいのですが。


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