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63 意味不明な行動に困惑(第一王子視点)

閲覧ありがとうございます

弟に北の地に結界を張るように指示を出して、執務室で宰相と情報交換する。


「内部の状況がわかりませんが、魔獣被害は増えているようです。近隣の領地から負傷者の増加と家畜被害の知らせが入っております。」


厳しい表情の宰相にも疲労の色が見える。


「増援した騎士も倒れたと考えるのが普通だな。」


10日ほど前、北の地に狼種の魔獣討伐の為、第二騎士団を派遣した。


しかし3日ほど経過した後から騎士に高熱で倒れる者が出たと報告を受けた。


冬季で体調を崩したか、不甲斐ない、鍛えようが足りないな。

帰ってきたら訓練方法の改善だなとあまり気にも留めていなかった。


すると2日後、騎士団長から騎士のほとんどが原因不明の高熱に侵され倒れ、討伐にならないので増員要請が来た。


ザイナスと騎士団長は何をしているんだと、イラついた。


たかだかしれた魔獣の討伐だぞ。


だが魔獣の呪いかもしれない、高位の魔獣の呪いは死も招く侮れない物もある。


(ザイナス)の顔を浮かべ、魔術師師団長に魔獣討伐援護要請をした。


第3騎士団員と魔術師の増援で、過分なくらいだと安心していた。


すると討伐完了の報告どころか、3日後討伐隊との連絡が全く取れなくなった。


師団長まで倒れたというのか?


信じられなかったが、連絡が途絶える直前、師団長から自分も倒れるかもしれないから討伐隊一帯に結界を張ったと連絡が来ていた。


皆の倒れる速度が早すぎる。


あの地で何が起きているのか?

呪いなのか? それとも魔獣が強すぎるのか? 判断に困った。


内部の状況がわからず、もどかしい。


弟のダシンゴムを同行させるべきだった。

せめて盗聴でもできれば。


できない話をしても仕方ない。


弟を呼び出し、彼の地が呪いに汚染されているか探らせるも、離れすぎていてわからないと言う。


ならばこれ以上周りの領民に被害があってはならない。


弟に結界を張るように指示をした。

誰も結界から出ないように魔獣もろとも広範囲で結界を張らせた。


中にいる者はいずれ様々な魔獣に食われるかもしれない。

呪いで死ぬかもしれない。


そう頭をよぎり拳に爪が食い込む、友や師団長らの顔が浮かぶが、頭を振った。


王族に私情はいらない。

使えない者が悪いのだ。


これ以上被害のないように。


弟の結界を解く者はなかなかいない。

これであの地は収束する。

後は時間が経てばおわる。



  ♢♢


自分の執務室に戻り、ソファに座り天井を見上げる。


虚しい感情に駆られ目を閉じた。


コンコンコン。


間髪入れず鳴るノック。


ひと時もゆっくりできないな。

溜息をついて笑が溢れた。


「なんだ。」


声をかけると、外から控えめな声がした。

「あの、兄上。」


弟か…。


珍しいなドアから来るとは。


立ち上がりドアを開けると、ぼうっと立つ弟がいた。


「入れ。」


促すと、背を丸めゆっくり抜き足差し足で入ってきた。


もっとしっかり歩けないのかとこめかみを押さえる。


ドアを閉めて向きを変えると、弟は長い髪を揺らしてキョロキョロしているようだった。


弟の脇を通り抜け、ソファに座る。

「それで、どうした? 結界は張ったのか?」


こういう時は弟は絶対にソファに座らない。


コクンと首を縦に動かした。


「ならどうした?」

首を傾げると、弟は手をモジモジさせた。


話し出すまでが長い。


しばらく待つと、

「…………ルキアーナ嬢を北の地に送りました。」

「…………。」


上手く理解できなかった。


「は?」


意味がわからず聞き返すと、弟は小さくなり震えた。

「ダメって……言ったけど、自分の兄を……案じて……転移させろと、転移させなければ………抱き…抱きつく…と脅してきました。それに………転移させないなら、自力で行って…僕の……結界を解くと。い、嫌なら……自分を転移させた後に……結界を…張れ…と。も、……なん…なの……あの子おお……うう。」

言いながら頭を抱えて小さくうずくまった。


は?………はあ?


増援を送るのも渋るくらい状況のわからない地だぞ?

そこに1人行かせたのか?


「おい、危険だろう!」

弟という事を忘れて腕を掴み立ち上がらせる。


腕の中の弟はビクッと萎縮した。

そしてカタカタ震え出した。


「わ、…分かっ………ご、……ごめ……ごめんな……さい!」


あ〜怖がらせたか。

こうなったら会話が難しくなる。


しかし、弟の腕を摩りながら、

「ルキアーナ嬢単身で転移させたのだな? 」

穏やかな声色に努める。


コクンと弟が頷く。


「……も……。」

「うん?」


何か弟が呟いたが聞き取れなかった。


アイツは1人で行ってどうする気なんだ、何ができるんだ?

倒れて死ぬのがオチだろう? 

何を考えているんだ。勝手な事をして。


頭にルキアーナ嬢が浮かんでイラついた。


弟に胸元を叩かれて意識が戻る。


「モップが……ルキアーナ嬢に…ついて……行ってるので、少々…………の事は安全です!」


またも意味のわからない事を言う弟に気が遠くなる。


お前の神獣だろう、なぜルキアーナ嬢と行動を共にするのだ?


だが僥倖だ。神獣と一緒なら安全は確保された。

ならば、アイツは彼の地で何をする気なんだ?


「おい、ラト、モフを使ってルキアーナ嬢の声はすぐ拾えるのか?」

腕を揺すると、

「は、…はい、はいすぐ……できます。」

長い髪を縦に振る。


「なら、今すぐここで聞けるようにしろ!」

俺がそう言うと、弟はしばらく考える素振りをした。


この間、してはいけないと言った事を考えているようだ。


「本当はいけない事だが、彼の地は危険区域だ。内部の状況が知りたい。緊急事態だ!」


私がそう言うと理解できたのか、頷いて空間を割き消えた。









閲覧してもらえて、嬉しいです


今度は2人で盗聴か?


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